富士通研、光スイッチの消費電力を従来の2分の1に低減することに成功 | RBB TODAY
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富士通研、光スイッチの消費電力を従来の2分の1に低減することに成功

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光スイッチを用いた次世代ネットワーク
  • 光スイッチを用いた次世代ネットワーク
  • シリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光スイッチ
  • 光スイッチ素子の上面図
  • 屈折率変調部の断面構造
 富士通研究所は9日、シリコンフォトニクス技術を適用した導波路型光スイッチについて、消費電力を約2分の1に低減することに成功したと発表した。幅広い波長に対応して高速に動作する光スイッチ素子としては、世界最小の消費電力を実現した。

 「光スイッチ」は、光通信の経路をつなぎかえる装置。光信号のまま経路を切り替えることが可能な「光スイッチ」は、消費電力を大幅に低減できる次世代ネットワークでの利用が注目されている。今回の新技術では、世界で初めてシリコンゲルマニウム(SiGe)細線構造を用いることで、従来のシリコン(Si)細線構造に比べて、消費電力を約2分の1に低減することに成功した。

 導波路型光スイッチは、光信号の入力部と出力部の間に多数の光スイッチ素子を並べた構成になっており、それぞれの光スイッチ素子の動作状態の組み合わせによって、任意の光信号の経路をつくることができる。またシリコンフォトニクス技術を用いた導波路型光スイッチは、すでに普及しているシリコン半導体製造技術を利用するもので、大量生産による低価格化が可能だ。そして大規模な導波路型光スイッチでは、多数の光スイッチ素子を同時に動作させ、その際の発熱は装置の特性を劣化させる原因となるため、個々の光スイッチ素子の消費電力をできるだけ小さくすることが必要とされている。

 光スイッチ素子では、屈折率変調部に電流を印加し、細線導波路に電子を蓄積することで屈折率を変調し、出力するポートを切り替えている。Si細線で構成されている従来の光スイッチ素子は、Si細線導波路に電子を蓄積する効率が低く、蓄積するためには多量の電流を必要としたため、消費電力が大きいという問題があった。同社では、今回、世界で初めて屈折率変調部にSiGe細線構造を導入した光スイッチ素子を開発。Si上にSiよりもバンドギャップの小さいSiGe細線を形成することで効果的に電子を蓄積できるようになり、低電力でのスイッチングを可能とした。試作された光スイッチ素子の消費電力は1.5mWとなり、従来のSi細線構造を導入した光スイッチ素子の消費電力と比較して約2分の1に低減。幅広い波長に対応して高速に動作できるタイプの光スイッチ素子としては、世界最小の消費電力を実現した。

 なお本技術の詳細は、11月7日から11日まで米国デンバーで開催される国際会議「23rd Annual Meeting of the IEEE Photonics Society(PHO 2010)」にて発表される。また、本研究の一部は、文科省科学技術振興調整費による先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム「光ネットワーク超低エネルギー化技術拠点」の事業の一環として実施された。
《冨岡晶》
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