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ユーザー目線の付加価値創造でMVNOの進化を加速させる……「モバイルフォーラム2015」開催

ブロードバンド 回線・サービス
総務副大臣 西銘恒三郎氏も駆けつけた
  • 総務副大臣 西銘恒三郎氏も駆けつけた
  • テレコムサービス協会会長 是枝伸彦氏
  • ジャーナリストの石野純也氏による基調講演も開催された
  • 三菱総合研究所 主席研究員 西角直樹氏
  • パナソニックが展開するMVNOサービスにもスポットが当たった
  • 日本通信 代表取締役副社長 福田尚久氏
  • プロダクトショーケースも用意され、MVNO各社の取り組みが紹介された
  • プロダクトショーケースも用意され、MVNO各社の取り組みが紹介された
 続いてMVNO事業者を代表して、日本通信 代表取締役副社長の福田尚久氏が登壇した。福田氏は「日本通信は創業時から世界初のMVNOサービスを立ち上げ、今日まで業界をリードしてきた」と強調しながら、同社がこれまでに展開してきたサービスの紹介を行った。

 福田氏は「MVNOの使命は、携帯事業者ができない・やりたくない通信サービスを提供することだ」としながら、MNOだけでは全てのユーザーニーズを汲み取ることはできない。だから細かな部分をフォローするために、全員参加で取り組む必要があるとの持論を展開した。

 2011年に050モバイルIPフォンのサービス提供を開始し、同年には防災ツールとして社会貢献を果たした。また、子会社の丹後通信では“イノシシ対策”の遠隔監視装置を京丹後市に提供し、地元に密着したMVNO事業の成功事例を築いた。米国では現地のMNO2社と組んで、銀行向けのデュアルネットワークルーターを提供している。「さらに、今最も力を入れているのは固定電話番号をスマホで提供するFMCフォンサービス。格安という料金だけでなく、新しい価値を提供することが実際に可能だ」と福田氏は説いた。

 福田氏は「MVNOはいま海外の展開の方が進んでいる。先端をめがけてスピードを上げて取り組む必要がある。これからのIoTの時代に、日本が世界で最もリードしているという環境を作りたい。そのためには地方にお住まいの方々や、異業種の方々と一緒になって全員参加で取り組む必要があるだろう」と指摘した。

 続いて執り行われたパネルディスカッションには、NTTドコモから阿佐美弘恭氏、シャープからは新井優司氏が参加。ジャーナリストの石野純一氏、MVNO委員会副委員長の島上純一氏、全国地域婦人団体連絡協議会の長田三紀氏、イオンリテールの橋本昌一氏が列席し、モバイルサービスのさらなる充実・多様化に向けた議論が交わされた。モデレーターは企の代表取締役であるクロサカ タツヤ氏が務めた。

 ディスカッションの中では「MVNOの認知は広がっているというが、これからスマホを持つという高齢者や子供のユーザーなど一般の方々への普及はまだまだ」という声も上がり、その使い方とメリットをより丁寧に説明していくことの重要さが指摘された。またMVNOのユーザーが増えてきた時には、各事業者ごとに異なるサービス品質の差も明らかになり、エリア品質に関しても違いを問う声が高まるだろうという見解も飛び出した。既に見えている課題は可能な限り速く対処していくことが必要という方向に議論がまとまる展開もみられた。

 MVNOに関連する注目すべきサービスについて、モデレーターのクロサカ氏に訊ねられたジャーナリストの石野氏は、パナソニックのSIMを搭載するコミュニケーションカメラ「DMC-CM1」と、同社が展開を始めたMVNO事業などを例に挙げながら、メーカーがそれぞれの商品の魅力を高める使い方でSIMによる通信機能を組み込むことが、エレクトロニクスによるライフスタイル革新につながるだろうとコメントした。

 冷蔵庫などホームアプライアンスに通信機能を組み込むことによって、ユーザーサポート体制を新たに構築し直す必要も出てくるのではないかという方向へ議論が及ぶと、全国地域婦人団体連絡協議会の長田氏は「その問題はMVNOが出てくる以前から総務省でも研究会で議論されている。情報家電が普及すれば、対応窓口を一元化しなければならないという課題も出てくるもの。情報家電の場合、どこまで理解して家電を使っているかも含めて、時間もかかるので皆が使うのが億劫になってしまうのでは。様々な製品に関するサポートを一手に受けられるコールセンターが必要」と述べた。これに対して、イオンリテールの橋本氏は、イオンスマホを販売するにあたって、Face to Faceで顧客に対応するサポート窓口の必要性に着目し、問い合わせ窓口の一元化に取り組んでいることを紹介した。

 有識者によるディスカッションに耳を傾けると、MVNOによるサービスにはこれからも多様な成長の方向性があることが見えてくるとともに、浮き彫りになるであろう課題も山積していることがみえてくる。しかしながら、スマートフォンやタブレットをはじめ、端末の進化にある程度の落ち着きが見え始めたいま、モバイル通信サービスの中でユーザーに最も近いものの中で、大いに注目を浴びそうなトピックスがMVNOの周辺にあることは間違いないだろう。今年もまた賑やかな話題を振りまいてくれることを期待したいと思う。
《山本 敦》
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