産総研、夢の次世代不揮発性メモリ「スピンRAM」の駆動力の直接測定に成功〜最適設計の評価技術を確立へ | RBB TODAY
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産総研、夢の次世代不揮発性メモリ「スピンRAM」の駆動力の直接測定に成功〜最適設計の評価技術を確立へ

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スピントルクの測定概念の模式図
  • スピントルクの測定概念の模式図
  • スピントルクダイオードスペクトル
  • スピントルクの電圧依存性
 産業技術総合研究所 エレクトロニクス研究部門は26日に、大阪大学基礎工学研究科の鈴木義茂教授と共同で、キヤノンアネルバの協力のもと、次世代の不揮発性メモリである「スピンRAM」のスピン注入トルクの直接測定方法を確立したと発表した。

 「スピンRAM」は“夢の次世代不揮発性メモリ”として期待されている次世代磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(スピン注入磁化反転書き込み型MRAM)。MRAMの高速性に加えてギガビット級の大容量性も有するが、スピンRAMの駆動力であるスピン注入トルクの大きさを測定する手段がなかったため、最適設計を行う手がかりがなく、開発の重大な支障となっていた。「スピンRAM」では、スピン偏極電流が作るスピン注入トルクが磁性体の磁化に回転力を与え、磁化反転(記録層の磁石の向きの反転、つまり書き込み)が誘起される現象を利用して情報の書き込みを行うが、これまでスピン注入トルクの大きさを直接測定する手法がなかったため、最適な材料を開発する手がかりがなかった。

 今回、スピンRAMを実際に動作させるときと同じ電圧をかけた状態におけるスピン注入トルクの大きさを測定する方法を産総研が世界で初めて確立。研究チームは2005年にスピン注入トルクを直流電圧に変換するスピントルクダイオード効果という現象を世界で始めて報告。今回、この効果を利用してスピン注入トルクを定量的に評価する方法を世界に先駆けて構築した。

 読み出しの問題は、産総研が2004年に絶縁層にMgOを用いた巨大トンネル磁気抵抗効果を示す強磁性トンネル接合を開発したことにより解決されたが、一方で書き込みの問題が残っており、その解決手段としてスピンRAMは期待されていた。この評価手法の出現により、スピンRAMの研究開発が大幅に加速化されると期待されている。

 本研究成果は、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構が、ナノテクノロジープログラムの一環として実施しているプロジェクト研究「スピントロニクス不揮発性機能技術プロジェクト」の研究成果となり、25日18時(英国時間)に、英国科学誌Nature Physics電子版に掲載される予定とのこと。
《冨岡晶》
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