【インタビュー】ライフスタイルと結びつき、ネット銀行の裾野を広げる「スマホ銀行」へ!……じぶん銀行に聞く | RBB TODAY

【インタビュー】ライフスタイルと結びつき、ネット銀行の裾野を広げる「スマホ銀行」へ!……じぶん銀行に聞く

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じぶん銀行 取締役 勝木朋彦氏
  • じぶん銀行 取締役 勝木朋彦氏
  • じぶん銀行 経営戦略部長 池ノ内豊氏
  • スマホアプリ トップ画面
  • 周辺のATMが検索できる
  • WebMoneyとの連携
  • 携帯電話番号による振込み
  • メニュー一覧
  • トップ画面下に表示するメニューを設定することができる
 オンラインバンキングやおサイフケータイなどは、一度慣れてしまうとなかなか手放せない便利さがある。そして、PCや携帯電話から物を購入したり、支払いを行ったりすることは特殊なことではなくなっている。

 この傾向はスマートフォンの普及によってさらに顕著になっている。この状況を予想していたかのように、4年前に携帯電話やスマートフォンに特化したネット銀行をスタートさせたのが「じぶん銀行」である。

■モバイルに特化したネット銀行としてスタート

 じぶん銀行は、KDDIと三菱東京UFJ銀行(BTMU)が協同して設立されているが、そのねらいについて、じぶん銀行 取締役 勝木朋彦氏は次のように語る。「事業の立ち上げ当時からITのライフスタイルへの浸透が進んでいましたが、その中でモバイルへのシフトに目をつけ、通信キャリアと金融機関が結びつくことで、新しいビジネスを創出し、顧客にも銀行サービスの新しい付加価値を提供できるのではないかと考えました。」

 同社は、ネット銀行としては、ジャパンネット銀行、楽天銀行(旧イーバンク銀行)、ソニー銀行などと比較すれば後発組だが、先発組は、PCやブラウザ環境を前提としたオンラインバンキングなどがメインであり、モバイル端末(当時はまだフィーチャーフォンが主流だった)に特化したネット銀行は世界でも珍しい存在だったという。勝木氏も、モバイルデバイス、とくにスマートフォンの普及は確信していたが、そのペースは想定以上であり、今や、あらゆるネット上のサービスにおいて、デスクトップにとらわれないノマドライフは世界的な動向となっている。

 じぶん銀行の利用者層は、20~30代が多く、これに40代を加えると全体の80%以上を占めるという。この年代では、基本的に男女ともに何らかの職業に就いている場合が多いが、利用者の中には主婦なども少なくないそうだ。男女比は、55:45と若干男性が多く、ほぼ拮抗している。一部のオンラインバンキングやオンライントレードのような、投資など特定目的の層に偏ることがなく、多くの人が生活に必要なサービスとして利用していることが伺える。

■モバイルならではの差別化ポイント

 ちなみに、KDDIが出資しているということで、利用者の契約キャリアに偏りがあるのではと思いがちだが、その構成比はauユーザがおよそ60%、ドコモが20%、ソフトバンクが15%、残りがイーモバイルとなっており(現状、ウィルコムユーザーは口座開設ができない)、思っていたほどの偏りではない印象。「すべてのサービスはマルチキャリア対応であり、口座開設方法やサービス内容にも契約キャリアによって大きく差がつくということはありません。(勝木氏)」とのことだ。

 以前の通信キャリアの場合、多くのサービスを垂直統合することで、キャリアへの囲い込みを強める戦略をとることが多かった。しかし、オープンプラットフォームであるスマートフォンの時代には、その発想はサービスやビジネスの領域を狭めることにしかならないのだろう。

 モバイルに特化しているというところで、他のネット銀行やリアル銀行と比べて特徴的なのはやはりアプリの使い勝手。じぶん銀行がサービスを始めた2008年は、端末のほとんどがフィーチャーフォンだったが、同社は口座開設を始め、基本的な機能は全てアプリ一つで行えるようにした(フィーチャーフォン向けアプリはauケータイ限定)。スマートフォンではアプリのダウンロード・インストールは当たり前だが、フィーチャーフォンでその選択をしたのは、操作性やサービスの利便性を考えてのことだそうだ。

