【CEATEC JAPAN 2010(Vol.4)】「触る」「撮る」3D映像、小型画面でも3Dをよりリアルに……NTTドコモ | RBB TODAY

【CEATEC JAPAN 2010(Vol.4)】「触る」「撮る」3D映像、小型画面でも3Dをよりリアルに……NTTドコモ

 NTTドコモは、「CEATEC JAPAN 2010」にさまざまな新技術を出展するが、ここ数年盛り上がりを見せている3D映像に関しても「触る3D」「撮る3D」と題していくつかのデモンストレーションを行う。

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NTTドコモ先進技術研究所 先端技術研究グループ 壷井雅史氏
  • NTTドコモ先進技術研究所 先端技術研究グループ 壷井雅史氏
  • NTTドコモ 先進技術研究所 未来端末研究グループ 木村真治氏
  • ペン先を画面に近づけるとカメレオンの舌にはじき飛ばされる。ペン先は永久磁石なので、ペン側に電源やモーターなどの特別なデバイスが不要なのも特徴
  • 「触る3D」は、「多視点裸眼3Dディスプレイ」と、電磁石の原理を利用した「力覚提示」の技術を組み合わせることで実現
  • 「触る」3Dを体験できる、モバイル端末
  • 写真ではわかりにくいが、変換処理によって過度な飛び出しを補正し自然な3D写真を楽しめる
  • 2Dディスプレイでも本体を傾けることで擬似的に3D写真を楽しめる
  • 「音や映像を3Dで遠くに伝える技術はかなり開発されてきましたが、触覚はまだこれからです。触った感覚を伝達できるようになれば、いままでにないリアリティを相手に伝えられるようになります」
 NTTドコモは、「CEATEC JAPAN 2010」にさまざまな新技術を出展するが、ここ数年盛り上がりを見せている3D映像に関しても「触る3D」「撮る3D」と題していくつかのデモンストレーションを行う。いずれの技術にも共通しているのは、携帯電話に搭載されるディスプレイのような小型の表示デバイスで3D表現を行う際に、よりリアルな立体感を得られるようにするものであるという点だ。

■触って感じる3D映像の感覚

 まず「触る3D」と呼ばれる技術については、言葉で解説するよりもまずはブースを訪れて実物を体験してもらうのが最良だが、液晶ディスプレイに3DCGで描かれたカメレオンにペンの先を近づけると、画面の中のカメレオンが素早く舌を伸ばし、そのペンをはじき飛ばすというものだ。何かの物体に触れたわけでもないのに、映像として映し出された舌によってペンの先がはじかれ、その衝撃が手に伝わってくるのは驚きだ。

 筆者は取材でこのデモンストレーションに触れる前から「『触る3D』なのだから、おそらくこのペンに何らかの力が働くといった技術だろう」とは予想していたものの、それでも実際に体験したときには声を上げて驚いてしまった。「初めて体験したとき、大きなリアクションをされる方も多いです」と、開発担当のNTTドコモ先進技術研究所 壷井雅史氏は言う。

 「触る3D」は、同社が今年7月の「Wireless Japan2010」に出展した「多視点裸眼3Dディスプレイ」と、電磁石の原理を利用した「力覚提示」の技術を組み合わせることで実現している。従来から3Dメガネなしで立体視を行える裸眼3Dディスプレイは存在したが、ディスプレイ正面の決まった場所でないと正しく立体に見えないという欠点があった。「多視点裸眼3Dディスプレイ」は、8方向の視点から見た映像を1枚の画像に合成して表示しており、ディスプレイの前で顔の位置を横方向に動かしても、それぞれの視点から見た映像を観察することができる。これによって視野角が広がり、画面に映っている物体を斜め横から回り込んで見るといったことも可能になるので、そこに本物の物体があるかのようにリアリティを高められる。

