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【新幹線ネットVol.1】mixi、ニコ動、対戦ゲーム、etc. どこまでできる?

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東海道新幹線でインターネットに接続するためには最新型新幹線N700系に乗車しよう
  • 東海道新幹線でインターネットに接続するためには最新型新幹線N700系に乗車しよう
  • 銀の鈴ではUQ WiMAXはアンテナマーク5本で接続
  • 複数の公衆無線LANアクセスポイントを検知した。秋からサービス開始のUQ Wi-Fiもすでに表示されている
  • ログイン後の画面
  • オリジナルコンテンツ・売店の案内
  • オリジナルコンテンツ・全車両の案内図
  • mixiに接続
  • 2ちゃんねるビューワ
 東海旅客鉄道(JR東海)は、3月14日のダイヤ改正から、東海道新幹線の東京〜大阪間で無線LANシステムによるインターネット接続に対応した。すでにいくつかの情報サイトでファイル転送テストなどがレポートされており、スペックについては検証されている。では、実際にインターネットサービスを使った使用感はどうだろうか。今回は東京〜名古屋間を往復し、ユーザビリティを検証した。

◆新幹線でネットしたい?

 新幹線でインターネットができる。しかし、旅好きな私には正直なところピンとこない。無線LANがなくても新幹線は退屈しないからだ。晴れた日は富士山が見えるし、海も畑もさまざまな表情を見せてくれる。停車駅付近の建物は意外と特徴があり、車窓はめまぐるしく変わる。悪天候でも読書ができるし、携帯電話のパケット定額制度を契約してからは、mixiもメールチェックもケータイで料金を気にせずにできるようになった。名古屋まで約1時間半、新大阪まで約2時間半はあっという間に過ぎる。

 そんな私でも「インターネットに接続できたらいいな」と思う時がある。旅の帰り、夜の新幹線だ。景色が見えないから退屈きわまりない。疲れているから文庫本の小さな文字を読んだりケータイの小さな画面を見たりする気にもならない。こんな時は30分でも持てあます。客室扉の上の液晶サインでニュース速報を見ながら、じっと我慢の時間となる。

 仕事で月に何度も新幹線を利用する人は景色に飽きているから、昼でも夜の新幹線と同じ心境だろう。忙しい人なら、ノートPCを開いて書類を作るかもしれない。しかし書類を作るなら、ちょっとした調べ物のためにインターネットに繋ぎたいと思うに違いない。携帯電話を介してインターネットに接続できるとはいえ、通信料金が高額で、大容量のデータ取得は厳しいものがある。VPNを介した会社の業務用アプリを利用できない場合もあるだろう。かつてボーイング社が航空機内のインターネット接続サービスを提供していたけれど、すぐに止めてしまった。国際線の長時間の旅にとっては役立つサービスだが、料金が高額で速度が遅かったため利用されなかったと言われている。

 つまり、移動中のインターネット接続は、安価で高速で、セキュリティに配慮された環境が求められる。それは「自宅や会社と同じように使えなければ利用しない」ということではないか。そこでテストする項目は、メール送受信、Web閲覧、ストリーミング動画再生、そして、私の趣味でもあるオンライン対戦ゲームとした。また、適宜ブロードバンド通信速度測定サイト(http://speed.rbbtoday.com/)を試し、数値による実験も行った。

◆いろいろ選べるキャリア、どこにする?

 JR東海によると、東海道新幹線でインターネットに接続するためには、最新型新幹線N700系を使用する列車に乗る必要がある。これは時刻表に記載されているからすぐにわかる。端末機材の貸し出しはないので、無線LAN対応機器を自分で用意する。また、キャリアが提供する公衆無線LANサービスを契約する必要がある。現在利用できるサービスは、NTTコミュニケーションズの「ホットスポット」、NTTドコモの「mopera U」「Mzone」、ソフトバンクテレコム「BBモバイルポイント」の3キャリア。なお、UQコミュニケーションズの「UQ Wi-Fi」も秋から利用可能になるとのこと。UQコミュニケーションズはモバイルWiMAX事業の会社だけれど、サービス開始時に利用できるエリアは大都市に限られるため、それを補完するために、UQコミュニケーション契約者に対して無料オプションとして提供するそうだ。

 さて今回、筆者が利用したサービスは「ホットスポット」の「1DAY PASSPORT」だ。筆者は自宅に引きこもって仕事をするか、取材出張時はホテルやネットカフェでネットを利用するため、月額制の公衆無線LANサービスを契約していない。「1DAY PASSPORT」は24時間500円というサービスで事前の契約が不要。しかも、ファミリーマートの端末でパスワードを購入できる。今回のように、1日だけ公衆無線LANサービスを利用したいという場合にピッタリなサービスだ。

