東芝、低コストな量産向けMEMSパッケージング技術2種類を開発 | RBB TODAY
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東芝、低コストな量産向けMEMSパッケージング技術2種類を開発

エンタープライズ その他
実圧気密方式のパッケージング構造
  • 実圧気密方式のパッケージング構造
  • 真空気密方式のパッケージング構造
  • 実圧気密方式のパッケージ作製プロセス
  • 真空気密方式のパッケージ作製プロセス
 東芝は30日、携帯電話などの無線システムなどに向けて開発が進められているMEMS(微細駆動装置)について、パッケージングを実気圧に近い状態で行う「実圧気密方式」において、水の侵入を許さない小型の気密中空構造の作製技術と、パッケージングを真空状態で行う「真空気密方式」において、真空の中空構造をより強固にする技術の2種類のパッケージング技術を開発し、両方式ともウエーハプロセスでの一括処理を実現することで、低コストでのMEMSパッケージングを可能にしたと発表した。

 今回開発されたのは、MEMS可動部分を保護するための中空構造を作製する2つの方式である「実圧気密方式」と「真空気密方式」における実装技術。また、両方式でパッケージングしたMEMSについて、ドライバICを搭載したものとしては世界最薄となる0.8mmのマルチチップパッケージの試作にも成功した。

 実圧気密方式は、中空構造の作製において、可動部分を覆う犠牲層と呼ばれるポリマー層をSiO2(二酸化ケイ素)膜で覆った後、膜上に複数の穴を開け犠牲層を除去(エッチング)し、さらに樹脂を塗布して穴を封止したもの。今回、樹脂の表面張力を考慮して、穴の直径と形状およびその間隔を最適化することで、エッチング効率向上と樹脂の流入防止を両立することに成功したほか、CVD法により無機膜をハイブリッド構造で積層することで、気密性を実現し、水の侵入を許さない耐水性パッケージを実現した。

 真空気密方式は、中空構造の外形を波型にすることによって大気圧によって潰れることのない強固な構造としたことにくわえ、犠牲層をエッチングする穴の形状を円形から楕円形にすることで製造過程における応力を低減し、破損の危険性を低減している。また、厚い補強樹脂を積層することで、その後のマルチチップパッケージへの搭載において、高圧が必要とされる樹脂成形工程の適用も可能としている。
《富永ジュン》
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