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【テクニカルレポート】VMwareストレージのプロビジョニングに伴う管理の煩雑さを解消

エンタープライズ ソフトウェア・サービス
図1)VMwareストレージのプロビジョニング・プロセス。タスクの大半をVMware管理者が担当している
  • 図1)VMwareストレージのプロビジョニング・プロセス。タスクの大半をVMware管理者が担当している
  • 図2)VMwareへのストレージ・リソースの割り当て(RCUを使用した場合)
  • 図3)vCenterからのデータストアのプロビジョニング
  • 表1)ストレージ・システムとVMwareプラグインの要件
  • 図4)RCUとVSCが実現したVMwareの新しいプロビジョニング・モデル
 ストレージ管理は、もはや従来のストレージ管理者のみが担当する仕事ではなくなっており、今日のVMware管理者の多くは、ストレージの運用やストレージ関連の問題にますます多くの時間を費やしています。

 たとえば、ストレージをオンラインにするタスクは複数の手順からなるプロセスであり、ストレージ管理者チームとVMware管理者チームの間で情報やタスクのすり合わせを行う必要がありますが、VMware管理者は不運なことに、この基本的なプロセスに関連するタスクの大半を担当しなければなりません。

 NetAppの開発部門は、ストレージ管理を簡易化するため、VMwareの開発部門と連携してきました。その結果誕生したのが、NetAppのVMware vCenter Server向けプラグインであるRapid Cloning Utility(RCU)とVirtual Storage Console(VSC)です。これらのプラグインとVMware vCenter Serverを併用することで、ストレージ管理者とVMware管理者双方のストレージ業務が合理化されます。

 ここ数カ月間Tech OnTapをご覧になっている方なら、これらのユーティリティについてはよくご存知でしょう(詳細については、『仮想インフラにおける飛躍的な進歩』を参照してください)。この記事では、それぞれのプラグインについての詳細な説明ではなく、2つのプラグインが運用全体に与える影響についてお話しします。また、VMwareストレージの新しい管理モデルもご紹介します。このモデルは、ストレージのプロビジョニング、クローニング、監視、管理を大幅に簡易化します。

■新しいストレージ管理モデル

 新しい管理モデルでも、ストレージ管理者は今までと同様に、物理ストレージ・システムの構成、データの保護、全体的な利用率の管理を担当します。ここまでは従来と変わりません。しかし、いったん物理アーキテクチャを導入すれば、VMwareをサポートするNetAppストレージ管理者が行うべき作業は、ストレージ・リソース・プール(アグリゲート、FlexVolボリューム、ストレージ・ネットワーク・インターフェイス)のプロビジョニングだけになります。その後、VMware管理者は必要に応じてリソース・プールを構成し、VMware仮想マシンの領域として使用することができます。

 このモデルでは、ストレージ管理者のタスクが大幅に簡易化されます。また、VMware管理者は、ストレージ管理者によって割り当てられたリソースを使用して、データストアをプロビジョニングし、ストレージ構成を決定し、データストアやストレージ構成を管理することができます。

 リソースの割り当ては、vCenterにログインし、RCU設定パネルを開いて行います。このパネルで、コントローラとストレージ・リソースを割り当てることができます。いったん割り当てられたリソースは、仮想インフラのみで使用されます。割り当てられていないリソースは無視され、仮想インフラからはアクセスできません。

 変更が加えられるのを防ぎたい場合は、追加リソースの割り当て権限をロックまたは制限することができます(ベスト・プラクティスとして、この手順を行うことを推奨します)。このセキュリティ保護プロセスは、ボックスにチェックを入れ、ユーザ名とパスワードを入力するだけで実行できます。

 以上で作業は終了です。上記の作業を行うだけで、ストレージ管理者はVMware環境用のストレージを準備することができます。LUNの作成、LUNマスキング、NFSエクスポート、マルチパス化を行う必要はありません。

