【インタビュー】Wi-Fiを軸に統合モバイルサービスを展開——トリプレットゲート | RBB TODAY

【インタビュー】Wi-Fiを軸に統合モバイルサービスを展開——トリプレットゲート

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取締役COO 原田実氏(左)と代表取締役CEO 工学博士 池田武弘氏(右)
  • 取締役COO 原田実氏(左)と代表取締役CEO 工学博士 池田武弘氏(右)
  • 取締役COO 原田実氏
  • 代表取締役CEO 工学博士 池田武弘氏
 第1回となるRBB TODAYの「モバイルアワード2009」。そのベスト公衆無線LAN部門、および無線LAN個人部門において1位に輝いたのは、トリプレットゲートだ。独自のインフラを持たず回線やサービスのリセールをメインとする同社の受賞は、まさに本格的なクラウド時代を象徴しているようでもある。受賞の要因は、複数の公衆無線LANサービスをワンストップで契約し利用できる手軽さや、それによる広範なエリアをカバーしていることなどが考えられる。そこで、トリプレットゲート 代表取締役CEO 工学博士 池田武弘氏、同取締役COO 原田実氏に、サービスの特徴や今後の展開などを聞いてみた。

——このたびは「モバイルアワード2009」の受賞おめでとうとざいます。さっそくですが、受賞の感想について述べていただけますか。

池田:モバイルアワードは、専門家の評価ではなく純粋なユーザー投票による選考結果ということで、私どもは非常にうれしく思っています。まずは、トリプレットゲートに契約していただいている方、投票していただいた方に感謝の意を表したいと思います。トリプレットゲートでは、ワイヤレス接続を手軽に使える環境を第一に考えてサービスを提供していきています。今回の結果は、その活動を評価していただいたものとして、さらにサービスを広げていきたいと思っています。

——手軽に利用できるワイヤレス環境というのは、具体的にはどのようなことを目指しているのですか。

池田:我々の創業以来のモットーは、目に見えない無線LANというサービスをわかりやすく、ワンストップで提供できるような企業になろうというものです。無線LANなどのワイヤレス接続を外のモバイル環境で利用するとなると、事業者ごとに契約が異なっていたり、カバーエリアが分断されていたり、1社では穴が埋まりにくいといった問題があります。これらを統合的にひとつのサービスとして提供できれば、ユーザーにとって無線LANはもっと使いやすいものになるでしょう。また、昨今ではWiMAXや3Gといった別の通信方式も増えてきております。これらも、ユーザーから見たモバイル接続という視点では区別はないはずですが、実際には、方式や事業者、端末ごとにいろいろなサービスが存在しており、エリア、料金、スピードなどどれを選んでいいか、なかなか難しくなってきています。我々の目指すワンストップは、これらも含めての統合化サービスということになります。あくまでユーザー視点ということです。

——WiMAXや3Gというと、公衆無線LANサービスと競合するイメージもありますが。

原田:一部ではそうかもしれません。とくに独自のAPやインフラを持ってサービスを展開する場合、通信方式やAPの違いは大きいかもしれませんが、自分が利用するサービスとして考えた場合、これらは同じものとして使えてほしいですよね。実際、トリプレットゲートのサービスは、イーモバイルとセットで契約するプランやWiMAXとセットで契約するプランなども用意していますし、ユーザーからの評判もよいです。ソフトバンクでは「Wi-Fiケータイ」のようなデュアルモード端末にも力を入れてきています。速度、エリア、料金などを総合的に考えると、無線LANだけ、データ通信カードだけ、といった選択肢はじつは実用的ではありません。その意味で、公衆無線LANを含むこれらのサービスは、競合というよりそれぞれが補完しあえる関係にあるといえます。各社さんとのセットプランも非常にうまくいっています。

——トリプレットゲートのユーザー数は、どれくらいいるのでしょうか。

池田:2009年末の累計でおよそ21万ユーザーとなっています。この数字もこの数年で倍々で伸びているので、ネットブックやスマートフォンのブームによってWi-Fi市場が縮小するというより、むしろ逆ですね。

——ネットブックやWi-Fiケータイの話がでましたが、スマートフォンや新しいデバイスについてはどのような展開を考えていますか。たとえば、新しい料金プランなどの予定はありますか。

