【まちてん】目的がなくても集まれる場所に……西国分寺発の“カフェでまちづくり” | RBB TODAY
※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

【まちてん】目的がなくても集まれる場所に……西国分寺発の“カフェでまちづくり”

エンタープライズ その他
クルミドコーヒー店主、まちづくりプロデューサーの影山知明氏
  • クルミドコーヒー店主、まちづくりプロデューサーの影山知明氏
  • 店内のテーブルにはクルミが置いてあり、クルミを自由に割って食べられる
  • 「10年後、ともに会いに」(寺井暁子 著)、「やがて森になる」(小谷ふみ 著)。両者はカフェの仲間だという
  • 「りんどう珈琲」(古川誠 著)。この方は、OZ magazineの編集長だという
  • 音の葉コンサート。近隣に国立音大もあり、音楽関係者もよくカフェに訪れるそうだ
  • 今年は新たに、フラダンス大会も開催したそう
 11月28日から渋谷ヒカリエにて地方創生まちづくりEXPO「まちてん」が開催されている。初日に行われたカンファレンスのコミュニティプレイス編では、クルミドコーヒーの店主であり、まちづくりプロデューサーである影山知明氏が登場した。

 影山氏は自身が展開している「カフェから始まる街づくり」について紹介した。同氏は東京大学を卒業後、マッキンゼー&カンパニーを経て、ベンチャーキャピタルを共同創業。その後、2008年に東京・西国分寺に多世代型シェアハウスを開設し、1階に「クルミドコーヒー」をオープンした、という異色の経歴の持ち主だ。

 クルミドコーヒーは、2013年には「食ログ」のカフェ部門で全国1位にもなったため、ご存知の方も多いかもしれない。カフェのテーマは、店名のとおり「クルミ」。店内のテーブルにはクルミが置いてあり、クルミを自由に割って食べることができる“おもてなし”を実践している。

「クルミは種であり、なかに未来のあらゆる可能性が詰まっている。そんな表現もできるため、店のシンボルにした」(影山氏)

 店内は日常の非日常を体験でき、リラックスして元気になれる場所を目指してきた。影山氏は「最初からカフェをオープンしようとしていたわけではない。この7年間やって、いまでは天職だと思っている」とし、その契機になった1冊の本を紹介した。

 それは、20世紀のパリのカフェを研究して書かかれた「cafeから時代から創られる」(著・飯田美樹)という本。フランスのカフェには、ピカソ、ヘミングウェイ、フィッツ・ジェラルド、サルトルなどの天才が集っていた。著者の飯田氏は「因果関係が逆。つまり偉大な人達がカフェに集ったのではなく、そのカフェという場があったから、人々が切磋琢磨しあい、結果として後世まで名が残る偉大な人物が育った」と仮説を立てている。

 歴史を通じて、ある種の場が人を出合わせたり、育てたり、刺激を与えたりすることがある。そして文化を育て、時代をつくっていくこともある。松下村塾も、ときわ荘も、シリコンバレーもそうだったのかもしれない。

 この話を聞いたとき、影山氏は「50年後、100年後に、あのころ活躍していた人々は、みんなが西国分寺出身だった。そこにクルミドカフェがあったからだ。そんなふうに言ってもらえるようになりたい。時代や、まちや社会をつくる拠点になれる可能性がある場になれば、こんなにやりがいのある仕事はない」と感じたそうだ。では、なぜカフェなのだろうか? それは目的がなくて人が集まれる場所だからだという。
《井上猛雄》
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

page top