いよいよBTSの高陽(コヤン)公演まで、1週間を切った。
現在、会場周辺だけでなく、高陽市そのものがゆっくりと“BTS仕様”に染まり始めている。
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4月9日、11日、12日に高陽総合運動場で開かれるBTSのワールドツアー「ARIRANG」公演を前に、市内にはすでに独特の熱気が広がっている。
外から見れば、人気グループの大型公演を控えた歓迎ムードに見えるかもしれない。だが今回のBTS公演はすでに、街の景色、消費、交通、安全対策までを動かす“都市イベント”になりつつある。
BTSコンサートは「都市イベント」へ
象徴的なのが、街の見た目そのものが変わり始めていることだ。
『朝鮮日報』は「高陽総合運動場の外壁と一山湖水公園の“歌う噴水”がすでに紫色に染まっている」と伝えた。紫はBTSとARMY(BTSファン)を象徴する色であり、高陽市は3月24日から紫の照明を点灯し、公演日までのカウントダウン演出まで始めているという。


ハンドプリンティング展示やフォトスポットも用意され、街全体が“BTSを迎える空間”へと変わりつつある。
ただ、さらに興味深いのは、そうした演出よりも先に、街の経済がすでに反応していることだろう。『韓国日報』は「高陽市全域が“ARMY特需”を期待して慌ただしく動いている」と報じた。
大化(テファ)駅近くの商店主たちは、BTS公演で売り上げがどこまで伸びるかに注目しているという。チキン店は待ち客の増加を見込み、キンパ店は持ち帰り需要を想定して食材を多めに準備し、コンビニは飲料やおにぎりだけでなく、応援棒用の電池まで多めに発注しているそうだ。ホテルもすでに満室が相次ぎ、60室規模の宿泊施設が公演期間中の予約をすべて埋めたという話まで出ている。
しかも、その波及効果は高陽市内を飛び越え、「高陽市内の宿泊需要が坡州(パジュ)、金浦(キムポ)、光明(クァンミョン)など周辺都市にまで広がっている」(『メイル経済』)という。高陽でホテルが取れなければ、周辺都市に泊まってでも来るわけだ。
実際、公演発表後には高陽地域の宿泊検索量が最大8倍、海外旅行者の検索量は185倍まで急増したといい、日本、フィリピン、台湾、中国、香港などアジア各地からの流入が目立つそうだ。
その意味で今回のBTS公演は、会場周辺の一時的なにぎわいではなく、一つの広い経済圏を動かしている。

こうした現象を、現地メディアは「アミノミクス(ARMY+Economics)」と呼び始めた。BTSファンダムの消費が、宿泊、飲食、流通、交通、観光まで押し上げる構図だ。
前回のソウル・光化門(クァンファムン)公演でも、近隣コンビニの売り上げが跳ね上がり、水や電池の販売が急増したとされるが、高陽ではその効果が、より街ぐるみで受け止められているようだ。
さらに重要なのは、高陽市がこの熱狂を単なる“特需”で終わらせまいとしていることだ。
市は4月6日から15日まで「地域経済活性化ビッグセール週間」を運営し、飲食店、宿泊業、伝統市場など80余りの店舗を巻き込んで割引やノベルティ配布を実施する計画だ。
加えて、観覧客の滞在時間を延ばして消費につなげるため、観光連携プログラム「高陽コン・トリップ(Con-Trip)」も打ち出した。高陽市の中心部「一山(イルサン)」出身のRMの思い出が残る場所をつなぐ、「感性型観光動線」まで案内すると伝えられている。BTS公演をきっかけに市内観光まで回していこうという意図が見える。

つまり高陽市は、BTSを“来て終わり”の公演として扱っていない。むしろ、BTSを入口にして、滞在、観光、消費へとつなぐ都市設計を試みているのだ。大型公演を一度迎えるだけではなく、「高陽コン」と呼ばれる公演都市ブランドへとどう育てるか。その文脈の中で、今回のBTS公演はかなり重要な位置を占めているように見える。
そして、BTS公演がすでに“都市イベント”になっていることを最もよく示しているのが、安全と交通をめぐる対応ではないだろうか。
高陽市は、グッズ販売スペースを高陽総合運動場ではなくKINTEX第2展示場に分離し、GTX-AのKINTEX駅と会場を結ぶ循環バスを運行する。公演後は観客を区域別に分けて順次退場させ、地下鉄の本数も調整する。最寄りの大化駅に人が集中しないよう、周辺駅の利用案内まで出している。
もはやこれは、人気コンサートの案内レベルではなく、人の流れそのものをどう制御するかという、都市運営の話になっている。
その意味で見逃せないのが、安全管理の強化だ。高陽都市管理公社はBTS公演を前にISO45001(労働安全衛生マネジメントシステムに関する国際規格)を取得し、大規模密集イベントへの対応力をさらに強化している。

今年、高陽コンで予定されている大型公演全体では76万5000人規模の観客が見込まれており、市や公社にとっても安全管理は都市ブランドそのものに直結する課題になっている。BTS公演は、その試金石でもあるのだろう。
こうして見ると、いま高陽市で起きているのは、単なる“BTS歓迎ムード”ではない。BTSという一組のグループを迎えるために、街の景色が変わり、店の仕入れが変わり、宿泊動線が広がり、観光施策が組まれ、交通計画と安全対策まで組み替えられている。コンサートが街を盛り上げる、というより、コンサートを軸に街全体が動いている印象だ。
BTSはもはや、街の消費や人の流れだけでなく、都市のブランド戦略にまで影響を及ぼす存在となった。



