まったく新しい概念のコンピュータ「知的ナノ構造体」、実現性高まる……“粘菌”の行動原理がヒント、 | RBB TODAY

まったく新しい概念のコンピュータ「知的ナノ構造体」、実現性高まる……“粘菌”の行動原理がヒント、

エンタープライズ ハードウェア

報酬確率による「QDM」と「Softmax法」の効率比較
  • 報酬確率による「QDM」と「Softmax法」の効率比較
  • 「QDM」と「Softmax法」のパフォーマンス比較
 理化学研究所と情報通信研究機構(NICT)と東京大学は12日、まったく新しい概念のコンピュータ「知的ナノ構造体」が構築できることを、実際のデバイス構成を想定したシミュレーションにより実証したことを発表した。

 「知的ナノ構造体」は、単細胞生物である「粘菌」の行動原理に基づき、ナノサイズの量子ドット間の近接場光エネルギーの移動を用いて、高効率に意思決定をするコンピュータだ。「粘菌」は、脳をもっていないのに迷路の中に置かれたエサに最短距離でたどり着くことができる。

 こうした、動的に変化する不確定な環境下で速く正しい意思決定を要求される局面については、「多本腕バンディット問題」(複数のスロットマシンから多くのコイン報酬を得る問題)がモデル化されているが、今回、粘菌の行動観察の結果を使って、多本腕バンディット問題を正確にかつ高速で解決できるアルゴリズムを開発したとのこと。ナノシステム「QDM(QD-based Decision Maker)」を使った検証では、従来最速とされていたアルゴリズム「Softmax法」よりも、速く正確な意思決定が実現できることを、シミュレーションにより実証した。

 さらに、このアルゴリズムは、粘菌の行動原理に類似した動的特性を、多様な物理プロセスに置き替えることでデバイスに応用可能だという。今回の成果は、ナノスケールでの物理プロセスにこれらの特徴を活用し、まったく新しい原理で動作する“知的コンピューティングデバイス”などを構築できることを示唆している。「動的に変化する不確実な環境下で速く正確な意思決定」を要求される数多くの局面で有用なため、モバイル通信技術における最適通信チャンネルの決定、金融工学における最適資産配分の決定などへの応用が期待できる。なお本研究成果は、英国のオンライン科学雑誌『Scientific Reports』に掲載された。
《冨岡晶》

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