SGIのSaaS事業はコンテンツ重視の「CaaS」をめざす | RBB TODAY

SGIのSaaS事業はコンテンツ重視の「CaaS」をめざす

エンタープライズ その他

日本SGI営業推進統括本部営業推進本部長森田茂氏
  • 日本SGI営業推進統括本部営業推進本部長森田茂氏
  • 会場風景
  • DesktopVPNの実演(SGIブース内にて)
  • VizImpressのデモ(SGIブース内にて)
  • ITPro EXPO 2008での日本SGIブース
 ITPro EXPOではSaaSに関するテーマセッションが4つ用意されていた。1月30日の午後からは日本SGIの営業推進統括本部 営業推進本部長の森田茂氏が登壇した。講演タイトルは『情報は「貯める」だけでなく、「資産運用」する時代へ SaaSによるコンテンツ活用が、ビジネスを加速する』というもの。日本SGI社の紹介とSaaS事業のあらましに続き、事業の2本柱である「DesktopVPN」と「VizImpress」を紹介した。

■モバイルユースのセキュリティを確保−DesktopVPN

 日本SGIのDesktopVPNは、インターネットを介して離れた場所のPCを操作できるSaaS型のリモートアクセスサービスだ。自宅や会社にあるPCの画面を外出先のPCに表示し、あたかも手元にPCがあるかのように操作できる。こうしたVPNサービスはTELNET接続タイプや映像配信型などいくつか存在するが、DesktopVPNの特長は中継システムとしてメディアエクスチェンジiDCを用意したことだ。一般にVPN接続ソフトウェアを導入する場合は、固定IPの設定あるいは動的IPを特定するためのトンネル化など、専門的な知識が必要になる。また、こうしたVPNサービスに対応したアクセスプロバイダーでなければ使用できない。

 しかし、日本SGIではこれらのVPN接続の難易度を解決するためにiDCを使っている。iDCの中継システムが接続元と接続先の情報を管理することで、ややこしい設定作業、接続操作をiDCが肩代わりしてくれる。森田氏はデモンストレーションを行い、1分ほどで設定を完了し、リモートPCのワードやパワーポイントのファイルを開き、修正し、閉じるという一連の操作を披露した。その様子はスタンドアロンのデスクトップPCに対するものとまったく変わらなかった。

 iDCでは送受信データをSSL-VPN通信やRSA1024bitで暗号化してセキュリティを確保。また、リモートPCからクライアントへは画面を送るだけで、データのダウンロードを一切行わない。クライアントはキーボードやマウスなどの操作の指示を送信するだけ。したがって、一切の処理はリモートPC側で完結する。この仕様は個人情報管理をはじめとする企業の情報を守るために有効だ。森田氏は「高速化、定額化があたりまえになったモバイル環境にとって、このセキュリティ対策なら安心できる」と語った。また、「高性能なiDCを利用するシステムだが、SaaS型で提供するために低コストで利用できる」と説明し、「自前でVPNを構築するよりもDesktopVPNのほうが簡単、安心、低コストだ」とアピールした。

■スーパーのチラシやテレビで実用化されている−VizImpress

 もうひとつのSaaS事業はVizImpressのWeb配信版として提供される「ViZCast」だ。

 まずVizImpressとはなにか。森田氏は「ひとことで言うとプレゼンテーションをおもしろくするシステム」と説明した。会場スクリーンにはルービックキューブのような黒い6面体が現れ、マウス操作に合わせてクルクルと回転している。6面体の各面には複数の画面が貼り付けられているが、これらは単なるテクスチャではなく動画や静止画である。6面体のひとつの面を指定すると画面いっぱいに表示され、そこには各画面が動いている。さらに画面を指定するとそれが拡大表示される。まさに日本SGIが得意とする画像ソリューションであり、SGIのグラフィックツールやワークステーションのデモに見える。

 ところがこれはグラフィックを見せるためのデモではなく、プレゼンテーションの素材だという。VizImpressは、かつてはCGクリエイターが高価な機材で作っていたグラフィカルなコンテンツを、プレゼンテーションスライドを作成する要領で誰でも簡単に作成できるツールなのだ。コンテンツの編集には「VizImpress enVision」というソフトウェア、コンテンツの表示には「VizImpress enLighten」というソフトウェアを使用する。

 実はこのシステムは多くの人々が目撃している。朝の情報番組で司会者が大きなディスプレイを指で操作し、新聞記事をめくったりズームしたりしてみせている。実はこれがVizImpressを使用したシステムだ。PDFではファイルサイズが大きく、拡大しても画像の表示がぼやけてしまう。しかしVizImpressでは大きな印刷物を自由自在に操作できる。しかも画像だけではなく動画をはめ込むんで動かせるし、拡大すれば全画面でハイビジョンの映像が再生される。CGの専門職でなくてもこれだけのプレゼンができる。

 ViZCastは、VizImpressのポテンシャルをWeb配信に応用したシステムだ。こちらもすでに実用化されている。最近、大手スーパーマーケットや量販店のWebサイトで広告チラシを閲覧できるシステムが採用されているが、これがViZCastによるものだ。VizImpressで閲覧に使用するVizImpress enLightenのかわりにFlashを使っている。既存の印刷物をWeb配信型コンテンツに作り替えて活用するシステムである。SaaSモデルとしては日本SGIがWebコンテンツ化と配信サービスを請け負う。印刷会社がチラシを作り、スーパーマーケットなどクライアントは自社のWebサイトにViZCastの配信を組み込むという仕組みだ。

 印刷物をWebで表示するサービスにはPDFがもっとも使われている。しかしスーパーのチラシ大になるとPDFではファイルが大きくなり扱いにくい。ViZCastではスムーズな表示が可能でズームも自在。また、パンフレットなど冊子のWeb化ではページの切り替えにめくるというアニメーション効果も加えられる。さらに重要な機能として、再生した場合に、どの部分がもっとも表示されたか、ズームされたポイントはどこかという情報を記録し、クライアントにフィードバックできることだ。クライアントはユーザーがもっとも注目している商品が何か、どの価格に反応しているかなどを把握でき、販売戦略に活かせる。

 森田氏は「お金を銀行に預けるように、コンテンツも預けて活用する時代になった」と、コンテンツそのものの価値に注目した。「日本SGIのSaaS事業はソフトウェアの提供に留まらず、コンテンツの作成や預かり、活用もサービスとして提供していく」つまり「Software as a Serviceから、Contents as a Service、つまりCaaSという考え方で事業に取り組む」とまとめた。
《杉山淳一》

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