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第一線で活躍中のプロがこれからのクチコミを語る

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ブルーカレント・ジャパンの本田哲也 取締役社長
  • ブルーカレント・ジャパンの本田哲也 取締役社長
  • 旧来から存在した「クチコミマーケティング」が、Web2.0時代になって「インフルエンサーマーケティング」として、より戦略的な手法に進化した
  • 最新おむつをただ宣伝するのではなく、「赤ちゃんの睡眠」という関心テーマから注目することで、インフルエンサーを通じてクチコミを広げる
  • 従来のPUSH型広告ではなく、ユーザが能動的に情報に接するPULL型であることが、インフルエンサーマーケティングの手法では重要となる
  • クロスワープの山崎真吾 代表取締役
  • ただバイラルプロモーションを行ってクチコミを拡散させるだけではなく、その広がり方を測定し、可視化し、分析することが重要であり、そのためのツールを提供するのが自社との位置づけ
  • サイバー・バズの宮崎聡 代表取締役社長
  • 広告モデルとして一般的な「AIDMA」から「AISCEAS」に時代は移行したと分析
 主婦マーケット専門のマーケティング支援会社のハー・ストーリィは10日に、六本木ヒルズのハリウッド美容専門学校大ホールにて「Web2.0時代のクチコミマーケティング最新事例フォーラム」を開催した。

 「今、クチコミマーケティングの最先端で実績をあげているIT企業」ということで、PR会社のブルーカレント・ジャパン取締役社長 本田哲也氏、クチコミ効果の検証技術を提供するクロスワープの代表取締役 山崎真吾氏、CGM専門の広告代理事業を展開するサイバー・バズの代表取締役社長 宮崎聡氏が登壇、それぞれの立場でクチコミマーケティングの最新事情、ノウハウ、トレンド等を事例とともに解説した。

 第1部がゲストスピーカーによる最新事例紹介(1時間30分)、第2部が日野氏によるクチコミュニティマーケティング2007年最前線レポート(30分)、第3部が「今、そしてこれからを激論!Web3.0はどこへ行くのか」と題したゲストスピーカー×日野氏によるトークセッション(45分)という構成だった。

 まずハー・ストーリィの日野佳恵子 代表取締役が「現場の話を聞いて、現実のノウハウを持ち帰ってほしい」と開会の挨拶。すぐにブルーカレント・ジャパンの本田哲也 取締役社長と入れ替わりフォーラムがスタートした。


 ブルーカレント・ジャパン本田氏は「企業が勧めても信じてくれない時代になった」と切り出し、クチコミマーケティング(インフルエンサーマーケティング)を使った自社の事例としてパンパースの赤ちゃん用おむつ新製品をとり上げた。この商品では、ただ機能や利点をマスにピーアールするのではなく、快適な商品を使うことで赤ちゃんに快適な睡眠を提供できる、という点に着目。それを「関心テーマ」と位置づけて、同じ関心をもつ小児科医や主婦ブロガーに“仲間”になってもらって、インフルエンサー(影響力をもつ人)として商品ではなく「関心テーマ」そのものをまず広げていったという流れを説明した。

 基本的に、ただ認知をあげることが目的ではなくインフルエンサー、さらには影響を与える人々の「認識を変えたかどうか」が重要なのだと強調した。まずブログなどでは「書きたくなるようなお題」を提供することが重要とし、PUSH型ではなくPULL型の手法としてクチコミマーケティングを定義して締めくくった。

 続くクロスワープ山崎氏は「僕たちは裏方の会社」としてまず事業内容を説明。基本的には「エンジンプロバイダ」としてP2Pやバイラル広告における流通経路を調査し追跡するロボットソフトなどを企業向けに提供しているとのこと。WinnyなどのP2Pではある種の流行がもっとも早く起きる場合が多く、「副次的に最先端の流行がわかってきた」という。しかし開発を始めた数年前はなかなか事業が成り立たず「おもしろかったが商売が成り立たなかった」と述懐する。その状況が、「VirulWalker」を使った映画「グムエル」のバイラルマーケティング、「バイラルチャレンジ!」の実施などを通じて、大きく変わり始めたのがまさにこの1年前後ということだ。

