NTTとNHK、IPネットによるスーパーハイビジョンライブ中継に成功 | RBB TODAY
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NTTとNHK、IPネットによるスーパーハイビジョンライブ中継に成功

ブロードバンド テクノロジー
中継システムの概要
  • 中継システムの概要
  • グローバルIP実験網の構成
  • 高信頼・高速IP伝送システムの構成
 日本電信電話(NTT)と日本放送協会(NHK)は22日、共用タイプのグローバルIPネットワークを利用したスーパーハイビジョンの国際間のライブ中継に世界で初めて成功したと発表した。

 ライブ中継は、東京・ロンドン間で18日に行われた。NTTとNHKは共同で2006年12月末の紅白歌合戦の模様を、専用線サービスを利用して東京・大阪間でスーパーハイビジョンライブ中継したが、この度、NTTが開発した高信頼・高速IP伝送技術とNHKが開発した次世代映像・音響技術を組み合わせることにより、共用タイプのグローバルIPネットワークで国際間のスーパーハイビジョンライブ中継を実現した。今回、低コストではあるがセキュリティ面、遅延のばらつきなどの問題で課題のあった共用タイプのグローバルIPネットワークでの中継に成功し、将来は、海外で開催される大型スポーツイベントや劇場公演などのパブリックビューイングをスーパーハイビジョンの映像・音響で身近なホール等への提供が可能になるとのこと。実際の会場にいるような雰囲気をパブリックビューイング会場で楽しむことができるようになる。

 中継システムは、NHK放送技術研究所から、BBC(英国ロンドン)を経由し、NTT武蔵野研究開発センタをつないだグローバルIP実験網を、NTTの研究開発用テストベッドネットワーク「GEMnet2」及び、米国「Internet2」、欧州「GEANT」、英国「JANET」を用いて構築した。スーパーハイビジョンの映像・音声をNHKが開発した符号化装置により、ベースバンド24Gbpsの映像信号をMPEG-4 AVC/H.264符号化方式でおよそ220Mbpsに圧縮、48kHz、22.2chでトータル27.6Mbpsの音響信号をMPEG-2 AAC-LC符号化方式でおよそ1.9Mbpsに圧縮したものを組み合わせたのち、IPインタフェース装置により2つのIPストリームとして出力。そのIPストリームをNTTが開発した高信頼・高速IP伝送技術により、グローバルIP実験網を介して伝送し、受信側ではIPインタフェース装置、NHKが開発した復号化装置と専用プロジェクタを用いてスーパーハイビジョンの映像・音響を再生した。

 高信頼・高速IP伝送技術とは、高付加価値なコンテンツをインターネット等のオープンなネットワークにおいて、セキュアで高信頼な通信を可能にする技術だ。今回、270Mbpsを超す高速IPストリームを実現する共用型のグローバルIPネットワークの両端にNTTの研究所が開発したセキュアIP伝送終端装置を導入した。それにより、AES(128bit)暗号・復号とIPパケットロスの復元(LDGM-FEC)、2つのIPストリーム同士の到達時間の偏差の抑制という3つのリアルタイム処理を実現した。なお、これらの処理はスーパーハイビジョンの端末装置の設定に特別な変更を必要としない。

 今回の中継では、NTTはグローバルIP実験網の構築と高信頼・高速IP伝送技術を提供、NHKはスーパーハイビジョンの撮影・表示装置と圧縮符号化、コンテンツ制作技術を提供した。今後、お互いの最先端技術を持ち寄り、スーパーハイビジョンのIPネットワーク中継に関わる、将来の標準となるような技術を先導開発し、大型スポーツイベントや劇場中継などのスーパーハイビジョン・パブリックビューイングイベントの開催を検討していくとのこと。
《池本淳》
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