【クラウドEXPO(Vol.1)】高まる電子書籍販売へのニーズ――スターティアの電子書籍配信プラットフォーム「ActiBook Shelf」 | RBB TODAY

【クラウドEXPO(Vol.1)】高まる電子書籍販売へのニーズ――スターティアの電子書籍配信プラットフォーム「ActiBook Shelf」

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スターティアラボ 代表取締役社長 北村健一氏(左)と、執行役員 WEBソリューション事業部 技術部長 小友 康広氏
  • スターティアラボ 代表取締役社長 北村健一氏(左)と、執行役員 WEBソリューション事業部 技術部長 小友 康広氏
  • 「本格的に電子書籍の販売を手がけたいというニーズが増えてきた反面、自社でシステムを構築したり、大手ポータルを利用するのはコスト的に見合わない、という声も多く寄せられました」
  • 「スターティアラボでは、特定のデバイスという視点ではなく、多くの方に利用していただけることを念頭に入れつつ、様々なデバイスや電子書籍フォーマットに対応していきます」
 KindleやiPadなどのタブレット端末の出現が電子書籍市場に新しい風を起こしている。コミックなどの特定分野や一部の先進的な企業・出版社・著者などは、すでに電子書籍の出版・販売などを独自に手がけている。しかし、多くの出版社や著者は、電子書籍の可能性や将来性を認めつつも、参入のハードルを高く感じているのではないだろうか。

 書籍を電子化するだけなら、いろいろな手段やツールがあるが、出版社や著者としてはそれをマネタイズできなければ、わざわざ電子化して公開する意味はない。かといって、大手の電子書籍ポータルで販売するにしても、さまざまな手続きをクリアし、対応するフォーマットの電子データを用意したりと、意外とコストがかかる。自前でこれらのシステムを構築するとなると、決済システムの構築などさらなる投資が必要だ。電子出版の方法論があるのはわかったが、もっと手軽に電子書籍の販売ができるソリューションはないのだろうか、と考えている人は少なくないだろう。

 スターティアラボのActiBook Shelfは、このようなニーズに対応するソリューションのひとつだ。ActiBook Shelfをひとことで説明すれば、「SaaS型サービスとしてEC機能のついた電子書籍配信プラットフォーム」ということになる。スターティアラボ 執行役員 WEBソリューション技術部長 小友康広氏によれば、「わが社ではすでにActiBookという電子書籍作成のパッケージを300社以上の出版社向けに提供していますが、これまでの主な用途は、出版社の書籍の立ち読み機能やキャンペーンなど、プロモーションの意味合いが強いシチュエーションでの展開でした。しかし、近年、電子書籍のブームにより、本格的に電子書籍の販売を手がけたいというニーズが増えてきました。その反面、自社でシステムを構築したり、大手ポータルを利用するのはコスト的に見合わない。もっと安く簡単にできるシステムはないのか、という声も多く寄せられました」、とActiBook Shelfの開発背景を語ってくれた。

●業界のニーズは、いかに安く・早く導入できるか

 これまで雑誌や書籍の電子化については、ActiBook Managerというオーサリングシステムと配信プラットフォームのパッケージで対応しており、もし、顧客が電子書籍の販売も行いたいということであれば、ショッピングカート機能や決済機能など、個別にシステム構築するといった方法で対応していた。またパッケージの販売方法は、比較的安い価格での買いきり方式を採用。類似のシステムの場合、システム全体を構築して、初期導入費用だけでなく、売上げのシェアが必要になったり、ソフトウェアのライセンス料が発生するモデルが多かった。その時点で同社はすでに、低コストなソリューションを提供していたのだが、新しくリリースされたActiBook Shelfでは、電子書籍コンテンツのカタログ配信機能だけでなく、ショッピングカートなどEC機能を含み、顧客ごとの「マイ本棚」機能もサポートした。これらにより低コストでの導入が可能になり、SaaS方式による使い勝手の良さが向上し、電子出版への参入ハードルが下がったと言えるだろう。

