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【木暮祐一のモバイルウォッチ】第82回 「Ingressで地域振興」、成功のカギを握るのは?

ブロードバンド その他
ポータル申請合宿の一場面。学生の視点から「ここに来てもらいたい」という場所を探すのは楽しい
  • ポータル申請合宿の一場面。学生の視点から「ここに来てもらいたい」という場所を探すのは楽しい
  • イングレスのゲーム画面。リアル(現実)空間がゲーム空間になる
  • 企業とのタイアップで、ローソンや三菱東京UFJ銀行、ソフトバンクショップなどもポータルとなっているが、今夏は伊藤園がイングレスユーザー向けのキャンペーンを展開、一部の飲料自販機でイングレスアイテムをゲットできる
  • たかたIngress研究会の協力により一関市で実施された初心者向け講習会の案内
  • 下北半島の知られていない名所・旧跡を探しながら、ポータル申請のゼミ合宿を挙行。多くのベテランプレイヤーの支援を受け、4日間で231カ所のポータル申請を行った。結果はいかに
  • 8月1日に開催されたFS一関
  • FSでは、グループに分かれてイングレスを楽しみながらレベルアップを図る
  • 木暮祐一氏。青森公立大学 准教授/博士(工学)、モバイル研究家として活躍し、モバイル学会の副会長も務める。1000台を超える携帯コレクションを保有
■観光客誘致よりも「地元再発見」が面白そう

 FS一関には、遠いところで関西や中部地方からも参加者があるなど、イベントをきかっけに観光も兼ねて参加してくるユーザーも少なくない。観光地巡りもいろいろな手段があるが、イングレスというゲームを通じて、その地域の観光スポットを巡り、同時にゲーム内のレベルアップも図ろうというパワーユーザーも増えているようだ。

 その一方で、イングレスの普及啓発に取り組む関係者は、地元のユーザーをもっと増やしていきたいと目論む。地元のユーザーが増えれば、その地域のポータルももっと増やすことができる。

 ユーザー自身も、長年その場所に暮らしながらも「こんな場所があったのか」というような、ゲームを通じて地域における新しい発見を楽しむことができるという。実際に、イングレスを使うことで、地元への関心がますます高まり、また知らなかった歴史や史跡・名所などに足を運ぶきっかけとなったという声を多数聞いた。

 FSはNiantic Labsの公式イベントとして全世界で展開されているが、正直なところまだまだ敷居が高いと感じている。筆者の場合、スマホにゲームのインストールはしており、最低限のプレー方法は理解していたので、出張先などでたまに遊んでいたレベルだ。しかしながら、イングレスは知れば知るほどいろいろな機能が内在し、またレベルがアップしていくごとにできることも増えていく。

 FSでは、実際にどうやってゲームを攻略していくかということを、短時間で実践を伴いながら学ぶ場である。初心者向けのイベントとはいえ、最低限の知識を持って臨まなくてはイベント自体の足を引っ張ってしまう印象を受けた。

 また、先だって筆者が勤務する大学のオープンキャンパスでの模擬講義(大学の授業の一端を体験してもらう高校生向け授業)内で、「イングレスというゲームを知っている人」と問いかけてみると、約150人居た聴講者(大半は高校生)のうち、挙手してくれたのは1割に満たなかった。まだまだイングレス自体の認知が高いとはいえない状況である(浸透している世代層の違いも考慮すべきだが)。

 地域をより深く知ってもらうことができるゲームと考えれば、スマホを持つシニアにもぜひとも楽しんでもらいたいところだ。そう考えると、Niantic Labsの公式イベントである必要はないので、まずはアプリのインストールから始めるような、“超”初心者向けの講習会を各所で実施するといいのではないかと感じた。

 実際に、そういう取り組みも始まっているようだ。一関市でもこうした活動が重要と考え、さる6月6日に、「たかたIngress研究会」(岩手県陸前高田市)の協力のもと、「初心者講習会&まちあるき」とした市民交流的イベントを実施している。こうした地道なユーザーの裾野を広げる取り組みは重要である。
《木暮祐一》
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