2.5GHz帯免許は誰の手に?——申請4社による公開カンファレンス | RBB TODAY

2.5GHz帯免許は誰の手に?——申請4社による公開カンファレンス

 総務省は22日、広帯域移動無線アクセスシステムに関する公開カンファレンスを開催した。

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むかって右から、ウィルコム代表取締役の喜久川政樹氏、オープンワイヤレスネットワーク代表取締役の孫正義氏、ワイヤレスブロードバンド企画の代表取締役の田中孝司氏、アッカ・ワイヤレス代表取締役社長の木村正治氏
  • むかって右から、ウィルコム代表取締役の喜久川政樹氏、オープンワイヤレスネットワーク代表取締役の孫正義氏、ワイヤレスブロードバンド企画の代表取締役の田中孝司氏、アッカ・ワイヤレス代表取締役社長の木村正治氏
  • 公開カンファレンスの会場となった総務省の入ったビル
 総務省は22日、広帯域移動無線アクセスシステムに関する公開カンファレンスを開催した。これは、2.5GHz帯を用いたモバイルブロードバンドについて、免許を申請している4社の意見を公に発表する場として設けられた。

 モバイルWiMAX方式にて申請を行ったのは、ソフトバンクとイー・アクセスが中心となっている“オープンワイヤレスネットワーク”、KDDIなどが中心となっている“ワイヤレスブロードバンド企画”、アッカ・ネットワークスとNTTドコモが中心となっている“アッカ・ワイヤレス”の3社だ。また、ウィルコムは次世代PHS方式で申請した。

 この公開カンファレンスだが、開催が19日に発表されたという急なもの。ここ数日、ウィルコムとワイヤレスブロードバンド企画の免許取得が確実だという報道があった。総務省からの発表がない時点でこのような情報が提供されると、審査の公平性や透明性に疑問がもたれる。今回の公開カンファレンスは、審査の公平性や透明性をアピールするために開催したものと思われる。

 カンファレンスは公開とされているため、事前に申し込みを行えば誰でも傍聴できが、200名の定員に対して448名が申し込んだため抽選による入場となった。このことからも、モバイルブロードバンドに対する関心は高いと思われる。

 ウィルコム代表取締役の喜久川政樹氏は、「いまやっていることを、次世代で高速化する」というのがコンセプトだとする。同社がPHS事業を15年前に開業した当時は、通信速度が32kbpsだったが、今では800kbpsにまで高速化させたことをアピール。また、現行のPHS基地局に併設することでエリア拡大を確実にするとともに、現行のPHSにて次世代PHSのエリアを補うデュアル端末を展開する方針を示した。現行のPHSサービスでも日本通信とジュピターテレコムにMVNOを提供しており、また端末にはW-SIMを採用。このようなオープン化の方針は次世代PHSでも変わらないものだとした。

 試験サービスは2009年4月に開始し、10月には商用サービスに移行する予定。試験と商用サービスの違いは、エリア程度であり、品質などは同等だとする。人口カバー率は2011年には56.6%、2012年度末には90.6%との計画。同社は、年間に4万もの基地局を設置したこともあり、「ネットワークを早く構築することには自信がある」とする。

 オープンワイヤレスネットワーク代表取締役の孫正義氏は、「MVNO中心主義」とWiMAXネットワークを広く開放することを強調する。同社にはソフトバンクとイー・アクセスが出資をしているが、この両グループが利用する場合であっても、他社と同じ条件にするというほどだ。

 サービスは2009年3月に開始予定。2015年3月末までに全国の人口カバー率を91.6%にするとの計画。これは「最低限コミットメントするエリア」として、実際にはこれよりおカバー率を高くするとした。

 なお、ウィルコムとワイヤレスブロードバンド企画の免許取得が優勢という一部報道があり、「総務省に当日、聞きに行ってみたら、まだ、審査が行われていない状態だった。リングに上がる前に勝敗が決まるわけがなく、憤りが爆発する」とコメントした。