池田:我々のサービスの基本は、無線LANが利用可能なデバイスであればどんなものでも問わないようにしています。主力は、ほとんどの機種でWi-Fi機能が搭載されているノートPCですが、デュアルモード端末やスマートフォンも同様に接続サービスを提供しています。たとえば、iPod touchでの利用が非常に増えているのですが、これは、iPod touch用のWi-Fi接続アプリの使い勝手を評価していただいているようです。料金プランについては、210円という基本料金(ローミング先の接続料などは別)で国内のほとんどの公衆無線LANサービスが利用できるという、従来からのプランは、TPOに応じた柔軟性の高いワイヤレス接続がシングルサインオンでできるというメリットがあります。今後はゲーム機、デジカメなどさまざまなデバイスの無線LAN(Wi-Fi)対応が当たり前になってくると思います。ホームゲートウェイや家庭内の無線LANルータだけでなく、これらの機器向けの屋外サービスも増えてくるとしたら、モバイル市場はさらに広がっていくでしょうね。

——料金プランについては、家電量販店と提携したものがありますよね。

原田:はい。これもユーザー数の伸びに貢献しているプランといえます。ネットブックやWi-Fi搭載デバイスが増えてきて、MVNOを含む通信事業者がモバイル接続モジュールとのセット販売などが広がってきて、一般のユーザーのモバイル利用が増えてきました。これまで公衆無線LANというと、どちらかというとヘビーユーザー向けのサービスという捉えられかたが多かったのですが、ネットブックなど購入した人が、販売店でWi-Fiや公衆無線LANについて説明を受けて興味を持ったり、使えるエリアやシチュエーションを広げる目的で契約につながっているようです。

——ワイヤレス接続はさらに進むと思いますか。

池田:電話が固定からコードレス、携帯電話と進化していったように、ネットワークのワイヤレス化は確実に進むと思います。家庭内でもブロードバンドルータに無線LAN機能は当たり前になっています。テレビやゲーム機などがインターネットを利用するようになるとさらに進むでしょうね。

——そのときの接続方法ですが、LTEや4Gの普及が進むとWi-Fiが、とくに公衆無線LANが廃れるという可能性はありますか。

池田:もちろん、特定の技術が時代とともに消えていったり変化することは避けられません。その可能性はゼロとはいえませんが、Wi-Fi技術そのものはTPOで残るものだと思います。公衆無線LANも少なくとも5年前後のスパンでは、LTEやその他の接続技術と共存が可能だと思っています。まず、3GやLTEのワイヤレス接続技術に比べて、(公衆)無線LANはコストパフォーマンスが高いといえます。アクセスポイントのインフラ整備も一定の規模に達していますし、家庭内に無線ルータも浸透しています。そして、スマートフォンによって通信事業者やサービスプロバイダが提供するサービスや付加価値が高度化するにつれ、トラフィックの問題が発生しており、これはむしろ拡大しています。3Gや4Gのような膨大なデータによって帯域を消費するサービスには、トラフィックのバイパスが必要です。冒頭に、原田が無線LANはその他の通信方式と補完関係にあると述べました。これは、インフラを分散させるという機能も含むはずです。増え続けるトラフィックをさばくために、自社のアンテナやバックボーンへの投資だけでなく、デュアル端末によってサービスを切り分けるという考え方をする通信事業者も増えているようです。

——トリプレットゲートは現在独自のアクセスポイントを持っていないそうですが、将来的にインフラを持つ必要がでてくることはないですか。

池田:独自のアクセスポイントや回線インフラは持たないというのは、我々のポリシーのひとつでもあります。その理由は、我々はあくまで公衆無線LAN回線事業のマーケティング部門であり、販売窓口的なビジネスをメインに考えているからです。複数の通信事業者とビジネスをするわけですから、インフラを持った時点で競合することになりかねないからです。また、多様なサービスをユーザーにとってそのときの最適な方法で提供することを考えると、ひとつの方式にこだわる必要はありません。このポリシーは、じつは私がNTTドコモの研究所にいたときからのものです。研究所では4Gなどの新しいワイヤレス通信技術を研究していましたが、そのとき感じていたのは、素材となる技術は多数存在していますが、それらがサービスとしてそれぞれ独立に提供されていたり、あまり使い勝手がよくない面があるということです。特定技術を追求するのも悪くないですが、いろいろな技術をもっと使いやすく多数の人に使ってほしいと思うようになり、最終的にこの会社を立ち上げました。なので、今回のアワード受賞は、ユーザーに直接評価をいただいたという点で、自分の考えが間違っていなかったと思えるようになり、非常に感謝しています。今後も、ユーザー視点のサービスづくりを目指していきたいと思います。
《中尾真二》

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