【潜入レポ】ヘッドセットを手がける「ロジクール」の研究開発施設に行ってきた! | RBB TODAY
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【潜入レポ】ヘッドセットを手がける「ロジクール」の研究開発施設に行ってきた!

IT・デジタル フォトレポート
ヘッドセットはこうして作られる!ロジクールの研究開発施設に潜入してきた
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ゲーム周辺機器メーカーとして知られるロジクール(本社名はLogitech)。2001年にLabtec社を買収してからはヘッドセットやスピーカーなどオーディオ関連機器にも力を入れてきました。8月下旬、そうしたオーディオ関係の開発を行う米国オレゴン州ポートランド郊外にある通称カマス・オーディオ・ラボに足を踏み入れる事が出来ました。

同社では10月に新たなヘッドセットとして「G933」「G633」を発売しますが、そうしたヘッドセットの開発現場を覗きました。

■ヘッドセットができるまで

最初に案内されたのは試作品を作るための部屋。多種多様な素材や部品がストックされ、加工用の機械や、最近では大型の3Dプリンターも導入され、試作品の製作はこのラボの中で完結するそうです。

今回の「G933」「G633」ではプロジェクトに約18ヶ月を費やしていて、この作品の製作まではプロジェクトの前半の約6ヶ月が充てられたそう(新たなフラグシップモデルであり、全体の期間は比較的長いようです)。

内部機構の開発は同時並行的に行われるため、当初は前機種のものを用いながら、使用する素材の選定やデザイン製作が行われていきます。フォームモデルの製作では3Dプリンターが活躍しているよう。スピードを速める事ができ、試行錯誤が繰り返せます。とりかく多くの組み合わせをテストするということで、耳あての部分でも微妙に異なる素材が何十と検証されたそう。ちなみに「G933」「G633」では通気性の良い素材が採用されています。

音を発生させるヘッドセットのコア部分の開発には高価な設備が用意されていました。新たに採用された新開発の「Pro-G」ドライバーでは特別な素材で振動板が作られています。この性能を評価する機械は、音を流している状態の振動板にレーザーを当て、周波数によってどの程度の歪みが生じるか測定するものでした(日本のキーエンスのロゴが見えました)。振動板の歪みが大きくなれば人の耳にも割れや雑音として聞こえる成分が増えることになります。

また性能評価には外部からの音をシャットアウトし、音の反射を防ぐ機構を備えた無響室が欠かせません。このラボにも建物の構造からは独立した無響室が構築されていて、なんと建設には100万ドル(約1億2000万円)と半年以上の期間を要したそうです。サイズも大きく、十数人が入れる規模に取材陣からも驚きの声が上がっていました。

無響室の中央には人体の模型が置かれ、ヘッドセットが準備完了状態。ここに音を流して、性能を外に置かれたモニターでチェックします。こうした静かな環境とは逆で、賑やかな環境でどのような性能が出せるかもチェックを行うそうです。

無線装置を備えたヘッドセットは各国ごとの様々な規制をクリアしなくてはなりません。そうしたテストを行う多種多様な設備も用意されていました。

最初に案内されたのはトランスミッションのテストをする機械です。機械の中には本体とアンテナが置かれ、自動で回転しながら両者の位置関係を変えながら、通信品質を外のモニターで確認しています。最新の製品ではアンテナが2本になり、位置を工夫したことで従来と比べて50%程度の改善があったそうです。

次に5000万ドル(約6000万円)はかかったという部屋では外部の電波がシャットアウトされた環境で、製品の出力電波が各国の規制を下回る範囲になっているか検証しています。また、製品同士の干渉などもテストされます。同社では自社での試験を通過したものを、外部の認証機関でのテストも行い、各国政府の審査に出すというフローを取っているそうです。こうしたテストを専門に行う企業も存在しますが、コストや時間を考えれば自社で建設した方が安上がりだといいます。

最後は静電気の影響を調べる部屋もありました。スタンガンのような機械で実際の製品に電気を流して影響がないかどうかを検査します。日常空間で使用される製品ですから、静電気で煙が上がったり、ましてや火が付くようでは出荷できないというわけです。

このように様々な検査を経て、工場で生産可能な製品として出来上がりを迎えるというわけです。

より良いゲーム音楽を実現するたの努力も進められています。当然の事ながら、開発段階では様々なタイプのゲームを遊んで、適切なサウンド環境が実現できるかどうかをテストしているそうです。

それに加えて「G633」「G933」では「DTS Headphone:X」と呼ばれる高品質のサラウンド技術に対応。DTS社が開発した11.1chのサラウンドシステムで、まだ対応する音源が少ないのですが、この製品では5.1ch以上の出力に対応していれば効果を体験することができます。筆者も体験しましたが、ドルビーサラウンドと比べて空間での音の広がりを強く感じました。

特に背後からの音が重要になるFPSでは効果が高いと考えられます。11.1chに対応していない音源でもプリセットのプロファイルを選べば迫力の音を得られます。「Logitech Signature Room」と呼ばれる部屋では、ミニシアターが構築され、実際にゲームを遊ぶような空間でその製作が進められていました。

ポートランド郊外のカマスという小さな町は、自然豊かで空気も綺麗な場所で、こうしたラボでヘッドセットの開発が進められているというのは驚きでした。また、これは筆者の主観ではありますが、ラボのスタッフはみなジェントルマンといった雰囲気で、そこに最先端の設備への投資が加わって、市場に出回っている良質なヘッドセットが出来るのだと強く感じた訪問でした。

ヘッドセットはこうして作られる!ロジクールの研究開発施設に潜入してきた

《土本学@INSIDE》
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