 「マイ本棚」では、電子書籍を購入したユーザーが、自分用のライブラリを配信ポータルの中に持つことができる。ActiBookの場合、コンテンツはダウンロード型ではなくストリーミング型でオンデマンド配信している。購入したのにローカルコピーが手元に保存できないのか、と思う人もいるかもしれないが、AcitBook Shelfでは、PC単体だけでなく、iPhoneやiPadなど、マルチデバイスに対応しており、コピーをいちいちすべてのデバイスに保存していなくても、必要なときに自分のマイ本棚にアクセスすればよいので、むしろ利便性は完全ダウンロード型より高いものとなっている。

 なお、モバイル端末での閲覧は、ストリーミング型の配信が中心だが、コンテンツをDRMなどプロテクトのかかった状態でダウンロードすることも可能にしているそうだ。したがって、旅行や出張の前に必要なコンテンツをモバイル端末にダウンロードしておけば、移動先でネットに接続できなくても閲覧できる。

●実際の導入手順は?

 では、ActiBook Shelfを実際に出版社などが導入しようと思ったら、どのような手続きや費用が発生するのだろうか。まず月額利用料は、9,800円(最小構成)で初期費用は98,000円と非常に安価にスタート可能だ。またSaaS型なので、サーバーやストレージといったハードウェアリソースを用意する必要もないという。だだし、9,800円というのは、ActiBook Shelfの利用料金であり、決済システムの代行業者への手数料は別途必要となる。

 配信サイトの画面デザインだが、ActiBook Shelfの申し込み時に、スターティアラボから必要なロゴデータや画像素材の指示があるので、それにしたがってデータを用意すればよい。画面デザインのカスタマイズも自社で簡単に行うことができるため、ロゴや中身が異なるだけの横並びのテナント画面になることも避けられる。

●ドメインは独自のものを付与

 電子書籍の配信、販売ポータルを立ち上げる際のドメイン名は、独自のものが割り当てられるため、販売専門の大手ポータルに委託しているようなドメイン名になることはない。ただし、完全に独自のURLにしたい場合は、コストアップになるが、SaaS型ではなく専用サーバーによるActiBook Shelfの契約が必要となる。また、もしすでに自社で印刷物の直販サイトなどを持っており、既存のドメインやURLに組み込みたい場合は、そのサーバーへのパッケージの導入が必要となる。しかし、このような運用は、印刷物の購入と電子版の購入が並列に見えてしまい、ユーザーの混乱や購入ミスのトラブルを誘発する可能性がある。

●ActiBook Shelfの説明会は大盛況

 最後に、ActiBook Shelfの販売戦略や今後の展開について、スターティアラボの代表取締役社長 北村健一氏に聞いてみた。北村氏は、「当面のメインターゲットはActiBookをすでに導入している出版社となるでしょう。300社以上の導入実績がありますが、その中で電子書籍の販売を本格化させたいと思っているところにアピールしていきたいと思っています。今後の展望について、国内からも電子書籍端末が発表され始めていますが、スターティアラボでは、特定のデバイスという視点ではなく、多くの方に利用していただけることを念頭に入れつつ、様々なデバイスや電子書籍フォーマットに対応していく戦略をとっています」と回答してくれた。

 月額使用料が発生するが、システム構築に対する大規模な初期投資が不要なので、販売見込み数量とコストのバランスがとりやすいのではないだろうか。また、予想が難しい場合でも、スモールスタートが容易なことがSaaS型モデルの特徴だ。さまざまな規模の出版社にとって検討対象になりうるソリューションというのが北村氏の思いだ。

 実際、ActiBook Shelfの説明会をユーザーや出版社に向けてアナウンスした際、当初は30人くらいで3回分の説明会を予定していたところ、200人以上の申し込みがあり、急遽6日間に延長したそうだ。それだけ、このソリューションに対する業界の期待が高いということだろう。
《中尾真二》

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