EXOのシウミンを待っていた日本ファンに、あまりにも不可解な知らせが届いた。
東京ガーデンシアターで開催予定だった「ASIA CULTURE FESTIVAL 2026」への出演が、開催目前になって突然取り消されたのだ。
普通なら、体調不良やスケジュール問題を想像するところだろう。だが、6月5日に所属事務所INB100が明かした理由は、かなり異例だった。
シウミン本人に問題や責任は一切ない。イベント主催側も、正式な契約だと信じて準備していた善意の被害者だという。
では、なぜ出演は消えたのか。
INB100によれば、主催側が契約した相手は、シウミンの正式な所属事務所ではなく、自分たちを“シウミンの所属事務所”のように装った業者だったというのだ。つまり、詐欺的な契約トラブルによる出演中止というわけだ。
ただ、この件を単純な“偽所属事務所”問題だけで片づけられるのか。そう考えると、もう少し複雑な背景も見えてくる。
“所属事務所”を名乗った業者

シウミンが所属するINB100、そしてその親会社であるONE HUNDREDをめぐっては、ここ最近、複数のアーティストとの契約問題や精算問題が相次いで報じられてきた。
今回の出演中止と、それらの紛争を直接結びつけることはできないが、シウミンを取り巻く活動環境そのものが大きく揺れていることは確かだ。
INB100によると、イベント主催側はシウミンを招聘するため、「当社ではない別の業者と2026年4月27日に契約を締結した」という。
問題は、その業者が契約書上で自分たちを「シウミンの所属事務所」と記載していた点だ。INB100は、この業者がシウミンと専属契約を結んでいるかのように見せかける欺瞞行為を行ったと説明している。
さらに、日本イベント主催側が確認した結果、その業者は「実際の所属事務所ではないにもかかわらず、権限を詐称」していたという。INB100側は、別の仲介人の手数料を渡す目的で口座だけを貸したにすぎないことも把握されたとしている。
主催側は、この事実を遅れて認知した後、該当業者との契約を直ちに解除。これにより、シウミンの今回の日本イベント出演は最終的に不可能になった。
かなり異例の説明だ。正式な権限を持たない業者が“所属事務所”のように振る舞い、その契約が後から問題化したことで、シウミンのステージが消えた形だ。
INB100は、今回の件について「アーティストのシウミン本人にはいかなる問題や帰責事由もない」と明確に説明している。さらに、イベント主催側についても、該当業者との契約を正式なものだと信じ、誠実にイベントを準備してきた「善意の被害者」だとしている。
アーティストも主催者も、“権限を持たない業者”の介在によって振り回されたということだ。
INB100は、今回の件をアーティストの権利を侵害し、ファンに混乱をもたらした重大な犯罪行為と見なし、「関係者全員に対して強力な法的措置を取る予定」としている。
揺れるINB100とシウミンの契約問題
一見すると筋の通った発表だが、シウミンとINB100の現在の関係性を知ると、この説明をそのまま受け止めるだけでは物足りない。
そもそもシウミンが所属するINB100は、EXOのベクヒョンがSMエンターテインメントを離れて設立したレーベルだ。

その後、INB100はチャ・ガウォン代表率いるONE HUNDREDの子会社に編入された。ベクヒョンとともに、EXOのシウミンとチェンもINB100に所属している。
しかし今年3月末、チェン、ベクヒョン、シウミンは、INB100に対して専属契約解除を通知したと報じられた。
報道によれば、3人は、INB100のチャ・ガウォン代表に未精算金の支払いや契約違反に対する説明を求めたが、2週間が経過しても納得できる回答を得られなかったという。これに対し、チャ代表側は「追加投資を受けるか、私財を投じてでも精算問題を解決する」との立場を示した。
つまりシウミンは現在、INB100との関係がきわめて不安定な状態にある。だからこそ今回の“別の業者”をめぐる説明も、ファンの目には単なる詐欺契約だけでは片づけにくく映る。
正式な所属先はINB100である以上、同社を通さない契約が問題視されるのは当然だが、シウミンの周辺で契約やマネジメントをめぐる動きが複雑化していることもまた否定しにくい。
だからこそ今回の件は、単なるイベント出演中止以上に見えてしまう。
さらに話を複雑にしているのが、ONE HUNDRED系列をめぐる一連の問題だ。

現在、ONE HUNDREDおよび関連レーベルをめぐっては、シウミンやEXOの3人だけでなく、THE BOYZ、VIVIZ、イ・ムジン、BE'O、イ・スンギら複数のアーティストが、精算金の未払い、活動支援の不備、信頼関係の破綻などを理由に、相次いで契約解除や効力停止を求めている。
さらにMBCの調査報道番組『PD手帳』は、「MCモンと会長のK-POP営業秘密」というテーマで、ONE HUNDREDと系列会社をめぐる資金の流れや精算問題、チャ・ガウォン会長をめぐる疑惑を取り上げた。
同番組では、イ・スンギとチャ・ガウォン会長側の間で、高級ヴィラの全租保証金をめぐる見解の違いも注目された。イ・スンギ側は、当初の説明より大幅に高い全租金を要求されたと主張している一方、チャ会長側は「イ・スンギ側が全租金額に関して誤解している」と反論している。
これらは報道や番組で提起された疑惑、あるいは双方の主張であり、すべてが事実として確定したわけではない。
ただ、ONE HUNDRED周辺で複数のアーティストや関係者をめぐる契約・精算・資金の問題が相次いで報じられていることは、シウミンの現在地を見るうえでも無視できない背景になる。
今回の日本イベント出演中止は、“偽所属事務所”を名乗った業者による契約トラブルとして説明されている。しかし、シウミンが身を置くINB100自体が、今まさに揺れている。
そのため、ファンから見れば「本当に単純な詐欺契約だけの問題なのか」と見てしまう余地が残ってしまう。
ファンが失ったのは一つのステージだけではない
シウミンの日本出演中止で最も直接的な影響を受けたのは、当然ながら日本のファンだ。

直前のキャンセルは重い。チケットを用意し、予定を空け、交通機関や宿泊先を手配していたファンもいただろう。たとえシウミン本人に責任がないとしても、ファンの失望が消えるわけではない。
むしろ本人に責任がないからこそ、やりきれなさは大きい。ファンが待っていたのは、ステージに立つシウミンだった。その舞台は、本人とは関係のない契約の混乱によって消えた。
K-POPの海外イベントは、アーティストの人気だけで成り立つものではない。所属事務所、現地主催者、ブッキング業者、仲介人、制作会社、送金口座、契約書。多くの関係者が絡む。
そのなかで、誰が正式な権限を持っているのかが曖昧になれば、今回のような混乱が起きる。公式に発表された出演でも、裏側の契約が崩れれば、直前に消える。
そして同時に、シウミンというアーティストがいま、非常に複雑な事務所環境のなかにいるという現実でもある。
シウミンの日本出演はなぜ7日前に消えたのか。事務所の発表は「偽所属事務所との契約」だった。だが、その背景には、いま揺れているシウミンを取り巻く環境の複雑さがくっきりと浮かび上がっている。
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