【事例紹介】顧客のニーズを汲み取ったリアル&バーチャルでの電子ブック活用……イムラ封筒 | RBB TODAY

【事例紹介】顧客のニーズを汲み取ったリアル&バーチャルでの電子ブック活用……イムラ封筒

エンタープライズ 企業

イムラ封筒 メーリングソリューション部営業一課長 三輪智彦氏。提案資料をまじえて説明してくれた
  • イムラ封筒 メーリングソリューション部営業一課長 三輪智彦氏。提案資料をまじえて説明してくれた
  • イムラ封筒 メーリングソリューション部営業一課 塚越梓氏
  • イムラ封筒の「Rmitp(リミップ)」
  • スターティアラボ
  • イムラ封筒 メーリングソリューション部営業一課長 三輪智彦氏
  • イムラ封筒 メーリングソリューション部営業一課の三輪氏と塚越氏
 今回取材したイムラ封筒は、企業のロゴや住所の入った封筒の製作や、大量のダイレクトメール(DM)の作成・発送などを請け負う企業だ。封筒やDMなどと聞いて地味と思う人もいるかもしれないが、見た目の派手さと事業規模やその会社の業績は関係ない。封筒業界ではトップシェアを確保し、その年商は200億円以上、東証二部に上場するトップ企業である。


■ダイレクトメールと電子ブックソリューションの融合が新しいビジネスを開く

 このイムラ封筒がユニークなのは、封筒製作やダイレクトメール等の作成・発送ビジネスを続けながらも、Webサイトや電子ブックのような新しいメディアを活用している点である。同社ではダイレクトメールに関連する、さまざまなソリューションを開発、提供してきており、「Rmitp(リミップ)」という企業の販促・マーケティングを包括的に支援するポータルサイトを運営している。Rmitpは、Web経由での封筒やダイレクトメールのデザイン、作成依頼、発送などをワンストップサービスで提供。他にも、企業向けのマーケティングセミナーを企画するなど、広範な業務を展開している。

 このような取り組みの中、イムラ封筒は、新しく電子ブックとダイレクトメールを連携させたサービスを立ち上げた。具体的には、郵送する紙のカタログやダイレクトメールと同じコンテンツを電子ブックとして用意し、2つの媒体による販促ツール機能の補完および相乗効果を狙うというものだ。

 ダイレクトメールに電子ブックを活用しようと思った背景について、同社のメーリングソリューション部営業一課長 三輪智彦氏は次のように説明する。

 「カタログ通販やダイレクトメールの需要はなくならないとはいえ、ネット販売のみの店舗や企業が増えているのも事実です。このような現状の中で、リアル店舗でもオンラインショップでも両方が活用しやすいダイレクトメールや販促ソリューションを考えていました」(三輪氏)。

 三輪氏によれば、ダイレクトメールの問題点は、返信や注文があった場合のみ直接的な効果測定が可能だが、その注文に至った過程や、注文に至らずとも注目の高い商品など細かい情報が得られないことだという。Webサイトや電子ブックならこういった購入に至る過程の分析も可能である。また、同じ内容がWeb上でも見られることで、顧客の閲覧機会を増やすといった効果も期待できる。


■紙と同じ閲覧性をもち、制作も簡便な電子ブックソリューション……「ActiBook」

 しかし、ダイレクトメールの双方向性を強化したり、多元的な効果測定を実現するだけならカタログのWebサイトを立ち上げてもよさそうだ。なぜ、電子ブックなのだろうか。この点について三輪氏は、「新しいダイレクトメールのソリューションを考えていたとき、ダイレクトメールと同じ内容がネットでも閲覧できるというアイデアを持っていました。たまたま参加した展示会で電子ブックのデモを見て、これならチラシやカタログなど、顧客の手元に届く印刷物と同一のものを提供できるのではないかと考えました」と述べる。

 展示会で見たというのは、スターティアラボの「ActiBook(アクティブック)」という電子ブックプラットフォームだ。このプラットフォームを採用した理由は、PDFから簡単に電子ブックコンテンツが生成できることに加えて、電子ブックやWebサイト構築のノウハウを持たない多くのクライアントに、このダイレクトメール+電子ブックというソリューションを提案できることを挙げた。さらに、ライセンスを含む料金体系やPCのみで電子ブック環境を構築できるなどコストパフォーマンスに優れていることも採用理由のひとつだという。


■顧客のニーズを汲み取り電子化でコミュニケーションを活性化

 イムラ封筒がダイレクトメールと電子ブックを組み合わせたソリューションを提供してからまだ数カ月しか経過していないが、クライアント側からの反応も上々だという。例えば、会員数1200万人を誇るという法人に、全国に2万6000ある会員向けの優待施設のガイドブックを作成し会員に配布するという提案を行った。提案当初のクライアントの反応は芳しいものではなかったが、電子ブックとの連動を提案したところ話が急展開し、地域限定のガイドブックを20万部作ってみることになったそうだ。

 この案件を担当した同 営業一課 塚越梓氏は、この法人の関連企業とも別件の交渉を進めているという。「この会社は通信販売事業を展開しており、さきほどのガイドブックの話から、通販カタログページと電子ブックを連動させたシステム試してみたいという引き合いをいただきました」(塚越氏)。

 この企画が成功した勝因は、“会員の入会メリットを増大させるために優待施設への送客促進を図る”というクライアントにとっての課題を汲み取り、それをリアル(冊子)とバーチャル(電子ブック)とで両面展開した点にあるだろう。クライアントにとっては電子化が進むことでエンゲージまでの成果が可視化でき、会員にとっては顧客満足度の向上につながり、そして施設にとっては売り上げ機会の増加につながるというわけだ。

 他にもいくつかの電子ブック連動案件が進んでいるとのことだが、ActiBookを採用するという展示会での直感は間違いなかったということだ。

 しかし、同社のダイレクトメールと電子ブックを組み合わせたソリューションは、経験やノウハウ不足による課題もある。例えば、上記の通信販売会社の事例では、その会社がすでに運営しているECサイトのサーバーおよびECシステムの構成が特殊なもので「ActiBookとそのシステムとのつなぎ込みはベンダーの協力を得ながら進めている」(塚越氏)そうだ。ただ、この問題について、ベンダーであるスターティアラボがサポート面で大いに相談に乗っていくれている点も評価する。コールセンターの対応もよく、「クライアントの複雑なページ構成のリンクチェックを自動化するツールを提供してもらったりしている」(三輪氏)という。


■オールドメディアとニューメディアをつなぐ電子ブック

 さらに三輪氏は「社員のスキルを向上させ、電子ブック関連のソリューションを包括的に企画・提案できる人材を増やし、専任の部隊を作ることができれば」と今後の展望について語る。

 なぜなら、「小売業などでは、売上に占める店頭販売とECの比率において、後者の割合がどんどん増えていくと思っています。EC専門のショップや業者も増えています。しかし、販促におけるダイレクトメールや印刷物の新しい役割や機能も失われたわけではないと思っていますので、これらを電子ブックと連携させるソリューションの重要性が今後は増してくるでしょう」(三輪氏)との思いがあるからだ。

 たしかにここ数年、グーグルやアマゾンのようなネット企業が新聞やテレビを広告媒体として活用する事例が増えている。ここまでの巨大企業とまでいかなくても、電子ブックは、オールドメディアとニューメディアをうまく融合させることで新たな利益構造を生み出すソリューションとなりうることを、イムラ封筒の実例は証明している。
《中尾真二》

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