【ERPの最新動向 Vol.1】ERPの最新動向、中小・中堅企業が求める要件とは?(後編) | RBB TODAY
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【ERPの最新動向 Vol.1】ERPの最新動向、中小・中堅企業が求める要件とは?(後編)

エンタープライズ ソフトウェア・サービス
大塚商会 コンサルティングサービスセンター 部長 向川 博英氏
  • 大塚商会 コンサルティングサービスセンター 部長 向川 博英氏
  • 基幹業務系と情報系の連携で、経営データの蓄積と自社の強みを活かしたシステムを構築
  • 全ての層で、基幹業務データの有効活用を促す
  • 情報系(eValue NS)と基幹系(SMILEシリーズ)のシームレスな連携が強み
 パッケージ導入前編で述べたように、ERPを導入した場合のメリットは、中小・中堅企業にとっても大きなものだが、やはり導入する上で最大の関心事はコスト面の話だろう。コストは、導入時あるいは運用時の両方を見ていかなければならない。いずれも気になるところだが、まだ導入に踏み切れない中小・中堅企業が挙げる理由の多くは費用対効果が分からないというものだ。

 導入コストを抑えるために、中小企業ではクラウドサービスを導入するという動きも見られる。これまでは万が一のサービス停止などを考えて、基幹系のクラウドサービスを避ける向きもあったが、最近ではそういったイメージもだいぶ薄れてきたようだ。

 ただし、製品選定の条件として、操作性や既存システムとの連携、カスタマイズなど細部まで検討していくと、まだ現状ではクラウドサービスは厳しいという見方は否めない。「クラウドサービスは、水道の蛇口やガス栓をひねるように簡単に利用できます。しかし基幹系の業務にはお客様の独自プロセスもあり、ちゃんと使おうとするとカスタマイズしなければならない部分が出てきます」(大塚商会 コンサルティングサービスセンター 部長 向川 博英氏)。クラウドサービスは初期費用も安く導入は簡単だが、柔軟性に欠け、利用料金の累積なども勘案する必要がある。やはりERPの場合は、現状、パッケージ導入によるカスタマイズのほうが現実的な解となるだろう。

■導入および、追加コストを抑える工夫

 パッケージを導入に関して、機能をモジュール化し、必要最小限でスモールスタートできるように対応したり、業種別テンプレートで追加開発コストを抑える工夫も従来から行われてきた。大塚商会でも、テンプレートを増やす取り組みには力を注いでいる。向川氏は「どんなにパッケージ機能が強化されても、その業種業界には合わないものがあります。そのため業種業界の特性に合わせたテンプレートを、さらに多く提供していく方針です。また業種業界だけでなく、業務からも深堀したテンプレートをつくっています」と説明する。

 一方で、最近ではパッケージをカスタマイズしない流れが加速してきていることも事実だ。「やはり、なるべく安くERPを使っていただくことが重要だと思います。そこでとりもなおさずカスタマイズをしないという流れになってくるわけです。しかし、それでもカスタマイズしなければならない部分は必ず残りますよ」と向川氏。企業の業務には、このやり方でなくては本当にダメというものもあるからだ。そういった部分は、企業にとって強みになっている部分でもある。「たとえば即日配送ができる仕組みや、いつでもどこでもお客様の問い合わせに応えられる仕組みなどの独自業務がそれに当たります。コストをかけられないからといって、その大事な部分をパッケージに合わせてしまっては、業務改善どころか、本末転倒になってしまいます」。

 また、いざ独自にカスタマイズする場合でも、コスト以外の問題がないわけではない。それは資産を将来に渡り引き継いでいけるかどうかということだ。「カスタマイズすると、パッケージのバージョンが新しくなったときに、またカスタマイズし直すことになります。これは大変無駄な作業です。そこで従来からの手法としては、カスタマイズ部分をそのまま使えるようにアドオン形式で外付けプログラムとしてつくっておくきます。さらに我々のERPでは、このようなプログラムをつくる際にも、独自の簡易開発ツールが用意されています。従来より簡単に、お客様自身が画面や項目などを新しく追加できるような仕組みを提供しています」。こういった細かい部分のカスタマイズ化をサポートできる機能は今後さらに重要視されるだろう。

■情報系システムとのシームレスな連携

 もう1つERPで極めて重要な要件として「システム連携」(データ連携)が挙げられる。ERPでは会計情報を中心に、人事情報、生産情報、販売情報などの連携が図られている。最近では中小・中堅企業向けでもBI(ビジネス・インテリジェンス)やCRMなどの連携をカバーした製品も登場。またERPと連携するのは何も基幹業務系に限ったものではない。「実際に業務を行うときは、承認が必要なプロセスも多くあります。たとえば出張申請業務では、上長にあらかじめ申請し、その承認を得たうえで、実行しなければいけません。そのあとで具体的な出張旅費が決まり、最後にお金を精算するという手続きを踏んでいくことになります。つまり基幹業務系だけでなく、情報系システムとの連携も重要になっているのです」。

 実は大塚商会では昔から基幹系/情報系の二本柱でソリューションを展開し、それらが完璧な形でシームレスに連携できるという強みもある。最近では中小・中堅企業を対象にするERP製品も多く出揃っているが、企業の成長に合わせた形での対応ができる製品はほとんどない。「自社でカスタマイズに対応できない」「テンプレートの数が少ない」「内部統制に対応できない」「情報系との連携ができない」。そういった問題を解決するソリューションをすべてカバーしているのが、大塚商会のERPパッケージなのである。次回からは具体的な製品である「SMILEシリーズ」について見ていこう。
《井上猛雄》
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