【NET&COM 2007 Vol.6】WiMAXはみんなで協力する“Mobile2.0”に——アッカ高津氏 | RBB TODAY

【NET&COM 2007 Vol.6】WiMAXはみんなで協力する“Mobile2.0”に——アッカ高津氏

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 アッカ・ネットワークスは7日、2月7日から9日までの3日間、東京ビッグサイトで開催されるIT総合展示会「NET&COM 2007」において、「WiMAXによるオープンなモバイル環境(BWA2.0/Mobile2.0)創造への挑戦」と題したセミナーを行った。
  •  アッカ・ネットワークスは7日、2月7日から9日までの3日間、東京ビッグサイトで開催されるIT総合展示会「NET&COM 2007」において、「WiMAXによるオープンなモバイル環境(BWA2.0/Mobile2.0)創造への挑戦」と題したセミナーを行った。
  • 通信業界のイメージ図。接続サービスの料金のほとんどは、物理メディアに対してのものだ
  • WiMAXの特徴と他方式との比較。WiMAXは、通信速度、設備投資が安くて済む、セルの範囲が広いなどの特徴がある
  • WiMAXの特徴と他方式との比較。WiMAXは、通信速度、設備投資が安くて済む、セルの範囲が広いなどの特徴がある
  • エリア戦略
  • 世界各国のWiMAX戦略。グローバルスタンダードだ
  • WiMAXにおけるアッカ、自治体、通信会社などの連携の様子
  • WiMAXにおけるアッカ、自治体、通信会社などの連携の様子
 アッカ・ネットワークスは7日、2月7日から9日までの3日間、東京ビッグサイトで開催されるIT総合展示会「NET&COM 2007」において、「WiMAXによるオープンなモバイル環境(BWA2.0/Mobile2.0)創造への挑戦」と題したセミナーを行った。講師は、同社WiMAX推進室副室長・高津智仁氏だ。

 現在、創業5年目となる同社の収益のほとんどが個人向けサービスから得られている。しかし、高津氏は今後は法人向けサービス、ならびにM2M(Machine-to-Machine:「ソリューション」とも呼ばれる)の分野でも成長したいと述べ、これらの分野に無線は不可欠だとの考えを示した。そのため、一般的にはADSL事業者と思われている同社がWiMAXに強い関心を持つのは当然の流れだとしている。

 同社の事業基盤は、個人向け、法人向け、M2Mの3つの分野でADSL、光、モバイルの3種類のサービスを展開することで成り立っている。現在のM2Mは、中小企業をターゲットとして、同社が所有するDSL、光、無線のパッケージの一部に上位ネットワークとプラットフォームを含めたものをホールセール的にパートナー企業に卸し、パートナー企業が自社ソリューションを追加してさらにそれをエンドユーザーに提供するという形が主流となっている。将来的には、ウィルコムやUCOMといったパートナー企業との提携により、必要なアクセスネットワークを適宜パッケージングしてプラットフォームを問わないシームレスな接続環境をエンドユーザーに提供する、「FMC(Fixed Mobile Convergence)の発展形」を目指しているとした。

 ここで起きる疑問は、プラットフォームより上位のインフラは大手通信会社に委託してしまう方がよいのではないか、ということだ。この問いに対して、高津氏はプラットフォーム単体では製品の魅力としての限界があり、物理メディア(=ネットワーク)とセットになることにより初めて大きな価値が生じるという見解を示している。また、業界内においても物理メディアの重要性は依然として高く、NTT各社が提供する「フレッツ」サービスを例に挙げて、エンドユーザーが支払う接続料金のほとんどが物理メディアに対して支払われていることをその表れとした。

 さらに高津氏は、WiMAXの長所としてIntelのチップセットにも搭載される予定であるというオープンな仕様、全世界で相互接続性を保証、IPとの高い親和性、理論値75Mbpsと高速かつ大容量、高速移動が可能なアップロード/ダウンロード対称通信などを挙げ、これらの強みを生かして同社だからこそできるサービスへと発展させていきたいとの抱負を語った。その具体的な内容は、オープンなプラットフォームの実現と地方都市を優先した事業展開、グローバルスタンダード化の3点だ。

 最初の点については、現在、無線事業を持たないため高コストな既存3G事業構造から影響を受けないことと、業界内での中立性を生かして様々なインフラ・アプリケーション事業者と協業できるとしている。

 次に、一般的には都市部から事業展開をはじめ、徐々に地方にサービスを広げていくというネットワーク事業の定石を覆し、自治体や地方事業者の協力の下、デジタルディバイドに悩む地方から面展開を始めるとした。この理由として、地方では都市部と比較して基地局の設置が比較的容易なほか、公共事業へのニーズが高いために国や自治体などからの助成が受けやすいこと、都市部ほど競争が激しくなくて初動時の失敗が挽回しやすいことなどが挙げられた。また、WiMAXの技術を地方に向けて開放することにより、地方でのブロードバンド技術者を育成し、同社が展開した事業を将来的に引き継いでもらいたいとの未来図も示された。ただし、他社と協業によるサービスの品質は劣化は避けられず、これについては「事業者として不可欠なレベルを維持」すると言及するに留まった。

 最後の点については、現在の日本の通信事業は独自規格を取り入れすぎて世界市場から孤立していると警告した上で、WiMAXでは世界標準規格を守ってグローバルな展開を行い、さらにはそこから生まれるスケールメリットによる健全なコストダウンへの期待ものぞかせた。

 同社では2007年7〜9月をめどにWiMAX免許の取得を目指しているが、展開例のひとつとして2007年12月〜2008年3月ごろにサービス開始予定のWiMAXシステムについて簡単な情報を公開した。このシステムは、人口4万人程度のある地方都市(非公開)に導入されるもので、市の公共施設に設備を設置し、設備投資負担は市の助成金と同社の負担でまかなわれ、業務運用とインターネット接続は地元通信会社の協力を受けることになっている。同社の財務シミュレーションでは、2010年に単年度黒字を達成し、2012年には累積赤字が解消されるとしている。しかし、市の助成金を受けない状態だと単年度黒字の達成は2011年、2012年にはいまだ累積赤字が3億3,400万円残ることになるとして、同社が考えるWiMAX事業の実現には国や自治体、他社の協力が不可欠であるとした。

 このように同社のWiMAX事業は強力な1社が市場を率いていくという形ではなく、そこから恩恵を受ける人々(国、自治体、他社など)がそれぞれ協力し合って成し遂げていく、Web2.0ならぬ「Mobile2.0」にしたいと高津氏は強く訴えかけた。そして、最終的にはネットワーク上に蓄積された知識や記憶をいつでもどこでもプラットフォームを問わず取り出せる環境を構築し、それによって人間は新たなものの創造や加工といったクリエイティブワークにさらに注力できるワンランク上のライフスタイルを提供することを目指すとして、セミナーを締めくくった。
《富永ジュン》

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