【サテライトオフィス最前線】ワークスタイルを効率化する「サテライトオフィス」 | RBB TODAY

【サテライトオフィス最前線】ワークスタイルを効率化する「サテライトオフィス」

ビジネス 経営

徳島オフィスを呼び出したところ。すぐに会話、会議ができる
  • 徳島オフィスを呼び出したところ。すぐに会話、会議ができる
  • 全国のサテライトオフィスの様子は、いつでもモニター越しに確認できる
  • ダンクソフトの日本橋本社。ほかにも、徳島、神山、宇都宮など、国内外に7か所のスマートオフィスを開設している
  • オフィスもバーチャル化すれば、業務のための拠点はフレキシブルになる
  • ダンクソフト 代表取締役 星野晃一郎氏
【記事のポイント】
▼拠点を複数確保することが、働き手の地理的メリットを生む
▼競合の少ない地方にこそ、中小を志望する人材がいる
▼理想は雇用したい個人に合わせたサテライトオフィス開設


■ワークスタイルを効率化する「サテライトオフィス」

 最近では大企業でもテレワーク――場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を推奨するケースが増えている。背景にはモバイル技術、クラウド技術の発展もあるが、社会的要請としてのワークライフバランスや女性活躍といった視点から、自宅や外出先からのテレワークが進んでいるようだ。

 中小企業の場合、在宅勤務やテレワークはむしろ必然的に広がっているのではないだろうか。大企業と比べて人手が足りない、リソースが足りないとなれば、組織的な制約が少ない分、柔軟な経営や多様なワークスタイルはむしろ避けて通れない。仕事を持ち帰り、出張先や出向先で実務をこなすケースもあるだろう。

 近年ではモバイルやクラウドなどのテレワークを可能にする技術活用をさらに進め、遠隔地のシェアスペースなどをサテライトオフィスとして活用する動きが広がっている。そこで注目されているのが、人材確保におけるアドバンテージだ。15年前からいち早くテレワークやサテライトオフィスに取り組んできたIT企業「ダンクソフト」に、その具体的なメリットについて話を聞いた。

■有能な人材をつなぎとめ、社員の雇用を守る

 システムハウスからスタートして、現在システムコンサルティングからWeb制作などを手掛けているダンクソフトは、創業34年のベンチャー企業というには「歴史」のある会社だ。しかし、オフィスの風景にはキャビネットがほとんどなく、机の上にも本棚や書類入れがない。パーティションや壁のメモ、掲示物もない。PCのモニターが目立つが、いかにも仕事をしていますというリアル感がない。今風のスタートアップ企業やベンチャー企業を思わせる。

 代表取締役の星野晃一郎氏は、80年代から電子手帳やノートPC(当時はラップトップPCと呼ばれていた)を使い、システム開発の現場を行き来しており、そのころからオフィスや備品にとらわれない仕事をしていたという。その経験からオフィスの引き出しレス、ペーパーレス、FAXレスなどに早くから取り組んできた。近年はネットワーク、テレビ会議、クラウドを駆使した、スマートオフィスやサテライトオフィスに注力し、時間や場所に依存しない新しいワークスタイルの提唱を行っている。

 星野氏が会社の制度としてのテレワークやサテライトオフィスを考えたのは、00年の始めのことだという。

「当時、15%成長というミッションを与えられ、従業員も交えて、組織変革に着手していた時期です。社員のひとりがアトピーにかかり、オフィスで仕事ができなくなりました。これがテレワークによる自宅勤務を導入したきっかけです」


 その後、出産や育児といった状況にもテレワークを広げていき、08年には同社の最初のサテライトオフィスが伊豆高原に開設される。これは従業員に多様なワークスタイルを提供する意味合いが大きかったが、その後の転機になったのが11年の徳島オフィスの開設だ。

「リーマンショック、東日本大地震と中小企業の状況が厳しくなる中、ジャストシステムを退職した優秀なエンジニアから、『徳島から出ないで仕事を続けたい』という相談を受けました。その人が徳島で働けるように作ったのが、現在各地に展開しているスマートオフィスのベースといえるものです」

■募集したくなる就労環境を整える

 近年では過疎化への対策として、自治体がUターンIターン、移住などの政策を進めている。これは中小企業の採用にも通じるところがあり、今後は人が来やすい環境を整えることが重要となる。

「特に、リーマンショックあたりから、これからは中小企業の人材確保はますます厳しくなると感じていました。従来どおりの働き方や経営にこだわっていてはだめです」と星野氏は断言する。

 通勤や勤務時間に縛られず、自宅で仕事ができれば、地元や実家に戻れれば、引っ越しをしなくて済めば、それを求めて募集してくる人材の幅は広がるだろう。家族や実家の事情による離職は減り、出産・子育てのために別の人材を探す事態も避けられる。

 ただし、サテライトオフィスの開設について、「いちばん重要なのは、場所や地域で考えるより、まず人ありきで考えること」と星野氏はアドバイスする。この地域はこの産業が盛んなので、この人材が確保できる、という考え方もあるだろう。しかし、基本は採用したい人がいて、その人の能力を生かすために必要な働き方だから、というアプローチが理想となるようだ。

 東京本社よりも都内全域の複数拠点、競合の多い都市部よりも地方で募集を行うことは、募集者個々人にとっての地理的メリットを生み、他社と比較してのアドバンテージとなる。優秀な人材に合わせてサテライトオフィスを開設するというのは、その最たる例だろう。他社に比べてのアドバンテージがあるだけに、そこは社員にとっては離れがたい企業となる。

 労働人口の減少フェーズに入った日本において、人材不足の問題は今後ますます深刻化していく。サテライトオフィスの開設は、これに一石を投じる機会となるが、そのメリットは人材の確保だけにはとどまらない。限られた人材の能力を生かすためには、業務プロセスやワークスタイルの改善が必要。この点においても、テレワークによる作業の効率化は、今後10年の企業の生産性や競争力を左右するといっても過言ではない。

【サテライトオフィスの利点:2】地方に人材雇用のチャンス

《中尾真二/HANJO HANJO編集部》

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