NHK連続テレビ小説『あんぱん』より、屋村草吉役を演じる阿部サダヲのオフィシャルコメントが公開された。

草吉は高知にふらりと現れる風来坊のパン職人で、主人公ののぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)の人生に大きな影響を与える役どころ。阿部はその人物像について、「朝ドラは、お父さん役もできる年齢になってきたかなと思っていましたが、それとはまたちがう、風来坊のパン職人というおもしろい役をいただけて、やりがいがあるなと感じています。僕の想像ではありますが、草吉は何かを諦めてきて、愛情に飢えている。だからこそ、人にすごく興味がある人物なのかなと。一見冷たそうに見えますが、結局は困っている人がいると助けたくなってしまうのだと思います。とはいえ、特に前半は、なんだかよく分からない人でいたほうがいいんだろうなと思って演じていました」とコメント。

また草吉役を演じる際の意識について、「草吉は言葉遣いが荒いので、ただの気が強い人に見えないよう、なるべくあたたかい印象に持っていけるようにしたいと思っています。釜次さん(吉田鋼太郎)との掛け合いで、ユーモアのある感じに見えるといいなと。あとは、脚本の中園さんに『ヤムさん、おもしろくしてください』と言われたので(笑)。暗くなるような場面も、明るくしていければと思っています。ただ、皆さんが方言に苦労されていて、僕が勝手なことをしてしまうと、急には方言が出てこなくて困らせてしまうので。そこはあまり乱すことはしないように気をつけています」と語っている。

また「パン職人という役柄ですが、パン作りの練習はいかがでしたか?」という質問には、「実際にパンの工場に行って、パンをこねて、あんこを包んでという基礎から練習しました。撮影では、道具も作り方もその時代に合わせています。パンがおいしそうに見えないから撮り直しということもありましたし、ツヤ感が重要みたいです。『あんぱん』を見て、朝ごはんがパン派になる人も多いんじゃないかな(笑)。草吉があんぱんで悲しみに包まれた朝田家の人々を救ったり、のぶや嵩の受験のときに“合格あんぱん”をあげたり、元気になってほしいときにあんぱんを焼くっていうのは、いいですよね。いつの間に作っていたんだろうという場面も多いですが(笑)。みんなのことを思って、こっそり作っているんでしょうね」と答えている。

そして草吉から見たのぶと嵩の印象については、「あの二人の関係性はすごくおもしろいなと思いながら見ています。のぶのように、あれだけ明るくまっすぐに向かってきてくれる人ってなかなかいないと思いますし。だから、嵩はこの人がいいなと思ったんでしょうね。草吉からすると、嵩はどこか似ているところがあったんだろうなと。最初に川辺で、ひとりぼっちでいる嵩を見たときから、そのさみしげな姿に、何かシンパシーを感じたんだと思います。草吉からすると、嵩は気になって仕方ない存在なのかもしれません」と述べている。

最後は視聴者へのメッセージとして、「『あんぱん』は、愛があり、やさしい気持ちになれる作品だと思います。草吉はずっと朝田家にいましたが、やっぱり風来坊ですからね。どこかに行かなくてはなりません(笑)。草吉の戦争への思いというのも、このあと明らかになると思いますので、ぜひ今後の展開も楽しみに見てもらえるとうれしいです」と語った。