 実際に同社のサービスによりクチコミマーケティングの伝搬ルート、影響力を可視化したレポートは、非常におもしろそうで、特にクチコミマーケティングにおいても「二八の法則が有効」であり、20%のインフルエンサーが80%のクチコミ影響力をもつ、という話は説得力があった。

 そしてサイバー・バズの宮崎氏は「“キョウセイ”ではなく“キョウカン”」とテーマを掲げ、広告モデルのAIDMA/AISCEASなどを説明しつつ、現在利用者3,500万人ともいわれるCGM市場でのクチコミマーケティングの現状を解説した。単純にマスではないからクチコミを利用、という発想ではなく、クチコミで下地を作ってからマス広告を打つなど多面的な展開、そしてインフルエンサーが企業からの情報を受けて記事を書いていることを明記するなどして誠実かつ正直に振る舞うことが、ブログの活用などでは必須条件であるとした。特に主婦層ユーザなど、女性ブロガー特有の「コメント付け合い文化」がクチコミマーケティングを後押しする力として着目すべきだとして第1部を締めくくった。

 第2部にはハー・ストーリィの日野佳恵子 代表取締役が登壇。「町の美容院でも、巨大なWebサイトでも、クチコミの原理は一緒」として、クチコミの基本4要素を解説。特にAISCEASモデルに、クチコミにより他者に影響を与え貢献する「I」(愛)をつけ加えた「AISCEAS・I」が、自己実現の1つとなる、というのが女性インフルエンサーに見られる行動原理だと考察、これが「クチコミの原動力では?」とした。

 第3部は登壇者全員によるトークセッション。「“共感”がクチコミにおけるテーマ」だというのが全員の共通した認識だったが、「PR、技術、ネットなど、異なる分野から始まって、みなインフルエンサーマーケティングに行き着いた」「今後は(インフルエンサーマーケティングに対する)顧客の認知も高まり、要求も高くなるので、それに対応できるところが生き残っていくだろう」(山崎氏)とすでに次のフェイズに進みつつあるという。

 クチコミそのものについては「定期的・定性的な内容を保つことがクチコミのパワーとなる」(本田氏)としつつ、「Web 3.0はどうなるか」というテーマについては一様に「正直わからないが、“対話が生まれる”ような相談サービスが出てくるのでは」(山崎氏)、「巨大メディアに情報が置いてあったのが1.0、そのメディアを使ってユーザ同士がやりとりしたのが2.0。じゃあ3.0はというと、メディアがなくなって、個人同士さらには個人の所有物同士がリンクするようになったら3.0と言えるのでは」(宮崎氏)、「企業とメディアと消費者がゴッチャにミキシングされて、商品開発すら企業のものではなくユーザのものになるかもしれない」など、バラエティに富んだビジョンが示された。

 そのほかにも「50代の女性インフルエンサーは、出現率が低い。伝えたいことが10代と変わらなくても、ケータイなどに疎いため、伝える“力”が弱い」(本田氏)、「企業は(書くことに悩むブロガーに)ネタをあげてほしい。そこに双方にビジネスチャンスが生まれる」(日野氏)、「コントロールではなくエンゲージするマーケットが大切。“正直マーケティング”が大切」(宮崎氏)など、非常に示唆に富むタームやレポートが多数提示された。

 旧来から存在した「クチコミマーケティング」が、Web2.0時代になって「インフルエンサーマーケティング」として、より戦略的な手法に進化した。今後ブロガープロモーションなどもさまざまに形を変え進化していくが、現在要注目のマーケティング手法であることは間違いないようで、観客も会場ギッシリに多数集まっていたのが印象的だった。
《冨岡晶》

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