インテルと協業で開発時間短縮――富士通、Xeon 7500番台採用基幹IAサーバを世界同時発売 | RBB TODAY
※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

インテルと協業で開発時間短縮――富士通、Xeon 7500番台採用基幹IAサーバを世界同時発売

エンタープライズ ハードウェア
握手をするインテルの吉田氏(左)と富士通の佐相氏(右)
  • 握手をするインテルの吉田氏(左)と富士通の佐相氏(右)
  • エンタープライズモデル「PRIMEQUEST 1800E」は最大8CPU/64コア
  • 低価格なエントリーモデル「PRIMEQUEST 1400S」は最大4CPU/32コア
  • PRIMEQUEST 1000シリーズを紹介する河部本氏
  • PRIMEQUEST 1000シリーズのシステムボード
 富士通は31日、基幹IAサーバ「PRIMEQUEST」の新シリーズとして、CPUに同日発表されたばかりのインテルXeonプロセッサ7500番台を採用した「PRIMEQUEST 1000シリーズ」(全5モデル)を開発、同日より世界各国で販売を開始すると発表した。

◆世界同時発売でグローバルビジネスを強化

 発表会ではまず、同社執行役員常務である佐相秀幸氏が登壇し、同社のサーバ戦略を説明した。その柱として「ミッションクリティカルシステムの継続提供」「グローバルビジネスの強化・拡大」「クラウドコンピューティングへの対応」の3つを掲げた。

 ミッションクリティカルシステムの継続提供については、Itaniumを採用したPRIMEQUESTシリーズの従来モデルや、同社のメインフレームであるGSシリーズについても継続提供していく考えだ。

 グローバルビジネスの強化・拡大については、昨年完全子会社化した富士通シーメンス(富士通テクノロジー・ソリューションズに社名変更)を戦略に組み込んでいく。また、先日発表されたPRIMERGY CX1000シリーズに続き、今回のPRIMEQUEST 1000シリーズも世界同時発売するなど、積極的に展開している。

 クラウドコンピューティングへの対応については、先日発売したデータセンターへの高密度実装に向くPRIMERGY CX1000シリーズなどで、すでに方向性を打ち出している。

◆インテルとの協業で実現した開発期間の大幅短縮

 続いてインテル代表取締役社長 吉田和正氏が登壇し挨拶した。今回の発表会場となった都内のホテルでは、午前中にインテルの新プロセッサであるXeon 7500番台の発表会が開催されており、その足で駆けつけたという。しかし、新プロセッサとそれを搭載したミッションクリティカル用途向けのサーバが同日に「発売」されるのは、実は異例のことで、両社の濃密な連携プレーをうかがわせる。

 続いて、富士通IAサーバ事業本部長である河部本章氏が登壇し、PRIMEQUEST 1000シリーズの特徴を紹介した。PRIMEQUESTシリーズは、同社のメインフレームで培った高い信頼性や堅牢性と、オープンシステムの汎用性や経済性を両立させたサーバとして知られており、2010年1月4日から稼動開始した東京証券取引所の「arrowhead」にも採用されるなど、高い実績を築き上げている。

 今回のモデルチェンジでは、プロセッサを従来のItaniumからXeonに変更したのが最大の特徴だ。これにより、PRIMERGYシリーズのミドルウェアやアプリケーションもPRIMEQUEST上で稼動させることが可能になり「無限大のISV、IHVに対応できるようになった」(河部本氏)という。

 一般に、ミッションクリティカルシステムの開発には時間がかかり、特に高いQA(Quality Assurance)を提供するための品質確認には膨大な時間が必要とされる。しかし、今回のPRIMEQUEST 1000シリーズでは、インテルとの協業により、開発時間を大幅に短縮することができたという。具体的には、システム仕様の共同検討にはじまり、富士通社内の開発機とまったく同じものを米国インテルの技術部にも置き、共同でデバッグと品質確認を行うなど、開発の全工程において密度の高い連携を図ることで、新プロセッサとサーバの同時出荷が実現した。

◆1000シリーズでもPRIMEQUESTのDNAを継承

 今回の1000シリーズにも従来のPRIMEQUESTで提供されてきた特徴はしっかりと継承されている。たとえば、メインフレームと同じ開発・品質保証体制により、一般的なIAサーバの1/5~1/10の業務停止率を実現している(同社比)。また、性能面においても高い性能を発揮しており、SAP SDで16,000ユーザ(Windows/8Socket)、SPEC int_rate_base2006で1,250(Linux/8Socket)と、これらのベンチマークで世界最高レベルの性能を証明してみせた。同社によれば、PRIMEQUEST 1800では、従来モデルである同580Aに比べ、3~6倍のプライスパフォーマンスがあるとしている。

 また、業界初の試みとして、ロングライフモデル(PRIMEQUEST 1400L/1800L)と最長10年の長期保守サポートをセットで提供する。このロングライフモデルでは、あらかじめユーザ専用の保守部品を確保しておき、専任の保守体制を確立するという。

 さらに、グリーンICTへの取組にも対応しており、従来製品であるPRIMEQUEST 580Aと新製品である同1800の同等構成時の比較で、消費電力最大12,400Wから4,000W(約1/3)へと削減、設置スペースをラック1本分からラックマウント12U分(約1/3)へと削減している。

 今回Xeonプロセッサが採用されたことで、PRIMEQUESTシリーズとPRIMERGYシリーズのブランド統合の可能性について質問が上がったが、河部本氏によれば、現在のところその考えはなく、ミッションクリティカル用途向けはPRIMEQUESTシリーズ、コストパフォーマンス重視な用途向けにはPRIMERGYシリーズという両ブランドの棲み分けは今後も維持していくという。
《竹内充彦》
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

page top