NEC、90nm世代の標準CMOS技術で60GHz帯送受信LSI技術を実現〜世界最高出力 | RBB TODAY
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NEC、90nm世代の標準CMOS技術で60GHz帯送受信LSI技術を実現〜世界最高出力

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 NECは7日に、90ナノメートル(nm)世代の標準的なCMOS技術を用いて、実用レベルの高出力な60GHz帯送受信LSI技術を開発したことを発表した。

 従来、ミリ波帯で動作する回路はガリウム・ヒ素などの化合物半導体で実現されており、微細CMOS技術でミリ波帯の高出力増幅器を形成した場合、電源電圧が下がるために高出力化が難しく、さらにはホットキャリア劣化のため信頼性確保が困難だった。NECは、微細CMOS技術では困難とされていた信頼性確保と出力電力の最大化を両立する回路の設計手法を確立し、CMOSデバイスの信頼性確保が可能な低い電源電圧0.7Vにおいて世界最高となる出力電力7mWを達成したとのこと。具体的には、60GHz帯で動作する送信・受信回路をそれぞれ1チップに集積化し、ハイビジョン映像の非圧縮伝送が可能な2.6Gbps(毎秒26億ビット)の伝送を確認したという。

 今回得られた出力レベルは、CMOSミリ波無線の目標である10m程度の小エリアネットワークシステムへ適用できるものとなり、ハイビジョン映像を伝送する無線システムや、大容量のデータを超高速で無線端末へダウンロードできるシステムなど、オフィスや家庭などの室内超高速無線伝送を行うミリ波機器の実用化と普及に大きく貢献すると見られる。

 60GHz帯ミリ波無線は免許不要で利用できるほか、2Gbpsを超える通信速度が比較的容易に達成可能なため、ハイビジョン映像の非圧縮伝送を実現できる唯一の無線技術として期待を集めている。最近ではミリ波無線規格の標準化活動も進み、WirelessHD コンソーシアム、IEEE802.15.3cなどで、標準規格の策定が精力的に進められている。

 なお、NECは今回の成果を、米国・サンフランシスコで開催された半導体回路技術の国際学会「ISSCC2008(International Solid-State Circuits Conference)」で6日に発表している。
《冨岡晶》
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