静岡大学、学内情報基盤システムをクラウドで全面刷新 〜 NTT西とCTCがシステム構築を担当 | RBB TODAY
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静岡大学、学内情報基盤システムをクラウドで全面刷新 〜 NTT西とCTCがシステム構築を担当

エンタープライズ その他
施策実行後の消費電力とCO2排出量推定値
  • 施策実行後の消費電力とCO2排出量推定値
  • 消費電力・CO2排出量比較
 静岡大学は15日、学生及び教職員約13,000名が使用する学内情報基盤システムを全面的にクラウド化し、運用を開始した。

 大学内に存在するサーバー約850台、業務用端末約7,000台をクラウド化するもので、国公立大学としては初めての例とのこと。学内情報システムを全面的にクラウドコンピューティングに移行することで、従来のシステムと比較して2013年度までに消費電力90%以上、IT投資コスト80%以上の削減が可能となるとのこと。NTT西日本静岡支店と伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が本システムの構築を担当した。

 静岡大学が2009年までの3年間に環境負荷及び投資コストについての詳細な調査を行ったところ、大学内ネットワークに接続されている情報機器は、パソコン約7,000台、Webサーバー552台、研究開発用サーバーが300台以上存在し、サーバーや端末は組織ごとに調達しているためリソースがうまく活用できていないこと、また、IT機器がキャンパス内に分散設置されていたため、大容量空調設備や大規模受電設備、多数の無停電電源装置などが存在し、運用環境においても効率化できることが判明、IT機器全体では全学の15%に相当する、年間233万kWhの電力が消費され、885トンのCO2が排出されていることが推定できた。そこで静岡大学では、学内情報システムすべてをクラウド化することを決定し、2009年11月からプロジェクトを開始した。サーバー、パソコン、ストレージがすべてクラウド化された。

 プロジェクトの具体的な内容は、まずサーバーのクラウド化においては、キャンパス外のデータセンターに静岡大学専用のPRCCを構築し、キャンパスとは10Gbpsの大容量光ケーブルで接続した。メール、認証、シンクライアント制御、人事、給与、会計、学務、遠隔Webなどの基幹システムを中心に、学内で稼働していたサーバー、スーパーコンピューターなどのすべての機器の移行を実施し、その結果、従来のサーバー室、大型のエアコンなどはすべて廃止した。また、ホームページやSNS、ブログ、研究用サーバーなどについては一般向けサービスを行うPBCCを想定し、処理能力や情報セキュリティなど多くの項目について調査・検証を行った結果、Amazon EC2など世界中の数十種類のクラウドサービスから最適なものを選択して使用する形態に変更した。費用は1台のサーバーにつき2,000〜4,000円/月となり、従来の1/10〜1/50以下のコストが実現可能となる。2013年までに、学内のサーバー約500台をPBCCでの運用に移行予定だ。

 パソコンのクラウド化においては、学内にある7,000台のパソコンのうち、1,100台をシンクライアントに置き換えるとともに、使用時間以外はシンクライアントを完全に電源オフにする装置を設計、運用も確立し年間総合電力を低減するように工夫した。2013年までにシンクライアントは2,000台にまで拡張予定で、残りの5000台は、省電力PCに随時移行していくとのこと。ストレージのクラウド化においては、職員全員のパソコンデータのハードディスク内のデータをすべて移行できるクラウドストレージを整備した。現状では1人あたり20GBを割り当てているが、2013年までに80GBまで拡張する。これにより、静岡大学に一度でも在籍した教職員は退職、転勤後も続けて、クラウドストレージを利用でき、生涯を通じ、自身のデータを一元管理することができる。利用に際しては、強固なアクセス制限によりセキュリティは保たれている。

 クラウドコンピューティング技術は部分的な適用ではなく、情報基盤システム全体に導入することでその効果が発揮される。2013年における年間電力、CO2排出量などを推定計算した結果、年間消費電力とCO2排出量は施策実行前に比べて90%の削減が期待できる。今回PRCC、PBCCに移設することによりサーバーは限りなく0に近く、パソコンはシンクライアントと省電力PCの適用により、全体で90%の削減が期待できるとしている。

 今後、静岡大学ではクラウドコンピューティングの導入を支援する『日本アカデミッククラウドコンピューティング支援センター』を設立し、プライベートクラウドとパブリッククラウドの棲み分け、パブリッククラウドサービスの選定及び運用支援を行っていく予定とのこと。
《池本淳》
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