■新しいVMware管理モデル

 次に、データストアのプロビジョニングと管理の観点から、新しいモデルがVMware管理者に与える影響を見ていきましょう。

■割り当てられたリソース・プールからデータストアをプロビジョニング

 VMware管理者は、vCenter内でESX/ESXiホスト、クラスタ、またはデータ・センターを右クリックし、表示されたメニューから[NetApp]を選択することによって、データストアを右クリックしたユニット向けにプロビジョニングできます。データストアは、FC、FCoE、iSCSI、またはNFSから選択することができ、ストレージ管理者が設定したリソース・プールの1つから構成されます。また、プラグインによって、パスの選択、VMware標準のマルチパス・ポリシーによる負荷分散、ストレージ・ターゲットのセキュリティ保護が行え、シン・プロビジョニングとデータ重複排除を有効にできます。自動化や、オンデマンドのプロビジョニング・プロセスによって、VMware管理者がメリットを得られるだけでなく、NetAppのベスト・プラクティスが一貫して実施されるため、環境全体にメリットがあります。

■データストアの管理

 ストレージをプロビジョニングした後で、サイズを変更したいと思ったことはありませんか(データストアの容量が限界に近づいている場合など)。NetAppなら、システムを停止することなくデータストアのサイズを動的に変更することも可能です(注:縮小できるのはNFSデータストアのみ)。データストアを選択して右クリックし、適切なオプションを選択するだけで、容量やストレージ効率に関する設定が変更できるため、非常に簡単です。

■VMを瞬時にプロビジョニング

 NetAppプラグインの開発は、仮想デスクトップ環境のストレージ・コストを削減する方法を探していたNetAppスタッフとVMwareスタッフによって開始されました。この開発のコンセプトは、NetAppのFlexCloneクローニング・テクノロジを使用して個々のファイルをクローニングすることにより、ストレージ・コストを削減するというものでした。その当時ではまだ、FlexCloneはLUN全体か、FlexVol全体にしか使用できなかったのです。

 FlexCloneは、その後進化を遂げ、今日ではストレージを新たに消費することなく、単一のVM、複数のVM、または仮想デスクトップのプールをほぼ瞬時に導入できるようになりました。VMware管理者は、実行中またはシャットダウン中のVM、テンプレート、vAppなどを選択するだけで、スペース効率の高いクローンを導入できます。

 一部のクローニング・テクノロジとは異なり、NetAppのクローンは、他のVMと同じように扱うことができる、ハイパフォーマンスの永続的なVMと言えます。制限は存在しません。NetAppのFlexCloneテクノロジが、vCenter、View Manager、XenDesktop、Quest vWorkspaceに統合されたのは、こうしたメリットがあったからではないでしょうか。

■VMwareストレージの設定を検証/自動化

 vCenterで[NetApp]タブを選択すると、VMware管理者は、仮想インフラでの使用に向けて構成されたNetAppストレージ・システムを表示できます。ここでは、各ストレージ・システムに接続されたESX/ESXiホストを確認し、FC、FCoE、iSCSI、NFSに関連する設定を検証して、NetAppのベスト・プラクティス・ガイドであるTR-3428(VI3)とTR-3749(vSphere)に規定された値に設定されているかどうかを確認することができます。設定を更新する必要がある場合は、1つまたは複数のホストを選択して、システムを停止せずにストレージの設定を更新できます。

 この検証プロセスは業務を中断せずにいつでも実行できるため、環境が拡大してもアップタイムを最大化できます。現在VMwareのホスト・プロファイルは、こうしたストレージ設定に対応していませんが、NetAppのプラグインによって、より完成度の高い自動導入プロセスが実現できることになります。また、ホスト設定を更新する機能が使用できるのは、vSphereホストのみです。VI3ホストには、設定の更新を自動化するAPIコールがありません。システムが既定通りに設定されていないことが判明した場合は、TR-3428で説明されている方法に従って、手動でストレージ設定を変更できます。

