「恐れなんてない」と言い切った少女たちが、ついに試練を越え、東京ドームのステージに立った。
3年前、LE SSERAFIM(ルセラフィム)がデビューした当初、彼女たちの掲げたコンセプトは少々不思議に映った。
「私は恐れない」という意味を持つ英語「I’M FEARLESS」のつづりを並べ替えてつけられたグループ名。「世間の視線に揺さぶられることなく、恐れず前へ進む」という強いメッセージだった。
しかしデビューしたばかりの彼女たちに対し、「いったいどんな視線に揺さぶられないと言っているのか?」という疑問が先に浮かんだのも事実だ。
2枚目のアルバム『ANTIFRAGILE』のテーマが、「困難を成長のプロセスとして受け入れる」だったときも、「彼女たちにそんな試練があったのだろうか?」と疑問が残った。

しかし時間が流れ、直近1年間でLE SSERAFIMが経験した出来事を振り返ると、その意味はまったく違って見える。むしろ「LE SSERAFIMという名前は予言だったのではないか」とさえ思える。
彼女たちの道は、まさしく逆境の連続だった。2024年のコーチェラ・フェスティバルでは“ライブ力不足”の批判を受け、ADOR前代表のミン・ヒジン氏がHYBEとの争いの中でチーム名を口にしたことで、思わぬ火の粉が降りかかった。
LE SSERAFIMへの否定的な視線やオンラインの中傷はとどまらず、応援の声は相対的に小さくなった。デビュー直後に「東京ドームへ行こう」と胸を張って話していた彼女たちでさえ、いつしかその夢にためらいをのぞかせるようになった。
それでも彼女たちは、名前が示すように最後までやり遂げた。

ライブの実力不足という論争に言葉で反論する代わりに、実力で証明する道を選び、ボーカルもパフォーマンスも自ら磨き上げた。レトロな魅力の『Come Over』も、破格のコンセプトの『SPAGHETTI』も堂々とやり切り、新しい挑戦を止めなかった。ミン・ヒジン氏の不用意な発言にも反応せず、ただ黙々と前だけを見据えた。
これまで表に出さなかった彼女たちの逆境が、どれほどつらいものだったのかは想像しにくい。東京ドーム公演で、ファンダム「FEARNOT」を前に流した涙には、歩んできた試練の時間がそのまま刻まれていたはずだ。
あらためて「LE SSERAFIM」というチーム名が胸に迫る。今になって振り返れば、彼女たちはその名前のように世間の視線に揺さぶられず、苦しい時間を成長のための過程として受け入れ、ついには“夢の舞台”東京ドームの真ん中に堂々と立ったからだ。

ホ・ユンジンは東京ドーム公演を締めくくりながら「まるで映画の最後のシーンのように感じられるが、私たちにとって今回の公演は新しいチャプターの始まりだと思う」と語った。
さらにファンに向けて「絶対に恥ずかしくないアーティストになる」とし、「最高の夢を叶え、最高の場所へ連れていく」と約束した。
これまで言葉にしてきたことを実現してきたように、LE SSERAFIMはこれからも最も輝く場所へ向かうだろう。どんな逆境が訪れようとも、今のLE SSERAFIMにはそれを乗り越える力がある。

◇LE SSERAFIM プロフィール
BTSを擁する韓国の大手芸能事務所HYBEが傘下レーベルSOURCE MUSICと共にローンチした初のガールズグループ。IZ*ONEメンバーとして活躍したキム・チェウォンと宮脇咲良を筆頭に、カズハ(日本人メンバー)、ホ・ユンジン、ホン・ウンチェらで構成された。2022年5月2日にデビューアルバム『FEARLESS』をリリースしてデビュー。直後にメンバーが1人脱退して5人組となったが、韓国はもちろん、年末にはNHK紅白歌合戦にも出場するなど日本でも話題となった。2023年1月25日、正式に日本デビューを果たした。



