25日に放送される『未解決事件 File.03 地面師詐欺事件』(NHK総合)で、2017年に発生した積水ハウス55億円詐欺事件の真相に迫る。

この事件は東京・五反田の老舗旅館を舞台に、大手ハウスメーカー・積水ハウスが地面師グループに55億円もの巨額をだまし取られた事件だ。土地の所有者になりすまし、その土地を売却して買い主から代金をだまし取る闇の詐欺師たちは「地面師」と呼ばれる。

番組では「だましの瞬間」を記録した動画を入手し、地面師たちの手口を分析。また、捜査関係者への取材や、服役中の主犯格とされる男からNHK宛てに送られてきた手紙、関係者の証言などから、事件の構造を解き明かす。

主犯格とされた服役中の男はNHKへの手紙で「自分は関わっていない。黒幕は別にいる」と訴えた。取材を進めると、地面師グループは「なりすまし役のスカウト」や「偽造書類の受け渡し役」など、「手配師」「道具屋」と呼ばれる複数の人間を介して行い、「誰ひとり犯行の全貌を知らない」ことで詐欺の痕跡を見えにくくしていた。逮捕されても起訴に至らないケースもあり、グループが温存されやすい構造が明らかになった。

事件の捜査は終結した一方、地価高騰が続く都市部では同様の詐欺が現在も発生している。「事件はまだ、終わっていない」として、地面師詐欺が繰り返される深層をNHKが実録で描く。
大手ハウスメーカー内部では何が起こっていたのか。番組では、事件後に発表された調査報告書や会社関係者への取材から、事件が繰り返されないための教訓も探っていく。