■ストレージの詳細と利用率に関するレポート

 [NetApp]タブでは、SAN/NASベースのデータストアのストレージ利用率に関するレポートを作成することもできます。データストアを選択すると、基盤となるストレージ・オブジェクトに関する数多くの詳細情報(LUNのシリアル番号、igroup、重複排除による削減効果、ALUAが有効かどうか)などを表示できます。

 データストアからNetAppアグリゲート(RAIDで保護されたディスクの集合体)まで、さまざまなストレージ・レイヤのストレージ利用率についてレポートを作成できるというのは、大きなメリットです。データの重複排除、FlexClone、シン・プロビジョニングなどの省スペース・テクノロジを有効にすれば、NetAppソリューションとvCenterの統合がもたらす価値は一目瞭然です。

■ストレージ障害のレポート

 NetAppのプラグインを使用すると、VMware管理者はストレージ・コントローラそのものの健常性に関するレポートを作成することもできます。物理インフラの健常性に関するレポートが参照できれば、問題の解決にかかる時間も短縮されます。

■VM内のI/O設定を最適化

 NetAppプラグインには、VM内の設定を検証、調整してI/Oを最適化できる機能もあります。1つ目のツールセットにはスクリプトが含まれており、スクリプトをVM内部から実行するか、またはVMテンプレートに適用することによって、ゲスト・オペレーティング・システム内のローカルSCSIを設定できます。

 2つ目のツールセットであるMBRscanとMBRalignを組み合わせて使用すると、VM内のパーティションとファイルシステムを検証して修正し、VMのI/O処理をストレージ・システムのブロック境界に整合させることができます。仮想マシンのディスク・アラインメントの問題は、VMwareに限ったものではなく、またNetAppストレージ特有のものでもありません。この問題は、どのようなストレージ・プラットフォームでも、また、どのような仮想環境で起こり得ます。(先頃、私のブログVirtual Storage Guy (英語)で、VMwareのDuncan Epping氏のご協力を得て この問題に関する記事(英語)を執筆し、掲載しました)。

 この問題は、Windows 2000と2003や、さまざまなLinuxディストリビューションを含む多くのゲスト・オペレーティング・システムが、デフォルトで最初のプライマリ・パーティションをセクター(論理ブロック)63で開始するために発生します。この動作のためにパーティションがブロック境界で開始せず、ファイルシステムの不整合につながります。そのため、仮想マシンがある範囲のデータ・ブロックを読み取る際に、毎回余計なブロックを読み取らなければならなくなり、ストレージ・コントローラに不要な負荷がかかります。問題の詳細と修正方法については、TR-3747(英語)を参照してください。このドキュメントは、VMware、Microsoft、Citrix、NetAppによって確認され、承認されています。

■まとめ

 NetAppストレージとNetAppのvCenterプラグインを使用すると、大きなメリットがもたらされます。これまでの、複数の手順を必要とするプロビジョニング・モデル(図1参照)は、2つの手順を踏むだけのシンプルなモデルとなりました。vCenter内部から操作を行うことができるため、ストレージ管理者もVMware管理者も、従来より速く、シンプルにタスクを完了でき、はるかにきめの細かい管理が行えます。

執筆者:敬称略

Vaughn Stewart
仮想化エバンジェリスト
NetApp

VaughnはNetAppの仮想化エバンジェリストであり、仮想化ソリューション開発チームの一員です。2009年には、VMwareからvExpert賞を受賞しています。Vaughnは、NetAppシステムにおけるVMwareテクノロジの統合について、複数のホワイト・ペーパーを共同執筆しており、The Virtual Storage Guyというブログを定期的に発表しています。年内には、クラウド環境向けのストレージ設計に関する書籍を新たに発行する予定です。ご期待ください。

※同記事はネットアップ(NetApp)の発行する「Tech OnTap」の転載記事である
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