【監督インタビュー】映画『ゼロ・グラビティ』を生み出した父息子の二人三脚 | RBB TODAY

【監督インタビュー】映画『ゼロ・グラビティ』を生み出した父息子の二人三脚

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来日したアルフォンソ・キュアロン監督
  • 来日したアルフォンソ・キュアロン監督
  • 『ゼロ・グラビティ』 (c) 2013 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.
  • 『ゼロ・グラビティ』 (c) 2013 WARNER
  • アルフォンソ・キュアロン監督
  • ジョージ・クルーニー、サンドラ・ブロック、アルフォンソ・キュアロン監督/NYプレミア
  • 『ゼロ・グラビティ』 (c) 2013 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.
 2013年後半、一本の作品が映画界で注目を集めた。ここしばらくの傾向通り、スーパーヒーローものとシリーズものが全米興行上位を占める中、ヒーローや悪党は出て来ないばかりか登場人物はほぼひとり、会話も少なく、全編ほとんど真っ暗闇…と、ヒットの法則に逆行するような映画が、世界46か国で1位を記録。その『ゼロ・グラビティ』が先週末、いよいよ日本でも公開を迎えた。

 本作は、宇宙に放り出されるという絶望的状況からの再生を描いたドラマで、まるで宇宙でロケをしたかのような未体験の無重力映像が話題を呼んでいる。製作は4年半にも及び、この映画のために開発された技術も多い。そしてその見事な映像がスクリーンで活きるのには、確かな脚本とそれを生み出した監督アルフォンソ・キュアロンと息子ホナスの二人三脚がある。

 キュアロンは話す。「息子に言われたんだ。小さい頃から映画の現場に連れ回されていたし、お父さんの友達はみんなフィルムメーカーで、話はいつも映画のことばかり。寝かしつけの時だって、絵本のかわりに、これから作りたい映画の物語を聞かされていたんだから当然だろ? って」。

 「当然」というのは、ホナスが映画の仕事に就いたことについて。しかし『天国の口、終りの楽園。』『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』で知られるキュアロンは、息子に「映画をつくりたい」と言われたときは最初驚いたという。「むしろ別の方向に行くように仕向けていたからね。でも彼が22、3歳のとき、作品を見た瞬間才能あるな、と思ったよ」。

 いくつかのプロジェクトを経て、今回初の公式親子コラボレーションとして生まれた『ゼロ・グラビティ』。ホナスにとって初のメジャー映画になるが、むしろ息子に教えてもらったことも多い、とキュアロンは説明する。
 「仕事をする上で、巨匠たちをお手本にするということは大切だが、年を重ねると、若い巨匠たちを参考にするということも必要になってくる。彼らは若いからこそ恐れ知らずで、先入観がない。ホナスに学んだことは、例えばエンターテインメント性がありながらもギークな部分、両方あってもいいという考え。彼は純粋に楽しければいい、という考えで仕事をしていて、時にはそういう偏見を持っていない人と仕事をするのはとても新鮮だよ」。

 本作は登場人物が少ないだけではなく、従来のSF映画のように、主人公の過去の映像だとか、地球上の映像は途中一切登場しない。
 「その方が観客は完全に主人公に集中できるから、こだわったよ。フラッッシュバックや、例えばミッションコントロール(管制室)とのやりとりは入れずに、カメラが常に(主人公演じる)サンドラ(・ブロック)にあるという状態をキープしたかった。これはホナスが提案してくれたことで、彼は緊張感を保つということが得意なんだ」。

 主人公が女性、というのも二人がこだわったことのひとつ。
 「脚本を書き始め、まだ主人公に名前もなかった頃、二人とも無意識に『彼女』『ザ・ウーマン』と呼んでいたんだ。ふと何でだろう? と思ったんだけど、その方がしっくりきた。この映画の『逆境からの再生』というテーマは、男女関係なく重ね合わせられるものだけど、どこかこの映画には女性的なものがあったんだ。母である主人公、母なる地球、生き延びるすなわち子孫を残すということ…。それにもし主人公が男性だったら、男はスーパーヒーローとか、マッチョにとらわれがちで、それは感情表現の妨げになっていたと思うよ」。

 冒頭で触れた通り、この映画は従来のハリウッドヒット作とは趣が異なり、それをサポートしてくれた映画会社のワーナー・ブラザースにとっても挑戦だっただろう。「感謝しきれない」と最後に話した。
「ハリウッドがサポートしたくなるような映画ではないんだけれど、やっぱり脚本を信じてくれたんだと思う。確かにGOサインが出るまでには何年もかかった。先ずは少しだけアニメで見せて、次にもう少し、もう少し、と。それでも映画会社はとても協力的だったと思うよ。まだ完成からほど遠い頃にモニター試写を行ったら、エイリアンとかモンスターがいたらいいという意見も実際出たんだ。どうする? と聞かれて断ったら、その意見も尊重してくれたよ」。

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