韓国芸能界では今、“ギャル”が妙に熱い。
K-POPアイドルから女優、モデル、男性タレントまで、日本の平成ギャルを思わせるメイクやファッションに挑戦し、SNSやYouTubeで次々と話題を集めている。
火付け役のひとりといえるのが、ガールズグループRESCENEのミナミだ。
彼女が見せた“ギャル口調”と「コジェ、ヤッホー」というフレーズは、K-POPファンの間を越えてオンライン全体に広がるミームとなった。
本人も韓国メディア『OSEN』のインタビューで、「こんなに多くの方に愛されるミームになるとは思わなかった」と明かしている。
ミナミは、メンバーのウォニの個人YouTube撮影でさまざまな通訳モードを試すなか、「ギャル口調」がしっくりきたため、そのまま押し通したという。結果的に、そのキャラクター性が大きな反響を呼び、大学祭などでも「ヤッホー」と叫ばれるほどの人気を得た。

アイドルから女優まで、みんな“ギャル”に
ただ、韓国での“ギャル化”はミナミだけにとどまらない。
ガールズグループHearts2Heartsは、日本滞在中に原宿で“平成ギャル”風コーデを披露。ピンクやファーアイテムを取り入れ、クレープを手にした姿が「えぐかわ」「似合いすぎ」と反響を呼んだ。
イ・ビョンホンの妻として知られる女優イ・ミンジョンは、YouTubeで“姫ギャル”メイクに挑戦。「この姿でサムギョプサルを食べに行っても大丈夫かな?」と戸惑う姿まで含めて話題になった。
他にも、歌手兼タレントのカンナムは“ギャル男”メイクに変身し、金髪ロングヘア、ヒョウ柄、濃いメイクで強烈なビジュアルを披露。女優パク・ハンビョルも、日本のギャルを思わせるメイクとスタイリングで「2000年代に戻ったみたい」と注目された。モデルのハン・ヘジンもYouTubeを通じてギャル風スタイリングに挑戦していた。

つまり、いま韓国で流行しているギャルは、若い女性だけのファッションではない。アイドル、女優、モデル、男性タレントまでが参加する、ひとつの“変身コンテンツ”となっているのだ。
では、なぜ今、韓国でギャルなのか。
韓国メディア『スポーツ東亜』は、ギャルと中国SNSインフルエンサー風の“ワンホン”メイクを並べ、両者に共通する特徴を「画面の中の補正効果を現実に引き出した“フィルターメイク”」と分析している。
同メディアによれば、1990年代末に日本で広がったギャル文化は、当時人気だったプリクラ文化と軌を一にする。白く補正された肌、大きく見える目など、機械が作り出した補正効果を若者たちが実際のメイクで再現し、主体的なサブカルチャーとして定着させたという見方だ。

一方、2020年代のワンホンメイクは、AIで高度化された動画アプリの補正効果を、現実の顔の上に再現するものだと同メディアは見る。つまり、かつてのギャルがアナログな写真フィルターをまねたものだとすれば、今のワンホンはデジタルAIフィルターをまねたものだというわけだ。
この分析は、現在の韓国ギャルブームにも当てはまる。
いまのギャルは、1990年代から2000年代の日本ギャルをそのまま復刻しているわけではない。派手なヘアピン、レッグウォーマー、厚底、濃いアイメイク、存在感のあるまつ毛、キラキラした小物といった記号を、ショート動画時代の“映える顔”として再編集している。
『スポーツ東亜』は、この流れについて、Z世代の「ロールプレイングとサブキャラクター」に象徴されるマルチペルソナ欲求と結びついているとも分析する。ゲームのキャラクターに“スキン”を着せ替えるように、顔や雰囲気を変えて遊ぶ文化へと進化したという解釈だ。

たしかに、今のギャルは“なりきり”に近い。ミナミのように口調まで含めてキャラクター化することもあれば、イ・ミンジョンのように普段のイメージとのギャップを楽しむこともある。ギャルは、固定された美しさではなく、別の自分を演じるためのコンセプトになっている。
一方、韓国メディア『イートゥデイ』は、ギャルの再注目をY2Kブームと自己表現の流れから読み解いている。
同メディアは、「1990年代末~2000年代初めに流行したスタイルが、今の10代・20代には古びた過去ではなく、直接経験したことのない見慣れない感覚として受け止められている」とし、ルーズソックス、レッグウォーマー、厚底靴、派手なネイル、フラッシュを焚いたような写真、キラキラした小物などは、いま“キッチュ”なものとして消費されていると分析した。
さらに、ギャルを単なるファッションではなく、「自分が好きなものを堂々と表現する、徹底した自己満足的な文化として受け止められている」とし、「“他人が何と言おうと、自分が可愛ければそれでいい”という堂々としたエネルギーが、これらのスタイルに共通する魅力」と解釈した。

ギャルは、近年流行した“クリーンガール”のナチュラルで整った美しさとは対照的だ。薄く自然に見せるのではなく、濃く、派手に、思い切り“作り込む”美しさ。メイクや小物を足していくことで別の自分になれる参加しやすさと変身感も、今の韓国で受け入れられている理由といえそうだ。
何よりも、ギャルは画面映えする。濃いアイメイク、存在感のあるまつ毛、派手なヘアピン、レッグウォーマー、厚底靴。どれも一目で「いつもと違う」と伝わる記号性がある。情報が一瞬で流れていくSNSでは、このわかりやすさそのものが強い。だからこそ、K-POPアイドルのコンテンツにも、女優のYouTube企画にも、タレントの変身ネタにもなじみやすい。
韓国で広がるギャルブームは、日本の過去の流行をそのまま輸入したものではない。Y2Kへの憧れ、SNSで映える視覚的インパクト、K-POP的なキャラクター消費、そして“いつもと違う自分”を楽しむ自己表現。韓国で今求められている要素が、そこに詰まっているのだ。
平成ギャルは、海を越えて韓国で再び注目を集めている。現在の勢いを見ると、この流れは当分続きそうだ。
■【写真】“ギャルキャラ”発言が大バズり!日本人K-POPアイドル・ミナミ



