【TOUGHBOOKレポート(Vol.2)】ヘルスケア向け新製品「TOUGHBOOK CF-H1」の開発思想を聞く | RBB TODAY
※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

【TOUGHBOOKレポート(Vol.2)】ヘルスケア向け新製品「TOUGHBOOK CF-H1」の開発思想を聞く

エンタープライズ モバイルBIZ
パナソニック AVCネットワークス社  ITプロダクツ事業部 市場開発グループ 商品企画チーム ヘルスケア商品担当参事の安藤達泰氏(左)
  • パナソニック AVCネットワークス社  ITプロダクツ事業部 市場開発グループ 商品企画チーム ヘルスケア商品担当参事の安藤達泰氏(左)
  • パナソニック AVCネットワークス社  ITプロダクツ事業部 市場開発グループ 商品企画チーム ヘルスケア商品担当参事の安藤達泰氏(左)
  • パナソニック AVCネットワークス社  ITプロダクツ事業部 市場開発グループ 商品企画チーム ヘルスケア商品担当参事の安藤達泰氏(左)
  • パナソニック AVCネットワークス社 ITプロダクツ事業部テクノロジーセンターハード設計第一チームプロジェクトリーダーの安政馨氏(左)
  • パナソニック AVCネットワークス社 ITプロダクツ事業部テクノロジーセンターハード設計第一チームプロジェクトリーダーの安政馨氏
  • パナソニック AVCネットワークス社 ITプロダクツ事業部テクノロジーセンターハード設計第一チームプロジェクトリーダーの安政馨氏
 パナソニックがヘルスケア市場向けに投入する「TOUGHBOOK CF-H1」は、インテルの提唱するヘルスケア市場のプラットフォームMCA(モバイル・クリニカル・アシスタント)をベースとしたモバイルパソコン。これまでに培ってきた耐衝撃性だけでなく、新たに耐薬品性なども実現するなど医療現場での使用を考慮した工夫が随所に見られるパソコンだ。ここではまず、パナソニック AVCネットワークス社  ITプロダクツ事業部 市場開発グループ 商品企画チーム ヘルスケア商品担当参事の安藤達泰氏に医療現場の現状やTOUGHBOOK CF-H1のポイントを聞いてみた。

●TOUGHBOOKは現場の声を反映した製品

——現在、医療現場でのIT化はどのような状況にあるのでしょうか?

特に北米や欧州ではかなり進んでます。実際にいろんな病院にワイヤレスLANが敷設されていて、モバイルパソコンを持ち歩くのが一般的になっていますね。これからは、日本でもそういう病院は増えてくると思います。

——「TOUGHBOOK CF-H1」で医療現場の声を反映させた点はどこでしょうか?

実際に病院の方々の声を聞いてみると、現場でパソコンを扱う時には軽さはもちろんなんですが、片手でも保持できる持ちやすさが重要だということが分かりました。普通のパソコンの設計では、落とさないように力を入れてしまいますので疲れてしまうんですね。CF-H1はストラップを付けたり、手にフィットする形に仕上げたりすることによって、片手でも自由な角度で楽に保持できる工夫をしています。

——ほかに病院内特有の悩みを解消してくれる工夫はありますか?

今、院内感染が問題視されてまして、使っているパソコンをアルコールで1時間に1回でも拭きたいという声が挙がってます。しかし、実際にはLANのポートがあったりカードスロットがあったりして拭けない、あるいはファンが埃をまき散らしたりすることも考えられます。今回の製品では表面を滑らかにし、ファンの穴も排除して全面拭きとれるようにしています。また一般のパソコンですと、アルコール消毒で何回も拭いてると時間の経過とともにひび割れが起こったりしてくるんですが、特別に開発した樹脂でできているので、そういう心配もありません。

——それほど拭かないといけないのものなのですか?

そうですね。特にイギリスや欧州では、院内感染で亡くなるケースが多くなって大問題になっていますから。

——バッテリーのカバーなどもフラットで工夫されていますね

つまんだりロックをかけるために必要な突起も、機能性を維持しつつ拭けるように滑らかにし、鋭角的な凹凸を徹底排除しています。

——ER(救急救命室)でも使えますか?

血液を拭き取ることも前提に作られています。ただ、持ち運びがメインの商品ですから、病室間を移動して使ってもらうというのが基本ですね。

——抗菌性もあるんでしょうか?

それはありません。というのは、一般的な抗菌性というのは半年くらいで劣化してしまうんですね。すると病院では、どのタイミングで拭いて消毒したらいいのかがわからなくなってしまいます。院内感染防止という意味では常に拭いてもらったほうがより安全なので、敢えて抗菌性を持たせませんでした。

——現在、TOUGHBOOKを導入している病院はあるんでしょうか?

国内では国立成育医療センターでベッドサイド端末として検証実験を行っていただいています。

——タッチパネルを採用していますが、普通のタッチパネルと違いますか?

違います。普通は指で触れるタイプか、電磁誘導式の専用ペンを使うタイプに分けられますが、CF-H1は両方に対応していて使いやすくなっています。

——どんな仕掛けですか?

