17日、公益財団法人松尾芸能振興財団は、第47回松尾芸能賞の受賞者を発表した。
大賞には、日本のミュージカル界を牽引してきた演出家の小池修一郎が選ばれた。小池は舞台、映画、文学からサブカルチャーにまで通じ、新鮮な素材をミュージカルに仕立てるセンスが光る。大きな功績は『エリザベート』を巧みな潤色によって日本での大ヒット作へと導いたことだ。宝塚歌劇団は勿論、東宝でも上演を重ね、早くも30年を迎えた。原作舞台を洗い直し、大胆に潤色・演出する手腕は折り紙付きで、ミュージカルファンからの信頼も厚い演出家である。

優秀賞には、戸田恵子、曽我廼家寛太郎、西川扇藏、藤舎貴生の4名が選出された。戸田恵子は劇団薔薇座に所属し、ミュージカルに出演する傍ら声優としての活動も開始。以来、洋画の吹替やアニメーションの声優として確固たる地位を築いた。女優としては映画やTVドラマは勿論、舞台でも印象的な役を見せてきた。ことに三谷幸喜作品に多く出演し、『虹のかけら~もうひとりのジュディ』は2024年にニューヨーク公演も果たした。伸びやかな声と演技センスで、ますますの活躍を期待したい。

曽我廼家寛太郎は藤山寛美から濃密な指導を受け、松竹新喜劇の看板役者となり重要な役を務めている。近年は外部出演も多く、五木ひろしなどの座長公演に参加。一方、自主公演「曽我廼家寛太郎一座」を立ち上げ、上方喜劇を今日に継承している。2025年は前進座『裏長屋騒動記』に客演し、満場の爆笑を誘った。活躍の基盤には伝統的な上方文化の蓄積があり、その活動は上方文化の発展に寄与するものである。

西川扇藏は流派に伝わる古典舞踊作品について定評がある。また、同世代の舞踊家との「五耀會」での活動も貴重な実績である。新作舞踊についても、新たで独自の着想に優れた点が多い。宝塚歌劇団やOSKの振付、映画やテレビでの所作指導など、日本舞踊の世界を広めてきた。十一世西川扇藏の名跡を襲名後は更に芸格も大きさ、豊かさを増し、箕乃助時代からの蓄積が年輪を感じさせ、艶やかな芸の気配を漂わせている。

藤舎貴生は横笛奏者として高い評価を得ながら、歌舞伎・日本舞踊・NHKテレビ・ラジオ・演奏会などで活動を続けてきた。また、作曲家・音楽プロデューサーとしての活動は古典にとどまらず、その才能を遺憾なく発揮している。口語体による三味線音楽『幸魂奇魂』では、新鮮な挑戦を見せた。また、邦楽の発展のため、子供への指導・教育にも貢献している。その幅広い活動は邦楽界において唯一無二の存在である。

新人賞には中村鷹之資が選ばれた。五代目中村富十郎の長男として生まれ、父のもと歌舞伎の基礎を学ぶ。2013年から勉強会「翔之會」を開催し『供奴』『うかれ坊主』など父の当たり役に次々と挑戦した。2017年は『越後獅子』を踊ったのをはじめ『三社祭』の悪玉などで成長ぶりを見せた。昨年は新春浅草歌舞伎で『絵本太功記』の十次郎、『棒しばり』の次郎冠者を演じ、「翔之會」では『奴道成寺』『弥生の花浅草祭』を踊り優れた成果を挙げた。

特別賞には2名が選出された。加藤登紀子は『知床旅情』などの大ヒットによって、日本初の女性シンガーソングライターとして名声を博した。自身が訳詞、歌唱した『百万本のバラ』はミリオンセラーを記録。一方で楽曲提供、俳優など多彩な才能を発揮している。ステージ活動では「ほろ酔いコンサート」を50年以上続け、昨年8月、ハルビンでの同市交響楽団とのコンサートでは日中両国の観客から賞賛を受けた。60年に及ぶ活動は日本の音楽文化向上に功績を残した。

谷口裕和は「素踊り」で卓抜した才能を見せる。古典を基本にしながらも、新鮮な振り付けで踊る公演は人気を呼んでいる。十世西川扇藏や梅津貴昶の下で学んだ体験から、独立して22年、ようやく花を開き実を結び始めている。昨年来、話題になった映画『国宝』では主演俳優の舞踊指導を担当し、その成果が作品の質を高めたと評価されている。日本舞踊の新たな可能性を予感させる独自の活動は、今後大いに期待される。
なお、同賞の贈呈式イベントは3月30日に都内で行われる。













