11月21日、日向坂46 ARENA TOUR 2025「MONSTER GROOVE」の最終公演が、国立代々木競技場 第一体育館公演で行われた。

メンバーによる楽器演奏や、歌唱メンバーを入れ替えてのシャッフルユニットなど、数々の新しい試みが採り入れられた今回のツアー。その最後にふさわしく、メンバーもファンも達成感と高揚感に包まれる大団円を迎えた。
始めに、ステージ上に設置された巨大な球状のオブジェが開くと、金村美玖と小坂菜緒の姿が現れる。最新シングルでWセンターを務めるふたりを筆頭に、二~五期生の全メンバーがステージに登場し、「NO WAR in the future 2020」をパフォーマンス。今回は重低音の効いたリミックスバージョンを使用しており、間奏では期別に激しいダンスも見せた。金村が「ツアーファイナル、全員出し切れー!」と活を入れ、ライブの開幕を告げる。


そして四期生による「夕陽Dance」へ。渡辺莉奈をセンターに、ダンサブルなサウンドに乗せて歌い踊った。そのままの勢いで、グループを代表するディスコチューン「キツネ」。アリーナ内に設置されたセンターステージと4つのサブステージ、そしてメインステージに全メンバーが展開し、ファンの間近でパフォーマンスした。


続いて正源司陽子がセンターを務める「君はハニーデュー」。センターステージでは、360度を向くフォーメーションでファンにアピールし、大コールを受けた。
ここで本日最初のMC。キャプテンの髙橋未来虹が、五期生の高井俐香が体調不良のためこの東京公演を欠席することを報告する。金村美玖は、今年すでにこの国立代々木競技場 第一体育館公演で計5日間ライブをしていることに触れ、その思い入れを語った。そして小西夏菜実が「男子ー、女子ー、盛り上がっていくぞー!」と声出しをし、ツアータイトルにかけて「モンスター並みに盛り上がっていきましょう」と呼びかけた。


照明がいったん暗転すると、スポットライトに照らされて小坂菜緒が登場。自身のセンター曲「Love yourself!」を独唱し、透明感のある声を会場に響かせる。2番からは他のメンバーも加わってパフォーマンスした。
続いて、松尾桜がセンターを務める「空飛ぶ車」。ミドルテンポのロマンチックな曲調で、幻想的な雰囲気を作り出した。そして四期生の正源司陽子、藤嶌果歩、渡辺莉奈が「What you like!」をパフォーマンス。四期生屈指の美少女トリオに、ファンは声援を送った。


そして松田好花を中心としたMCへ。五期生の鶴崎仁香は、初めての全国ツアーで印象的だったものとして各地の食べ物を挙げた。メンバーの好みは様々だったが、鶴崎は仙台の牛タンが一番お気に入りだと語っていた。
ここからは、メンバーによる楽器の生演奏を挟みながら、シャッフルメドレーへ。期別曲やユニット曲を通常とは別のメンバーが歌う新しい試みだ。
まず、音ゲーが特技の大野愛実が、MIDIパッドを使って演奏。見事なビートを叩き出す。そして、ソファやテーブルなどの家具が置かれたステージを上村ひなのが走り回りながら、他のメンバーと「足の小指を箪笥の角にぶつけた」を歌った。
さらに、小坂菜緒、小西夏菜実、平尾帆夏、松尾桜が「この夏をジャムにしよう」をパフォーマンス。藤嶌果歩、宮地すみれらは、スタンド席の通路をトロッコで移動しながら「どうする?どうする?どうする?」を歌唱。2階席や後方の観客とも間近でコミュニケーションを取った。


そして正源司陽子がエレキギターをかき鳴らす。激しいロックサウンドをバックに、大野愛実らがダンスを披露。そのまま「恋した魚は空を飛ぶ」へ。メンバーの感情の乗った表情が印象的なパフォーマンスになった。
ここで再び大野のMIDIパッドの伴奏で、松尾桜がラップを披露。有名ラッパーに直接指導も受けた松尾が、ガーリーな雰囲気で歌った。そして松田好花、森本茉莉がダブルセンターとして「ナゼー」。テクノポップサウンドに乗せて、間奏ではたっぷりダンスも見せた。


次は平尾帆夏のキーボード演奏。エモーショナルなメロディに乗せて、清水理央らが踊る。さらに「その他大勢タイプ」をかわいく歌った。
続いて、オレンジ色に変化したメインステージの球体が割れると、山下葉留花らが登場。すでに卒業した一期生が歌っていた人気ユニット曲「ハロウィンのカボチャが割れた 2025 」をパフォーマンスし、ファンから大コールを受けていた。


再びMCへ。先程、松尾桜が披露したラップ「何でも知りたガール」にかけて、石塚瑶季がメンバーの秘密に迫る。正源司陽子に対して「なぜエレキギターを練習しているときは、ちょっとカッコいい口調で喋るの?」など、メンバーの恥ずかしい一面を明かす暴露大会のようになっていた。また、11月19日に卒業セレモニーを行った河田陽菜が歌っていた「ナゼー」をパフォーマンスした森本茉莉は、河田を自分の中に下ろすために、チャームポイントの両エクボを必死に作っていたそう。これにメンバーからは「作れるものなの!?」と驚きの声が上がっていた。
MC明けは、金村美玖のドラム演奏から。迫力あるドラムソロを受けて、髙橋未来虹が「ツアーファイナル、後半戦ぶち上げていくぞー!」と大あおり。そして金村のドラム伴奏を加えたスペシャルアレンジで「あの娘にグイグイ」をパフォーマンス。


