【木暮祐一のモバイルウォッチ】第82回 「Ingressで地域振興」、成功のカギを握るのは? | RBB TODAY

【木暮祐一のモバイルウォッチ】第82回 「Ingressで地域振興」、成功のカギを握るのは?

米Googleの社内スタートアップであったNiantic Labs(ナイアンティックラボ)が開発・運営してきたスマホ向け位置情報ゲーム『Ingress』(以下、イングレス)。2012年11月にベータ版の運用を開始し、2013年10月から誰でもが遊べるゲームとして正式公開された。

ブロードバンド その他
ポータル申請合宿の一場面。学生の視点から「ここに来てもらいたい」という場所を探すのは楽しい
  • ポータル申請合宿の一場面。学生の視点から「ここに来てもらいたい」という場所を探すのは楽しい
  • イングレスのゲーム画面。リアル(現実)空間がゲーム空間になる
  • 企業とのタイアップで、ローソンや三菱東京UFJ銀行、ソフトバンクショップなどもポータルとなっているが、今夏は伊藤園がイングレスユーザー向けのキャンペーンを展開、一部の飲料自販機でイングレスアイテムをゲットできる
  • たかたIngress研究会の協力により一関市で実施された初心者向け講習会の案内
  • 下北半島の知られていない名所・旧跡を探しながら、ポータル申請のゼミ合宿を挙行。多くのベテランプレイヤーの支援を受け、4日間で231カ所のポータル申請を行った。結果はいかに
  • 8月1日に開催されたFS一関
  • FSでは、グループに分かれてイングレスを楽しみながらレベルアップを図る
  • 木暮祐一氏。青森公立大学 准教授/博士(工学)、モバイル研究家として活躍し、モバイル学会の副会長も務める。1000台を超える携帯コレクションを保有
 米Googleの社内スタートアップであったNiantic Labs(ナイアンティックラボ)が開発・運営してきたスマホ向け位置情報ゲーム『Ingress』(以下、イングレス)。2012年11月にベータ版の運用を開始し、2013年10月から誰でもが遊べるゲームとして正式公開された。

 2015年3月にはアプリが日本語化されたため、日本のユーザーも急増。Googleが本年6月に公表したデータではすでに世界でアプリが1,200万以上ダウンロードされており、世界25万人以上のユーザーがライブイベントに参加している。

 日本のユーザー数はトップの米国に次いで多いという。アプリはGoogle PlayおよびApp Storeで無料で提供されており、アイテム課金も存在しない。Googleの提供するサービスとなっていたため、プレーするためにはGoogleアカウントが必要となっている。

 このイングレスは、位置情報を活用し、現実空間にある文化的・芸術的・宗教的に重要な場所が「ポータル」としてスマホ上に表示され、このポータルを巡ってプレーヤーはエンライテンド(緑)またはレジスタンス(青)のどちらかの陣営に属し争奪するという陣取りゲームとなっている。

 現実世界で展開されるというゲームの特性上、ユーザーが自分の住む地域であっても意外な名所・旧跡に出会えたり、地域のプレーヤー同士によるコミュニティが形成されるなどの面白さが認知されるようになり、日本語化と相まってユーザーは順調に増えているようだ。さらには岩手県や神奈川県横須賀市など、イングレスを観光振興に活用しようとする自治体も出現している。

■Googleから独立することになったイングレス

 そんなイングレスだが、これまでGoogleが一部門のサービスとして提供してきたが、12日(米国時間)にNiantic LabsがGoogleから独立。Nianticとして「イングレス」、およびNiantic Labsが運営してきた観光案内アプリ「Field Trip」とともに独自に運営していくと、アプリを利用するユーザー向け告知メールが配信された。

 これによると、ユーザーのすべてのイングレス関連データはGoogleからNianticに自動的に移管されるという。移管作業は告知日(12日)から30日以内となっており、移管を望まない場合は期間中にWebページからオプトアウトする必要があるとしている。オプトアウトすると、9月11日までにすべてのユーザーデータは削除され、元に戻せなくなる。

 Googleはこの前日、持株会社Alphabetの設立とGoogleの完全事業会社化を発表している。NianticがAlphabet傘下の独立企業になるのか、あるいは完全にGoogleを離れるのかは不明だが、いずれにしてもこの再編の一環と考えるべきであろう。

 位置情報を使ったゲームという性格上、ユーザーの行動履歴を含むさまざまなデータがゲームを通じてGoogleに収集されている。そのデータが移管されることになるのであろうが、そうしたデータがNianticによってどのように活用されるのかなど不明な点も多い。
《木暮祐一》

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