【FINETECH JAPAN 2011(Vol.10)】タブレット市場と日本のパネル業界の課題 | RBB TODAY

【FINETECH JAPAN 2011(Vol.10)】タブレット市場と日本のパネル業界の課題

エンタープライズ 企業

ディスプレイバンク日本事務所の代表 Harry Kim氏
  • ディスプレイバンク日本事務所の代表 Harry Kim氏
  • タブレットPCは2012年にグローバルで1億台を突破
  • セカンダリバッテリーモジュール、LCDモジュール、タッチパネルで71%の重量
  • タッチスクリーンとメインボードでコストの約半分
  • 大型液晶パネルについては、震災の影響は少ない
 「FINETECH JAPAN 2011」(ファインテック ジャパン)の技術セミナーにおいて、ディスプレイバンク日本事務所の代表 Harry Kim氏がタブレットPCやパネルに関する講演を行った。

■iPadは今後も60%以上のシェアを維持

 ディスプレイバンクによると、タブレットPCは2012年にグローバルで1億台を突破し、2015年には一般のノートPC市場の58%まで成長する見込みだという。ここではタブレットという製品が新しい市場を作りだしている点、一時期市場にブームをもたらしたネットブックの市場を侵食している点といった両面の動きを見ることができる。ネットブックは2015年まで、下降線を描いていく。

 同市場はアップルが作りだしたと言ってもよいが、iPadは今後も60%以上のシェアを維持。「1月の段階で約100種類のタブレットが見られるが、今後残っていくのは上位5社くらいだろう」とKim氏は話す。サイズ別でみると、iPadの9.7インチに次いでシェアを伸ばしていくのはサムスンのGalaxy Tab(10.1インチ)となっている。2015年のシェアでは、9.7インチ(iPad)が圧倒的だが、10.1インチ(Galaxy Tab)もその約半分に迫る。「この(アップルの)独占状態を誰がいつ破るのか?」ということが業界の課題となる。ただし、独占状態はパネルメーカーにとっては、安定的な供給先を得ている点では悪いとは言えない。アップルは現在、サムスン、LGディスプレイ、CHIMEI INNOLUXからIPSパネルの供給を受けている(IPSはLGが特許を持っている)。

 タブレットを重さから見てみると、iPad 2(Wi-Fi+3G)は613gなのに対して、Galaxy Tab 8.9(8.9インチ)は470g、同10.1(10.1インチ)は595gだ。共通して、セカンダリバッテリーモジュール、LCDモジュール、タッチパネルで71%の重量を占めているという。現在のところLCDモジュール部を軽くする手段はなく、バッテリー部、タッチパネル部で軽量化を計っていくしかない。また、タブレットはネットブックに比べればずっと低コストで作ることができるが、材料費ではタッチスクリーンとメインボードでコストの約半分がかかる。これをiPadで見てみると、販売価格499ドルの材料費総額は292.4ドルと推定される(約58%)。タッチスクリーンの部分が、重量でも価格の面でも比重を占めている(iPadの材料費詳細は別写真)。

 ちなみにタブレットのパネル・サイズに関してはまだ安定供給といえるものがなく、サムスンは有機ELにタブレットを移行させようという動きも見られるとしている。

■震災は中小型市場に影響

 同社では、大型液晶パネルについては、震災の影響は少ないと見ている。パナソニックLCDの茂原工場(千葉県)は停電で稼働停止の被害にあったが、市場シェアが低く外販比率も低いため、市場への影響は少ないとしている。また他工場も震源地から遠かったため、直接の被害はなかった。

 これに対して中小型パネルに関しては、旭硝子の京浜工場(前工程)は正常稼働で設備の被害はなかったものの、米沢の自社ラインで70%、倉元で30%を後工程(研磨)として稼働しており、倉元の被害で稼働停止という事態が起きた。顧客はSMDがメインで主にAMOLED用GLASSを供給しており、今年稼働予定の5.5世代と既存の4.5世代AMOLEDライン用GLASSの供給に影響がでるだろうと予測している。他にもAFCフィルム(日立化成とソニーケミカル 2社で90%)、ITO Target(JX日鉱 40%)などの工場も正常化しなければ中小型は難しい局面になる。アップル製品向けが、従来以上に韓国ベンダーに配分されてしまうかもしれない。

 Kim氏は震災の影響を日本がどのように受け止めていくかが課題だと話す。環境が回復して、電力も安定的に供給されるようになったとしても、今回の震災を機に、韓国や米国は安定的な生産拠点として日本を問題視するだろう。韓国は国産化をもっと進めるようになるかもしれない。日本はアジア地域での製造業の連携を高め、生産拠点を移す、あるいはトレンドマーケティングにいっそう注力していくなど再編が必要になる。
《RBB TODAY》

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