 ログイン方法や画面の見やすさ、テンキーでの操作を最適化するために専用アプリにこだわることで、携帯電話向けのブラウザやキャリアごとのインターネット接続サービス利用に比べて、操作性やセキュリティを向上させた。

 もちろん現在はスマートフォンアプリをメインに展開しており、スマートフォンの特性を活かしたさまざまな機能を提供している。PC向けのオンラインバンキングとの差別化ポイントはというと、GPSを利用した周辺のATM検索機能やサーバー型電子マネーとのリンクなどがある。電子マネーとのリンクの例としては、WebMoneyのウォレットにじぶん銀行の口座から直接ポイントを送金できる。

 モバイルSuicaへのオンラインチャージ機能にも対応。これは、じぶん銀行のアプリから、スマートフォン用のSuicaチャージアプリを呼び出す形で実行できるが、現在銀行口座から直接チャージできるのはみずほ銀行、三菱東京UFJ銀行とじぶん銀行だけだ。ちなみに、チャージ手数料がかからないのはじぶん銀行のみだという。

 また、端末の電話番号と紐づけて、じぶん銀行の口座間の送金を簡単に行うことや、メールアドレスへの入出金連絡もできる。これは、例えば子供への仕送りなどの際も安心感があり便利だ。端末と個人の結びつきが弱いPCやWebブラウザ経由のオンラインバンキングでは、システムが大がかりになったり認証に複雑な手順が必要となるが、まさにモバイルならではの機能であるといえる。KDDIが出資していることで、モバイルセキュリティをしっかり担保できていることも大きなポイントだ。

■今後の戦略

 従来のネット銀行から、モバイル、とくにスマートフォンに特化した「スマホ銀行」として事業を拡大してきたじぶん銀行だが、今後はどのような戦略を展開していくのだろうか。

 「ネット銀行というと、例えばオークションの決済に便利とかネットショップでの支払いがしやすい、あるいはオンライントレードに必要などといった特定のニーズに向けたものでしたが、スマートフォンがもたらしたライフスタイルの変化は、ネット銀行のユーザ層のすそ野を確実に広げています。今後は、外貨預金や資産運用などの金融商品についても力を入れていきたいと思っています。」と説明するのは、じぶん銀行 経営戦略部長 池ノ内豊氏。池ノ内氏によれば、外貨預金や資産運用といっても富裕層向けのプランだけでなく、少額から取り扱えるようなものも用意し、出来るだけ気兼ねなく利用できるようにハードルを下げていきたいとのことだ。

 機能的な部分では、タブレットサイズの画面を活用した専用のサービスや、フィーチャーフォン向けでは提供していたクイック口座開設のサービスもスマートフォンに対応させる準備を行っているという。タブレット専用アプリは、複数のグラフを1画面で確認できるような金融商品向けのものなど面白いかもしれない。

 最後に、スマホ銀行があまりサービスを広げると、リアル店舗の銀行と競合したりしないのか、という質問をしてみたところ、「その点は、リアル銀行もネット銀行もあまり気にしていないと思います。それぞれのサービスの特徴や使いやすさなどから、利用者がうまく使い分けているのが現実のようです。ネットもリアルも一長一短ありますから、どちらか一方で完結するというものでもありません。(池ノ内氏)」と答えてくれた。

 ネット、リアルを問わず、ユーザーはそれぞれの目的や状況によりサービスを使い分けている。場所や時間に縛られないネット銀行では特にそれが顕著で、例えば、富裕層で資産運用系に関心があればA銀行、金利重視であればB銀行、という具合に、各ネット銀行の特徴に応じて選び分けが行われる。じぶん銀行の特徴は無論「モバイルに強い」こと。24時間、場所を選ばずTPOに左右されないモバイルの特徴は、相場が常に変動する為替取引などとも親和性が高い。スマホを通じて簡単に口座開設が出来ることは、初めてネット銀行を使う人の裾野を広げる。これから先、スマートフォンやタブレットがますます普及していくことは間違いない。4年前他社に先んじて獲得したモバイル・スマホ特化という立ち位置は、今後さらに大きなアドバンテージとなっていくはずだ。
《中尾真二》

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