視聴率20%突破の『エージェント・キム』に思わぬケチがつく “極右系サイト”疑惑が相次ぐ韓国エンタメ界 | RBB TODAY
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視聴率20%突破の『エージェント・キム』に思わぬケチがつく “極右系サイト”疑惑が相次ぐ韓国エンタメ界

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視聴率20%突破の『エージェント・キム』に思わぬケチがつく “極右系サイト”疑惑が相次ぐ韓国エンタメ界
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韓国ドラマは、もはやドラマ本編だけで評価される時代ではないのかもしれない。

Netflixでも配信中の韓国ドラマ『エージェント・キム:リアクティベーティッド』(SBS)が、韓国で大きな注目を集めている。

【写真】『エージェント・キム』、“恩返し”で見るワケ

ソ・ジソブ主演の復讐アクションとしてスタートした同作は、スピーディーな展開と強いアクションで視聴率を大きく伸ばし、7月4日に放送された第4話では全国平均21.6%を記録した。

第1話9.5%、第2話15.7%、第3話18.8%と右肩上がりに視聴率を伸ばし、最新話で20%の大台を超えた格好だ。

さらにグローバルOTTランキングでも韓国をはじめ、ベトナム、タイ、台湾、シンガポール、フィリピン、マレーシア、香港などで好成績を収め、海外でも存在感を示している。

作品だけを見れば、間違いなく今年の韓国ドラマ界を代表するヒット作の一つになりつつある。

原作関係者に“イルベ疑惑”再燃

『エージェント・キム:リアクティベーティッド』
(画像提供=SBS)『エージェント・キム:リアクティベーティッド』

ところが、その勢いとは別のところで、思わぬ火種が浮上した。

原作ウェブトゥーンの制作総括を担った作家パク・テジュンの過去作品をめぐり、いわゆる“イルベ疑惑”が再び取り沙汰されているのだ。

イルベとは、韓国の極右・嫌悪表現と結びつけて語られることが多いオンラインコミュニティ「日刊ベスト貯蔵所」の略称だ。日本では「韓国の2ちゃんねる」と紹介されることもあるが、韓国では故人や地域、女性、社会的弱者などを嘲笑するネット文化と結びついて語られることが多い。

今回問題視されたのは、『エージェント・キム』本編ではない。パク・テジュンの別作品であるウェブトゥーン『外見至上主義』の一場面だ。

最近、あるYouTubeチャンネルで、作中の人物がストップウォッチを見ながら「5分23秒」と話す場面が取り上げられた。故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の命日が5月23日であることから、これを連想させるのではないかという指摘だ。

パク・テジュンをめぐっては、過去にも類似の疑惑が提起されたことがある。『外見至上主義』の別の場面が盧元大統領の生前の姿を戯画化したのではないかという指摘や、2021年の作品『欲望日記』で、文在寅(ムン・ジェイン)当時大統領を嘲笑する表現として使われた「ホホホ」が登場したとして批判を受けたこともあった。

パク・テジュンの疑惑
(画像=オンラインコミュニティ)「5分23秒」(左)、「ホホホ」(右上)、盧元大統領を戯画化したと指摘されたコマ(右下)

ただし、ここで重要なのは、疑惑と事実を分けて見ることだ。パク・テジュンは過去に疑惑を否定しており、故人の写真を使ってそのような意図を持った作業をしたことはないとの趣旨の説明をしている。

また、『エージェント・キム』の原作ウェブトゥーン(『部長K』)は、パク・テジュンの単独作品ではなく、ストーリーはトイ、作画はチョン・ジョンテクが担当し、パク・テジュンは制作総括として名前を連ねている。

つまり、ドラマ本編や原作ウェブトゥーンに、新たな“イルベ表現”が確認されたわけではない。それでもヒット作であるがゆえに、制作総括として名を連ねる人物の過去にまで検証の目が向けられているわけだ。

この構図は、最近の韓国エンタメ界で相次ぐ“イルベ鑑別”の流れとも重なる。

つい最近も、ガールズグループRESCENE(リセンヌ)のメンバー、ウォニがYouTubeで口にした「ムソンノ(怖いノ)」という一言が大きな論争になっている。ウォニは慶尚南道・巨済(コジェ)出身であり、「ノ」で終わる表現は慶尚道方言にも存在する。

ところが一部では、盧元大統領を嘲笑する文脈でイルベ利用者が語尾に「ノ」を付けてきた歴史があるとして、「イルベ式表現ではないか」と問題視された。

問題視されたシーン
(画像=ウォニYouTubeチャンネル)問題視されたシーン

これに対しては、「方言を極右ネット語と決めつけるのは行きすぎだ」という反論も相次いだ。政治家や評論家まで加わり、語尾一つが思想検証の対象になる騒動へと広がった。

『鉄槌教師』との共通点

『エージェント・キム』をめぐる議論も、同じ空気のなかにある。言葉の語尾、数字、背景の看板、過去の一コマ。そうした細部が、今の韓国エンタメ界では「何を連想させるのか」「どんな意図があったのか」と検証される。

もちろん、イルベ式の嘲笑文化を軽く見ることはできない。故人の死や社会的惨事、特定の地域・性別・弱者を笑いの材料にするネット文化が大衆文化に入り込むことへの警戒は必要だ。韓国社会がそれに敏感になる背景も理解できる。

一方で、すべてを“鑑別”の対象にしてしまえば、作品そのものとは別の場所で炎上が広がる。RESCENEの件では、方言か極右ネット語かをめぐって議論が過熱した。『エージェント・キム』では、ドラマ本編ではなく、原作ウェブトゥーンの制作総括を務めた人物の過去作品が掘り返された。

この流れは、Netflixドラマ『鉄槌教師』をめぐる騒動にも通じる。

『鉄槌教師』
(画像提供=Netflix)『鉄槌教師』

『鉄槌教師』は、公開前から原作ウェブトゥーンの問題性が厳しく問われた作品だ。体罰正当化、性差別、人種差別といった批判が原作に向けられ、ドラマ化の段階で出演俳優にまで逆風が及んだ。

作品が公開される前から、「なぜこの原作を選んだのか」「なぜ出演を決めたのか」という判断そのものが問われたのである。

ただし、ドラマ公開後は4週連続でNetflixグローバルランキング1位(非英語シリーズ)を獲得するなど、大ヒットを記録している。

『エージェント・キム』と『鉄槌教師』に共通しているのは、韓国ドラマがもはや本編の完成度だけで評価されないということだ。原作の過去、作家の過去、制作陣の過去。さらに、その作品がどの世界観に属しているのかまで、視聴者は見ている。ヒットすればするほど、作品の外側にあるものまで掘り返されることになるのだ。

『エージェント・キム』の騒動は、作品そのものの危機というより、今の韓国エンタメ界の空気を映している。大衆文化のなかに紛れ込む嫌悪や嘲笑を見逃すなという警戒心。そして、その警戒心が時に過剰な鑑別へと向かう危うさだ。

ドラマ本編だけを見て楽しむ時代は、もはや終わりつつあるのかもしれない。

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《スポーツソウル日本版》
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