 もうひとつ用意したサービスはUQコミュニケーションズのUQ WiMAX。これはRBB TODAY編集部からUSB通信カードを拝借した。UQ WiMAXは2009年3月現在、サービス地域が東京23区と川崎市、横浜市に限られるとのことだが、新幹線でどこまで使えるか試してみたい。と、ここまでで筆者が公衆無線LANサービスの初心者であることは十分に伝わったと思う。そんな人間が新幹線の無線LANサービスを使いこなせるのか。ハラハラしながら読み進んで頂きたい。

◆設定簡単! しかし東京駅では使用できず?

 都内自宅最寄り駅でN700系車両を使った新幹線「のぞみ」号の名古屋往復きっぷを入手。名古屋滞在は1時間。窓口氏には特に理由を聞かれなかったけれど「どうしても本場のきしめんを食べたくて」と言ったら「そうですか」と素っ気ない言葉が返ってくる。

 「ホットスポット」のプリペイドカードには、ESS-ID、WEPキー、ログインID、パスワードが記載されている。さっそく自宅最寄り駅でノートPCを開きアクセスを試みる。しかし、なんとこの駅は「ホットスポット」のアクセスポイントがなかった。後でアクセスポイントを調べると「ホットスポット」は主に飲食店で展開しているようだ。ちなみにUQ WiMAXはバッチリ受信OK。通信ソフトを起動するだけ。パスワード入力なども不要でスムーズに接続完了となった。

 どうしても新幹線に乗る前に「ホットスポット」の接続を試したい。たしか新幹線のインターネットサービスは、新幹線車内のほかに、東海道新幹線の17駅でも利用可能だったはず。そこで東京駅に着くと、まずは待ち合わせスポットとして知られる「銀の鈴」へ。ところがここも「ホットスポット」のアクセスポイントはなかった。東京駅で待ち合わせと言ったら銀の鈴が常識のはず。なぜここで使えないのかと不思議に思う。ちなみにUQ WiMAXはアンテナマーク5本で接続できた。これも後に調べると、駅の無線LANはどこでも使えるということではなくて、「指定場所で利用可能」とのことだった。ちなみに東京駅は新幹線改札内の待合いコーナーとホームの待合室の一部で利用できた。

◆いよいよN700系のぞみに乗車--メール、Webとも良好

 新幹線の指定席に座り、おもむろにノートPCを開けてACケーブルを壁のコンセントへ。Windows XPが起動するとしばらくして、無線アクセスポイントを検知したというバルーン表示。クリックするとアクセスポイントが数個表示された。今年秋からサービス予定の「UQ Wi-Fi」もある。サービスイン前の内部テストが始まっているのかもしれない。ホットスポットのアクセスポイントをクリックし、プリペイドカードのWEPキーを登録すれば回線の接続は完了。続いてWebブラウザを起動すると、自動的に「ホットスポット」のログイン画面が現れる。ここにプリペイドカードのIDとパスワードを入れたらインターネットを利用可能になる。

 ここまで、公衆無線LANサービス初体験の筆者が要した時間は約20分。東京駅で発車10分前に操作を始め、品川駅を発車してすぐに使えるようになった。WEPキーの設定に迷った時間を差し引けば、着席後10分ほどで接続できそうだ。もちろんホットスポットの月額会員になっていれば、着席してすぐに利用開始できるだろう。ログイン後の最初の画面は「N700インターネットサービス」だ。「新幹線でネットやってるぜ」といい気分になる。この画面からは、乗換案内、駅の構内図、列車内の設備案内、車内販売メニュー案内など、新幹線車内ならではの情報にアクセスできる。グリーン車で配布している雑誌のような、新幹線車内限定のエンターテイメントがあれば楽しいのに、と思う。

 さっそくブロードバンド通信速度測定サイトに接続。品川駅直後の測定値は、 下り1.77Mbps・上り241kbps。サービス開始当時のADSL回線のような数値だった。ここでメールチェック。問題なし。Yahooやgooで時事キーワードを検索しても快適に表示される。RBB TODAYのニュース閲覧も問題なし。mixiもストレスなく表示できた。「新幹線の無線LANで書いてます」と日記を書いておく。メールの送受信とWeb閲覧はまったく問題なく利用できた。ちなみに新横浜発車直後の通信速度は下りのみガクンと落ちて、下り251kbps・上り263kbpsとなった。列車の速度はそんなに速いわけではなく、通信速度低下の理由は不明。新横浜からの乗客も多かったので、他にネット接続している人が増えたのかもしれないし、線路脇のアンテナ線との距離が離れたのかもしれない。いずれにしてもWeb閲覧には支障のない速度だった。下り251kbpsといえば、ISDNのマルチリンクプロトコルのほぼ2倍だ。