ペンの内部にコイルが入っていて、パネルに近づくと電磁波で通信をして、カーソルの位置を把握します。これは「デジタイザー」と言っていますが、タッチパネルに比べてデジタイザーのほうが速いスピードでサインが書けたりしますね。

——パネルをペンと指で一緒に触るとどうなるのですか?

そこはうまくできていまして、ペンを持った状態で指をパネルに近づけても反応しないんですよ。ペンで通信している限りはタッチパネルはDisable(無効)。特にサインをする時は手をつけて書きたいですよね。それを実現するためにこうした仕様になっています。

——文字認識機能も?

Windowsの機能として入っています。医療向けのアプリケーションでは電子カルテ画面に直接手書きすれば文字認識され、直感的で使いやすくなっています。

——カラーバリエーションなどもあるといいですよね。

実はCF-H1は塗装をしていないんですよ。塗装してしまうと何年か後に剥げてきたりして、拭き取り耐久性が落ちる。しかも病院内では汚れが目立つようにしてほしいという要望があるので、無塗装の白ですというわけです。技術的にはいろいろな色が出せると思いますけれど(笑)。

 表面の素材や塗装に関しては、現場の意見を徹底的にフィードバックして作ったという印象だ。また、ペンと指の両方で使えるパネルにもかなりのこだわりを感じた。そこで今度はパナソニック AVCネットワークス社 ITプロダクツ事業部テクノロジーセンターハード設計第一チームプロジェクトリーダーの安政馨氏に、開発担当という視点から話を聞いてみた。

●現場の負担やミス低減にも期待

——CF-H1のポイントはどこですか?

見た限りですが、ポートがないですよね。さきほどの話にも出ましたが、拭きやすさをとことん追求するためにコネクタ類は取り払ってしまいました。開発者としては、パナソニックのパソコンでこれだけ思い切ったことを「よくやったな」と思いましたね。「USBを付けてくれ」とか「外部モニター用の端子を付けてくれ」とか、いろいな要望がてんこ盛りになるのがパソコンの開発の道なのですが(笑)。CF-H1はヘルスケアに特化していたので思い切ったことができたんです。

——コネクタ類は隠れているだけでは?

外部の拡張性はバッテリーの交換とACアダプターを挿すだけですね。あとはクレードルに載せれば使えます。本体では穴(端子)や拡張性は持たせていません。病院で調査すると、こういう使い方のほうがいいということがわかり、思い切ってなくしました。

——それを補うのが通信機能ですか?

そうですね。ワイヤレスに関してはいろいろなものを搭載しています。アンテナも7本入る設計になっていて、無線LANが2つ、Bluetoothが1つ、RFID用のアンテナ、広域ワイヤレスやGPSなどもありますね。RFIDではタグや非接触のスマートカードリーダーを読んだりできます。

——アンテナが入りながら、耐衝撃性を確保するのはむずかしいですか?

単に入れればいいだけではなくて、特性を出しながらやらないといけないので、両立させるのは苦労しますね。

——内部シーリングに関してはどうですか?

防水・防滴の両方で各部に施されています。

——パナソニックといえば堅牢設計が得意分野だと思うんですが、この製品ではどういった工夫がされてますか?

これまでのTOUGHBOOKシリーズと同様の性能を持っています。落下衝撃については床に落ちても壊れにくいとか、また薬品や血液がかかっても内部に入らないように防水・防滴を施しています。内部にはマグネシウムの構造物を配置してまして、外側についても衝撃に強い新しい樹脂を開発して採用しています。それ以外に、今回は薬品に強い材料を使っています。

——指紋認証などもできますが、その有用性は?

許可された看護師だけにしか使えなかったりすることができるので、セキュリティの面で有効ですね。

——CF-H1は病院で24時間連続使用しても大丈夫なんでしょうか?

病院では3交代制でずっと使われますから、それにも配慮してます。

——ホットスワップへの対応というのがそれですか?

はい。電池がだんだん減ってきますと交換しなくてはいけませんが、パソコンの電源を落とす時にはアプリケーションも終了しなくてはいけないので作業が中断してしまいます。この製品には電池が2個入ってまして、片方の電池がなくなっても、交換している間はもう1個の電池で動作しますので、常にアプリケーションを立ち上げたまま電池交換が可能なんです。

——入力についてはどのようになってますか?

指で触れるか電磁誘導式の専用ペンで入力できるのですが、その他にはカルテなどについているバーコードでデータを読み取ることが可能です。また病院ではRFIDタグで薬剤を識別するケースもありますので、この製品にはRFIDリーダーも搭載しています。

——現場でのミスにも配慮しているんですね

はい。例えば患者さんの腕に付いているバーコードと、薬剤、カルテを照合しながら作業をすることで、間違いを減らすことができると思います。

——画面の大きさはなどでこのサイズが選ばれた理由は?

画面の見やすさ、重量や持ち運びやすさのバランスを考えて10.4インチの液晶を選びました。画面の見やすさ的には最低でもこれくらいはほしいという意見が多かったです。

——CF-H1の技術は医療以外の分野にも生かせそうですか?

耐薬品性能で強い材料が欲しいという要望はあります。そういう分野では今回の技術が活かせると思いますね。
《RBB TODAY》
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

page top