アッカ、新潟県魚沼市の山間地域でWiMAX公開実験! | RBB TODAY
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アッカ、新潟県魚沼市の山間地域でWiMAX公開実験!

ブロードバンド その他
新潟県魚沼市福山新田。上越新幹線の浦佐駅よりタクシーで約1時間のところにある地域
  • 新潟県魚沼市福山新田。上越新幹線の浦佐駅よりタクシーで約1時間のところにある地域
  • 左の地域の守山福山克雪管理センターで公開実験についての説明が行なわれた
  • 守山福山克雪管理センターから約280メートルのところにある小学校の屋上に基地局アンテナが設置されている
  • バックアップ回線として設置されていたJSATの可搬用アンテナ。自動で衛星を捕捉する
  • 屋上近くに収容されていた基地局。横須賀のYRPやNET&COMで設置されていたものと同じアルカテル・ルーセントの製品
  • WiMAX用に2本のオムにアンテナが屋上に見られた
  • 守山福山克雪管理センター内のデモルームにてストリーミングやSkypeの音声品質のデモが行なわれた
  • センター屋外にはデータ受信用に指向性アンテナが設置されていた
 東京から上越新幹線で約1時間半かかる新潟県内の浦佐駅。そこからさらにタクシーを1時間ほど乗ると魚沼市福山新田という地域がある。県道からこの地域に入るには4ルートあるが、筆者がでかけた時には積雪のため1本の道路を使ってしか地域に入ることができなかった。地元の人の話では、今年は雪が少ないということだが、この日(3月28日)は舗装道路の雪は解けていたものの、周りはまだ雪が積もっている状態だった。普段なら人もまばらな山間地域だが、この地域の中心にある守山福山克雪管理センターには、県担当者、総務省信越総合通信局、JSATほか地元ケーブルテレビ局など関係者が大勢詰めかけた。アッカ・ネットワークスが実施するモバイルWiMAX公開実験の説明とデモンストレーションを見るためだ。

 アッカ・ネットワークスは、これまで神奈川県横須賀市のYRP(横須賀リサーチパーク)における2.5GHz帯を使ったモバイルWiMAXの実証実験をはじめ、横浜中心部でも実験を進めてきた。そして3月からは、山間地域など通信インフラが十分整っていないデジタルデバイド地域での検証を行うため、新潟県ならびに魚沼市と共同で実証実験を進めている。今回の実験は、そのようすを関係者にデモするためのものだった。

 バックボーンとしては魚沼市のイントラネットを使用し、FTTHが新田地域の小学校までひかれている。この小学校の屋上にWiMAXの基地局およびアンテナ(オムニアンテナ)を設置し、アンテナ・モデムを設置している一般家庭のクライアントPCとの接続状況、電測車による電界強度や防災無線としての利用方法などに関する調査が行われている。

 一般公開当日は、バックアップ回線としてJSATの可搬型アンテナが小学校の屋上に設置されていた。JSATのサービスは、衛星を利用してブロードバンド環境を提供する「SPACE IP」を利用。このサービスではアンテナ、IDU、ODUの3セットで提供され、1日の工事で利用できのがメリット。JSAT営業本部公共ビジネス事業部の工藤絢子氏は「今回の地域のような山間部やイベントでの利用に最適だ」とアピールした。本体機器にはスタートとストップというボタンしかなく、スタートボタンを押すと5分から10分で衛星を自動で捕捉する。通信速度は上り最大2Mbps、下り最大10Mbpsのベストエフォートとなっている。

 デモは、WiMAXがFWA的にどのように使えるかを実演するものだった。実験のひとつは横浜のストリーミングサーバからの映像(450Kbps)を、約280メートル離れた管理センター内で受け、クライアント端末で再生するというもの。この時、データは管理センターの外に設置された指向性アンテナで受けていた。担当者によると、速度は下り3.6Mbps、上り1Mbps弱とのことだが、スムーズに流れている様子が確認できた。普段の実験では民家2軒(基地局から500メートル)にも指向性アンテナとクライアント端末を設置している。また、端末にSkypeを接続して携帯電話と通話を行う実験もされたが、インターネット接続であるため遅延が多少みられたものの、音声品質には問題がなかった。このほか、防災無線放送のテストも行われた。デモにあたった担当者は「現在はプロトタイプを使っているが、たとえばMIMOなどを使った場合には、さらに転送レートや速度を高めたりといったことが考えられる」とコメントした。ちなみに、昨年行ったRBB TODAYによる横須賀のYRPの取材では、MIMO対応のために合計4つのアンテナを内蔵し、ビームフォーミングを可能にするための機器が路上に設置されているのを確認している。

■デジタルデバイド地域はWiMAXに期待

 新潟県総務管理部情報企画監の松下邦彦氏は「無線ブロードバンド新潟モデル研究会というのを開催しており、今回の実験はこの活動の一環として行っているもの。現在、生活の質を高めるものとしてインターネットは欠かせないものになったが、全国均一に普及しているものではない。神奈川県ではこの3月で全戸ブロードバンドアクセス可能になると聞いた。しかもそれはADSLではなく高速ブロードバンドだ。対して当県は全国平均にも達していない。そういった現状から、リーズナブルにブロードバンドを実現できる手段として無線に着目している」とWiMAXへの期待を表した。

 また、ブロードバンドとWiMAXについて総務省信越総合通信局局長の田中秀一氏は次のように話した。「総務省は通信と放送で大きな課題をかかえている。放送は地上デジタルで、すでに新潟県では94%の世帯が受信できるようになっている。残り6%はもう2〜3年かけてやっていく。一方通信の世界についてだが、今では小学校の宿題もインターネットで調べる時代。環境が整っている地域では、それが当たり前になっている。総務省では、2010年にはブロードバンドゼロの地域を解消しようというのが目標。しかし、山間地域や有線で回線をひくのが大変な地域がたくさんある。そういった地域は、無線によるブロードバンドの実現がひとつの手段になる。ブロードバンドというと光ファイバーを思い浮かべる方が多いと思うが、光ファイバは結構ひくのが大変だ。新潟県は50%を越えたぐらいで、光ファイバを使える世帯は全国順位で最後から2番目という状況。やはり光ですべてカバーするのは難しいので、無線を考えていかなければいけない。その意味で今回の実験は有用だ」。

 アッカ・ネットワークスのWiMAX推進室副室長・高津智仁氏は「デジタルデバイド解消に対する情報インフラの提供という形もできればと考えている。さらにインターネット環境だけ用意しても地域の方が使うのは難しいと思う。公共のインフラやサービスなど生活に密着したサービスとしてWiMAXを入れていくというステップが必要になるだろう」と挨拶した。
《小板謙次》
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