 ワイヤレスブロードバンド企画の代表取締役の田中孝司氏は、標準化の策定や、モバイルWiMAXの開発を他社に先駆けて進めてきたことをアピールする。2004年にはIEEE16WGに、2005年にはWiMAXフォーラムに参加。2006年にはWiMAXフォーラムのボードメンバーが同社から選出された。また、CEATEC Japan 2007では、小型基地局の展示や、モバイルWiMAXのデモンストレーションを披露したことも紹介し、開発も進んでいることを見せた。

 試験サービスは2009年2月に、商用サービスは9月に開始する予定。2012年度末には人口カバー率を90%以上とする。

 アッカ・ワイヤレス代表取締役社長の木村正治氏は、多くの実証実験を実施していることを実績として示した。具体的には、都市部の横浜市のほか、ルーラルエリアである魚沼市でも進めている。また、Wi-Fi、携帯電話、ADSLとのローミングも検討する。

 サービス開始の予定は2009年3月で、2013年頃には人口カバー率を約90%以上にする計画だ。

 これら4社の概要をふまえて、討論が始まった。

 オープンワイヤレスネットワークの孫正義氏は、ワイヤレスブロードバンド企画とウィルコムに対して、質問や提案を投げかけた。「(ワイヤレスブロードバンド企画に出資をしている)KDDIさんは、2GHz帯の割当を受けているが、6,200局しか基地局が建っていない。なのに、もう1つ周波数帯がほしいというのは、欲張りではないだろうか。計画を修正したとも聞いている。これは“前科一犯”だ」と批判。一方のオープンワイヤレスネットワークに出資をしているソフトバンクグループでは、2GHz帯の基地局を4万数千局も設置したことを示した。

 さらにウィルコムに対しては、アイピーモバイルの撤退によりあいた2GHz帯での展開を提案。今回は2社に、2,595MHz〜2,625MHzまたは、2,545MHz〜2,575Hzが割り当てられる予定だ。しかし、このうち1社は2014年まで20MHzしか利用できない。また、この2つの周波数帯域が異なる方式で運用されることも考慮し、ガードバンドも確保されている。そのため、「両方ともモバイルWiMAX方式で、同期を取ればガードバンドがいらなくなる」とし、4社のうちモバイルWiMAXとは異なる次世代PHS方式を採用するウィルコムが別の周波数帯を利用したら、効率よく利用できるというのだ。また、モバイルWiMAX方式は、2.5GHz帯を採用するのが世界標準となっている。周波数帯を割り当てられる2社のうち、1社がウィルコムの次世代PHSで、もう1社がモバイルWiMAXだと、「モバイルWiMAXを1社で独占することになる。日本の構造としてよくないのでは」と理由を述べた。

 これに対してウィルコムは、次世代PHSでは20MHzの周波数帯域が必要だと、と主張した。アイピーモバイルの撤退で開いた帯域は、15MHzであるため足りない。また、「次世代PHSは3Gではないから2GHz帯は使えない。しかし、3GとされているモバイルWiMAXこそ2GHzに行くのも手ではないか」と反論した。

 新規参入を促すため、今回の割当では既存の携帯電話事業者は3分の1までの出資とされているが、孫氏は「ウィルコムとワイヤレスブロードバンド企画が枠を取ると、おかしいんじゃないのか」と指摘した。ワイヤレスブロードバンド企画は、KDDIが32.26%、京セラが17.65%を出資している。またウィルコムは、京セラが30%、KDDIが10%となっている。そのため、この2社が周波数帯を取得すると、KDDIと京セラの独占となるとする。またウィルコムの筆頭株主は、投資会社のカーライルグループだ。「カーライルが20年くらいウィルコムの株を売らないと保証があるのか」とした。

 これに対しウィルコムの喜久川氏は「KDDIの10%は出向者をスムーズに行くため残した。事業的な戦略的な意味合いはない」とし、ワイヤレスブロードバンド企画の田中氏は「京セラの出資は安定株主のため」とした。さらにウィルコムの喜久川氏は、オープンワイヤレスネットワークに出資をしているイー・アクセスは、アッカ・ワイヤレスに出資をしているアッカ・ネットワークスの株式を約10%保有していることを指摘した。ここに、複雑な出資関係がかいま見えた。
《安達崇徳》

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