◆JR東海が推奨しない!? ストリーミング動画もOK

 Internet ExplorerでWebを閲覧したあとは、専用ブラウザ「Jane Style」で2ちゃんねるにアクセスする。お気に入りに登録したスレッドの新着巡回、ニュース速報スレッドの閲覧など、普段どおりに使える。

 次に試したソフトは「Windows Live メッセンジャー」。仕事中の友人を呼び出すのも気が引けるので、AIキャラクターのWindows Live メッセンジャーキャラクター、まいこさんとお話ししてみる。相手がAIだけに会話は成立していない気がするけれど、レスポンスについては良好だ。テキストベースのネット利用は十分満足できる結果だった。

 続いてストリーミング動画を視聴してみた。まずはYouTube。まったく問題なし。HD動画ではちょっともたつくけれど、自宅の無線LAN環境と似た事象だったので、回線というよりPCのスペックが理由だろう。ニコニコ動画もスムーズに視聴できた。動画がなめらかであることはもちろん、ユーザーのコメントが画面いっぱいになっても問題なく、自分がコメントを書き込んでもすぐに反映された。テレビ局のサイトの動画ニュースもOK。

 ちなみにJR東海のWebサイトには「高速の回線速度を必要とする動画の閲覧はできませんが、メールやインターネット等のビジネスユースには十分対応できる通信速度となっています」と書いてある。動画の再生はできないと勘違いしそうだが、WAVファイルをダウンロードしながら再生するという状態でない限り、特に問題はなさそうである。mixiも見られて、2ちゃんねるにも行けて、動画を楽しめる。ネット接続によって、新幹線車内におけるエンターテイメントの幅を大きく広げることになるだろう。

◆無謀にもオンライン対戦ゲームをやってみた

 新幹線車内でインターネット接続と聞いて、実はどうしても実験してみたいことがあった。オンライン対戦ゲームだ。他のIT系サイトや新聞系サイトでは絶対に出てこない項目であろう。しかし、オンライン対戦ゲーム、特に一人称視点シューティングゲームは、ネット回線のレスポンスについてもっとも高いレベルを要求する。ちょっとした回線の遅延(ラグ)が勝敗を分けてしまうからだ。

 今回試したゲームは、ゲームポットが運営するシューティングゲーム「ペーパーマン」だ。紙に描いたような薄っぺらいキャラクターが、銃や手榴弾を使って相手をなぎ倒す。すべて3Dで描かれているため、マップ情報やライバルの位置情報などのデータが頻繁に行き交う。こちらは乗車前にインストールとID取得を済ませておいた。さて、対戦を開始すると……なんと、これも快適に遊べた! 自分のキャラクターの移動、ライバルへの射撃などまったく問題ない。オンライン対戦ゲームで回線状態が悪いと、相手の表示がコマ送りのように飛び飛びになったり、最悪の場合はサーバーから拒絶される。しかし、時速270kmで走行する新幹線の車内からも十分に遊べる。

 オンライン対戦ゲームを遊んでいて、実はN700系新幹線がけっこう揺れているのだと気づいた。N700に乗ると、従来の新幹線車両に比べて揺れが少ないことに感動する。N700系はエアサスペンションを制御することで、カーブでは車体外側を4〜5センチ高くし、カーブ通過速度と乗り心地を改善している。そのせいか飛行機に比べると格段に静粛で揺れが少ない。しかし、対戦シューティングゲームを遊ぶとマウスが小刻みに揺れていることに気づく。そのため狙ったところに撃ちにくくなる。もっとも、私の場合はゲームが下手なので、この揺れによってまぐれ当たりの回数が増え、自宅よりも成績が良かった。高度な通信環境を要求されるシューティングゲームも十分遊べるくらいだから、MMORPGなどはまったく不満なく遊べるだろう。

 東海道新幹線で高速なインターネットが使える。このことから、ビジネスマンにとっては「移動するオフィス空間」として期待されるだろう。その期待は十分に応えてくれる。そればかりか「移動するエンターテイメント空間」としても大いに楽しめることがわかった。
《杉山淳一》
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