「アニメーションの世界は非常に自由で何を表現してもいいと思います。今回“シェイクスピア”や“ダンテ”の作品を(モチーフに)映画を作るとは思っていませんでしたが、そのくらいアニメーション映画というのは新しい可能性があるということです。可能性が無限大なので、これからも面白い作品ができると思います」

3日ヴェネチアに到着し「第82回ヴェネチア国際映画祭」のプレスカンファレンスに登場した細田守監督はこうコメントした。『時をかける少女』、『サマーウォーズ』、『おおかみこどもの雨と雪』、『バケモノの子』、『未来のミライ』、そして『竜とそばかすの姫』を手掛けてきた映画監督・細田守。最新作となる『果てしなきスカーレット』のテーマは“生きる”だ。


スカーレットの声を演じるのは、芦田愛菜。そして芦田演じるスカーレットと共に旅をする現代の日本人看護師・聖(ひじり)を岡田将生が演じる。さらに、スカーレットと聖の前に立ちはだかる最凶の宿敵・クローディアスを圧倒的存在感で役所広司が演じ、市村正親・吉田鋼太郎・斉藤由貴・松重豊・山路和弘・柄本時生・青木崇高・染谷将太・白山乃愛・白石加代子といった総勢11名の日本を代表する豪華俳優陣が集結した。

作品を作るきっかけについて細田監督は、「“復讐劇”の映画を作りたいと思いました。世界中の人が“復讐劇”(が描かれた作品)が好きだと思ったので、皆が見たいと思ってもらえる作品を作ろうと思ったんです。ただ“復讐”だけではなく、もう一つの要素として“赦し”という部分を同時に含めて、今までにない映画を作ろうと思いました」。特に難しかったのは「主人公のスカーレット(芦田)と聖(岡田)をどんな風に設定し、魅力的な人物にしていくのかという部分が難しかったです。“対比”ということに重きを置いて考えました。一人は王女、一人は看護師。その立場の違いを描くことによって、どちらも魅力的(な人物)に見えるように作っていきました」と答えた。尚、今回の主人公像については「これまでのプリンセス像のような、王子様に守られるプリンセスではなく、もっと新しい、自分自身で道を切り開いていくようなプリンセス像をこの映画では表現しました」と話した。




役作りについて聞かれた芦田は「スカーレットは中世の王女という役なので、王女として生きる使命感だったり、心構えをどう表現するか悩みました。中世の動乱の時代を生きたジャンヌダルクやエリザベス1世などの作品や映像を見て、イメージを膨らませていきました」、岡田は「(過去に)演劇でシェイクスピアをやったり、看護師の役を演じていたので、“聖”という役に関しては、自分の体に染み込んでいる状態でした。スカーレットに対する気持ちであったり、時間であったり、そういう部分を大切にしようと演じました」と話した。また、この作品でどんなことを観る人に伝えたいかと聞かれた芦田は、「スカーレットは、混沌とした世界を一生懸命生き抜こうとし、そして、自分の想いを遂げようとする女の子なので、その一生懸命さが現代を生きる(この作品を観た)皆さんの生きる活力になっていただければいいなと思います」とコメントした。