そのままの勢いで「好きということは…」へ。メンバーがセンターステージにも展開し、ファンと一緒にタオルを振り回して盛り上がる。センターの松田は、ツアーファイナルに感極まったのか、目に涙をためながら大声で会場をあおった。
ここで雰囲気が一変。激しくクールなダンストラックから、金村美玖がセンターを務める「アディショナルタイム」へ。ロングバージョンの間奏では、一体いつ呼吸をしているのかわからないような激しいダンスを見せ、日向坂46のアグレッシブな一面を見せた。


そして藤嶌果歩の「ツアーファイナル、全員叫べー!」という迫力あるあおりで、四期生のライブアンセム「見たことない魔物」をパフォーマンス。間奏中には、藤嶌が「みんなに出会えて良かったよー!」と感謝を伝え、会場を盛り上げた。
そしてすべてのステージとトロッコも動員して、全員で「愛はこっちのものだ 2025」。松田好花、山口陽世、清水理央、片山紗希など、各期のあおり担当が次々とマイクを繋ぎ、大サビ前では髙橋未来虹がイヤモニを外して「代々木ー、騒げー!」と絶叫。会場は熱狂で応えた。


再び雰囲気が一転、オーケストラサウンドをBGMに金村美玖と小坂菜緒が美しく舞う。そしてグループを代表する人気コンビ「なおみく」のユニット曲「See Through」をパフォーマンスする。
そのままWセンターを務める15thシングル表題曲「お願いバッハ!」へ。最高にハッピーな雰囲気で本編最後の楽曲を歌い終わり、ふたりはハグをして退場した。
アンコール明けの1曲目は、グループのデビュー曲「キュン」。シンプルなツアーTシャツに着替えたメンバーたちは、色褪せない名曲をフレッシュにパフォーマンス。


MCでは、グループ最多のセンター作を持つ小坂菜緒が、実は自身がセンター=座長として回るツアーは今回が初めてだったことに触れ、「このツアーを通してメンバーみんなの笑顔を見れたことが個人的にはすっごく幸せ」と語った。髙橋未来虹は、新しい挑戦が多かった今回のツアーに不安があったことを告白し、「みなさんの期待は超えることができましたかね」と問いかける。会場から大きな拍手が起きると、髙橋は込み上げる涙に声をつまらせながら感謝を伝えた。
そしてグループに課せられた期待と未来への思いを歌った楽曲「Expected value」を歌う。間奏中に、髙橋がグループを代表してスピーチ。


「地方公演を乗り越えて、こうして代々木の地に戻ってきて、改めてこの長いようで短い2ヶ月が、もう幕を閉じようとしていることを実感しています。改めて、ここまで支えてくださったおひさま(日向坂46ファンの総称)の皆さん、本当にありがとうございました。私はツアーのセットリストが配られた日から、このツアーが本当に楽しみで。でも新しい挑戦も多くて、不安や緊張ももちろんあったんですけど。一緒にライブを作り上げてくれるおひさまの存在に、すっごく支えられた2ヶ月間でした。新しい挑戦も多い中、メンバーはステージに立って見えている部分だけではなくて、本当にひたむきな努力を重ねてここまで駆け抜けてきました。それが皆さんの目にはどう映ったのでしょうか。もしよかったら聞かせてください。グループの現在地点と向き合うこと、それは時に悔しくて、もどかしい気持ちになることもありました。だけど、そういった気持ちを乗り越えてこそ、今日みたいにみんなで心から笑える日があるんだなと私は思いました。日向坂46は、誰かが落ち込んだりうつむいたりした時に、そっと手を取って寄り添ってくれるメンバーもいたり、その手を強く引っ張ってくれるメンバーがいたり、本当に素敵な子たちの集まりなんです。そんなこのグループをたくさんの人に知ってほしいという思いで、強い気持ちを持って、このツアーに臨んできました。こんなに素敵なメンバーと、いつも愛をもって接してくださるスタッフの皆さんと、そして何より、どんな時も味方でいてくれて、助けてくれる、そんなおひさまと、このツアーが幕を閉じてもまだまだ見たい景色があります。これからも、日向坂46とともに横一列になって、歩いていってくれると嬉しいです。これからも、日向坂46の応援をよろしくお願いします」
さらにこの日は、ツアー最終日にふさわしくWアンコールが発生。メンバーたちが全ステージに散らばって、グループの初期からのライブアンセム「誰よりも高く跳べ!2020」を歌う。大サビ前には、髙橋が「おひさまー、跳べー!」と絶叫し、ファンとメンバーが一緒になって大ジャンプ。会場は揺れるような盛り上がりを見せた。


歌い終えたメンバーたちはマイクをおろし、生声で最後の挨拶をする。「本日は、本当に、ありがとうございました!」という全員の声は、アリーナの後ろの席にも響いていた。
メンバーたちが退場した後は、モニターで嬉しい発表が。2026年1月28日、日向坂46の16thシングル「クリフハンガー」が発売されることが告知された。前日の公演では、2026年4月4日、5日に横浜スタジアムでグループの周年ライブ「7回目のひな誕祭」が行われることも発表されている。

今回のツアーでは、メンバーによる楽器演奏や、シャッフルユニットといった新しい試みも取り入れられつつ、今までより多くのダンストラックも披露した。今年加入したばかりの五期生も先輩たちと同じステージで踊り、ツアーを通して、アンコールではこれまでのすべての表題曲が披露された。メンバーたちにとってはプレッシャーのかかる内容だったが、クオリティの高いステージングとパフォーマンス力で、見事に期待値を越えてきたと言えるだろう。今年始動した髙橋未来虹キャプテン体制の日向坂46は、来年、さらに新しいものを見せてくれそうだ。















