[WIRELESS JAPAN 2006] FOMAの発展モデルと第4世代へのビジョン——NTTドコモの中村社長が講演(その1) | RBB TODAY

[WIRELESS JAPAN 2006] FOMAの発展モデルと第4世代へのビジョン——NTTドコモの中村社長が講演(その1)

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IT新改革戦略の方向性が政府より示された
  • IT新改革戦略の方向性が政府より示された
  • 燃料電池は将来的には充電器ではなく本体に組み込めるようにする方向
  • 移動通信の高速化
  • 移動通信の高速化(HSDPA)
 7月19日(水)、「WIRELESS JAPAN 2006」の基調講演では、NTTドコモ代表取締役社長の中村維夫氏が、「FOMAの発展モデルと第4世代へのビジョン」をテーマに講演を行った。携帯電話の進化と各社の競争は年を追うごとに激しくなってきている。そのような環境の変化の中で、事業者として、NTTドコモは現状をどのように捉えているのであろうか。

 まず環境の変化については、規制政策が挙げられるだろう。中村氏は「無線周波数の割り当てなど、移動通信事業は規制政策を受けやすい分野であるが、その中でも特にMNP(携帯電話番号ポータビリティ)や新規事業者の参入などは、我々にとって特に大きな影響がある」とした。電話番号を変えずに契約会社を変更できるMNPは、既存事業者にとって最もインパクトがある制度だといえる。今年の10月下旬からサービスが開始される予定だが、手続きは数時間程度で済むようになる。ユーザーにとって利便性は増すが、事業者にとっては「自ら提供するサービスの総合的な魅力がこれまで以上に問われる」と中村氏。

 2番目のインパクトは、新規事業者の参入による競争の激化である。昨年11月、アイピーモバイル、イー・モバイル、ソフトバンクの3社が、この分野へ新規参入を果たした。その後、ソフトバンクはボーダフォンを買収し既存キャリアとなったが、Yahoo! ブランドやADSL事業、固定電話などと連動したサービスによって、さまざまなサービスに打って出てくるものと予想される。NTTドコモとしても競争激化に向け準備を進めているところだ。

 また、MVNO(仮想移動体通信事業者)ビジネスも本格化している。これに対して、同社のように自らがネットトワークインフラを持つMNOとしては、「MVNOとMNOにおける接続の法的な義務化は行うべきではない」との考えを示した。

 このほかに携帯電話をとりまく政策関連の動きはたくさんある。2006年1月には、IT新改革戦略の方向性が政府より示された。従来はIT環境の整備が中心であったが、これからの第2ステージでは、「ITをいかに利用するかが課題。特に電子政府や、医療のレセプトの電子化、ITの構造改革力の追求などが求められている。我々は社会インフラの提供者という立場から、セキュリティ、防犯、災害対策など、IT新改革戦略に貢献できるように努力していく」と述べた。

 次に中村氏は、ケータイ端末の高機能化、移動体通信の高速化といった、技術的な動向について説明した。お財布に代表される非接触チップの搭載、メガピクセルレベルのカメラ機能、音楽プレーヤー、ワンセグなど、現在のケータイ端末にはさまざまな機能が搭載されるようになった。アプリケーションも進化しており、新しいサービスも次々に提供されている。このよう高機能化にともなって、消費電力が増加しており、電池の問題がクローズアップされている。「テレビ電話、リッチコンテンツ、地上波デジタルなどを利用することによって、携帯電話の使用時間が長くなってきた。ますますこの傾向は続いていくため、リチウムイオン電池のままでは対応が困難」とし、世界最小となる燃料電池を活用した充電器について紹介した。この試作機は、従来より4分の1のサイズながら2倍以上の持ちがある。将来的には充電器ではなく本体に組み込めるようにする方向で、さらに開発を進めていくという。 

 もう1つの大きな課題は移動通信の高速化だ。現在の3Gでは、W-CDMAからHSDPA、HSUPA、SUPER3Gへと進化する。HSDPAは、この夏からサービスを開始される予定だ。最大通信速度は3.6Mbps(下り)/384Mbps(上り)で、現行のFOMAの10倍の速度になるが、将来的には14Mbps (下り)まで対応していくという。東京23区からサービスを順次展開し、2006年中に人口カバレッジで70%を目指す。また、音楽を手軽にダウンロードできる番組ミュージックチャンネルも開始する予定だ。HSDPAに関しては、最新ケータイモデルとして「N900iX」、カード型の「2501」を販売する予定で、今後も機種のラインアップを拡充していく予定だ。さらにHSDPAを拡張したSUPER3Gは、データ通信速度100Mbps(下り)/50Mbps(上り)を想定しており、2009年にサービスを開始する予定だ。SUPER3Gが実用化されると、現在固定ブロードバンドで提供しているサービスを移動通信でも利用できるようになる。新無線方式となる4Gは、2010年以降に実現化を目標としている。通信速度は1Gbpsとなり、固定網とシームレスな連携が可能になる。すでに同社では2.5Gbpsの実験に成功しており、標準化への動きも活発化してくるものと思われる。

 環境変化の3番目としては、サービスの動向が挙げられる。FMC(Fixed-Mobile Covergence)により、固定電話と携帯電話の連携ができるようになってきた。ブロードバンド回線を含む固定電話と、ケータイの利便性を生かして双方を補完できる。ビジネスシーンでは、FMCサービスはすでに始まっているが、「法人向けのサービスとして一日の長があるNTTグループとして、コンシューマ向けへの展開も考えている」という。また、放送と通信の融合についても、ユーザー側での視聴スタイルが変化してきた。有料放送が充実し、ジャンルや番組をユーザーが能動的に選択できる環境も整ってきた。動画再生機能に優れた製品が登場しており、この4月からはワンセグ放送も始まった。ただし、ワンセグ放送については、現在のところ地上波放送と同じ内容を放送しなければならない決まりがあるため、単なるテレビの受像機にすぎない。それが2008年以降から規制が緩和される動きがあるため、独自放送にも対応できる可能性もある。通信事業者は放送をどのように編集して流すのか、といった対応に迫られるだろう。通信と放送の連携はワンセグの中で大きく変わっていくと予想される。
《井上猛雄》

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