 そして、今回新たに加えられた「力覚提示」だが、これは3Dディスプレイの背面にコイルを搭載し、コイルに電流を流すことでディスプレイ表面に磁界を発生させることができるようになった。先ほど利用したペンの先には永久磁石が付いており、ディスプレイのコイルに電流が流れると、磁力によってペン先がはじき飛ばされる。画面の近くに設けられたカメラが常にペン先の位置を追跡しており、ペン先が特定の場所に来たときにカメレオンが舌を伸ばすアニメーションを描画し、同時にコイルをオンにすることで、観察者はあたかも3D映像のカメレオンにペン先をはじき飛ばされたかのような感覚を得ることができるというわけだ。

 壷井氏は開発の動機について「小型のディスプレイでは、単に3D映像を表示しても残念ながら映画館のような立体感を得ることはできません。『触る3D』は、より多くのリアリティを提示する方法のひとつと考えています」と話す。また「音や映像を3Dで遠くに伝える技術はかなり開発されてきましたが、触覚はまだこれからです。触った感覚を伝達できるようになれば、いままでにないリアリティを相手に伝えられるようになるのでは」と壷井氏は言う。

 ディスプレイにコイルを搭載する必要があり、コイルにそれなりの電流を流すための電源やコンデンサも用意しなければならないので、残念ながら現在の携帯電話サイズにこの技術を内蔵するのは難しいという。しかし、フォトフレームや小型のデジタルサイネージ用ディスプレイなど新たな形態のモバイル機器は次々に生まれており、「触る3D」を適用できる分野は今後広がっていくと壷井氏は見ている。

■2Dディスプレイでも3D画像を表示

 一方の「撮る3D」は、3Dカメラなどで撮影された左目用、右目用の2視点分の画像を表示する際に、より自然な立体感で見えるよう、表示するディスプレイの種類や画面サイズなどにあわせて、画像を変換する技術だ。例えば、携帯電話サイズの3Dディスプレイで鑑賞することを想定して撮影された3D写真を、テレビなどの大型の3Dディスプレイで見ると、画面サイズの関係で飛び出し量が過大となり、“立体感過剰”な表示になってしまうことがある。

 この技術では、既に撮影された3D写真の左目用、右目用画像の差(視差)を解析し、出力先ディスプレイの画面サイズにあわせて視差を自動調節することにより、撮影時に想定していた3Dディスプレイとは画面サイズが異なる3Dディスプレイにおいても、自然で見やすい3D写真を楽しめるようになる。また、前述の「多視点裸眼3Dディスプレイ」は多視点の画像を持つ専用の3Dコンテンツの再生を想定しており、実写画像を提示するには撮影上の困難があったが、今回の「撮る3D」では、2視点分の画像から奥行き情報を求め、仮想的な視点の画像を生成する(補間処理)ことで、擬似的な多視点画像に変換することも実現した。これによって、多視点3Dディスプレイを利用すればより広い視野角で自然な3D写真を楽しむことが可能になる。

 さらに、通常の携帯電話が搭載している従来の2D専用ディスプレイにおいても擬似的に3D写真を楽しめる技術も開発した。傾きセンサーを搭載した携帯電話に画像を表示し、本体を左右に傾けると画像自体が画面中央を軸として左右にスイングするというもの。このとき、画像内で近くに映っているものと、遠くに映っているもののスイング量を変えることで、人間の目で見たときに擬似的な立体感が得られるようになっている。これも、2視点の画像を解析して奥行き情報を求めることで実現した。

 同研究所の未来端末研究グループ 木村真治氏は、壷井氏と同じく小型ディスプレイでは自然かつリアリティのある立体感を得ることが難しく、それを補うために「撮る3D」の開発を担当したと説明。モバイル機器における3D表現について「映画やテレビのコンテンツをそのまま持ってくるだけではなく、本当にそこにモノがあるようなリアリティを出すことや、持ち運べることを活かし、出かけた先で3D写真を撮って友人や家族と共有できるなど、3Dテレビとは違う価値を提供する必要があるのでは」との見方を示した。

 CEATECのドコモブースでは、実際にその場で3D写真を撮影し、「撮る3D」による変換処理をすることで、2視点、3視点、8視点の3Dディスプレイでの立体表示、及びXPERIAでの擬似立体表示を体験することができるという。デモンストレーションを通じて、サイズの小さなディスプレイでも、本物がそこに存在するかのような表現の可能性があることを伝えていく。
《日高彰》

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