5月11日に東京の新宿ロフトプラスワンで、話題のオムニバス・ショートホラー『「超」怖い話』の試写会と舞台挨拶が行われた。初監督作品となったホラー作家の平山夢明、タレントの矢部美穂ら製作陣が一堂に介し、作品の裏話などを語った。 舞台挨拶に登場したのは、平山夢明、矢部美穂のほか、俳優の津田寛治、落語家の快楽亭ブラック、石川均ら。 トップバッターの平山は開口一番、「映画を撮りたい、とあちこちで吹聴していたら竹書房さんからお話をいただきました。ただし、いきなり長編をやると本業がお留守になるとのことで(笑)、オムニバスにしました」と企画の発端を明かした。 作品に自分の母と妹を出演させた矢部美穂は、「母はもともとトランプ占いが得意だったので、占い師役をやってもらいました。どうです? 『オバサンの恐怖』が出ていたでしょう?」などと笑わせた。 一方、自ら手がけたシナリオで挑んだ津田寛治は、もともとは平山の原作で撮る予定だったという。 「平山さんの小説『「超」怖い話』を4〜5本読み、これで行こうと決めていました。ところがある日、風呂上りに鏡を見て、ストーリーが浮かんできたんです。そこで急遽、その旨を平山さんに話し、オリジナル脚本に切り替えました」(津田) 津田の脚本は現実と虚構の境界線が曖昧になる恐怖がよく描かれており、作品に命を吹き込んでいた。 また快楽亭ブラックは、「怖い話のオムニバスだからウケを狙って笑いに走りましたが、石川(均)さんに先を越されましたね(笑)。鬼怒川近くの小屋にいい脇役を集めて撮りましたが、主役(の自分)がちょっとねえ(笑)」などと、落語家らしくあくまでウケ狙い。 最後に作品中いちばんのデキで、試写会場をなぜか「爆笑」の坩堝に叩き込んだ石川均は、「この会場の音響設備はいいですね。細かく作りこんだ音のひとつひとつがすべて鳴っていました」と、妙にキマジメなコメントをポツリ。作品の味と、人柄の好対照が印象的だった。石川均、要チェックです。 5作品のうちほとんどが一定水準をクリアしており、ネットシネマのオムニバスとしてはなかなかの仕上がり。観てソンはない作品である。