英語は世界で最も広域に浸透している言語であるが、かといって全ての国で英語が通じるというわけではない。我が国日本もそうだ。
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それに、同じ英語でも「訛り」というのがある。オーストラリアの英語は、頭文字の「H」を飛ばして発音することで有名だ。使用単語もクイーンズイングリッシュとは差異がある。
以上の理由で同じ英語圏出身者の間でも、翻訳機が使用される可能性は大いにある。この機器の需要は、今後右肩上がりで推移することは間違いないだろう。
インドネシア語で試してみた
さて、筆者はノンフィクション作家として各メディアでの執筆を請け負っているが、その関係で新製品の試供品に触れる機会がある。今回は『Langogo』という翻訳機が当事業所に届いたので、早速試してみたい。
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このLangogoはクラウドファンディング『Indiegogo』で17万866ドル(約1920万円)もの資金を調達し、国内クラウドファンディング『Makuake』にも出展中の新製品である。世界73ヶ国で使われている言語に対応するという。使用者が話した言葉の認識から翻訳まで、僅か1秒未満というスピードだ。
筆者は年に数回インドネシアに渡航していて、現地の公用語であるインドネシア語には日常的に触れている。今回はインドネシア語の翻訳をLangogoでしてみたいと思う。
今日の株式相場は?
「おはよう」はインドネシア語では「Selamat pagi」、「食べる」は「Makan」、「私はインドネシアへ行く予定です」は「Saya akan pergi ke Indonesia」である。
これらの日常会話をLangogoで訳して「これは便利な製品だ!」と結論付けるのは、何だか味気ない。もっと高度かつ複雑な言葉を訳せないと、使い物にはならないだろう。そこで突然ながら、以下にインドネシア語の文章を記載させていただきたい。内容は、インドネシアのスマートフォン事情についてのものである。
Menurut menteri komunikasi dan informatika,orang Indonesia yang punya smartphone sudah mencapai 180 juta orang.
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Tapi 80 juta orang tidak punya rekening bank.
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Sudah memiliki smartphone tapi tidak punya rekening bank.
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Oleh karena itu,di Indonesia sekarang berkembang bidang smartphone.
この翻訳精度には筆者も驚いた。完璧である。
「8000万」の部分は「80 juta」か「80000000」かという表記揺れはあるものの、それはまったく苦にならない点だ。
また、
Saya mau lihat harga bursa efek sekarang.
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Harga bursa efek jatuh 1%.
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Harga minyak di Indonesia semakin relatif stabil.
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Tapi harga emas semakin mahal.
といった具合に、株価や先物取引の相場を論じる程度のインドネシア語なら難なく訳してくれる。
極めつけが、
Pemerintah Indonesia ingin berkembang UMKM.
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である。「UMKM」とは「usaha mikro kecil dan menengah(中小零細事業者)」の略語で、現在のインドネシア政府は大企業よりも中小企業の発展を重用する政策を打ち出している。現地経済メディアにも頻繁に登場する単語だ。
これも翻訳できるとなると、ビジネスシーンでのLangogoの利用もしやすくなる。たとえば日本本社の社員がインドネシア支社へ出張する際、このLangogoを持っていけばいざという時に必ず役立つはずだ。さらにLangogoはAIと連携する製品だから、今後新しい単語も覚えていく。インドネシア語は新単語が頻繁に登場する言語で、それ故に辞書を作るのが難しいとされている。だからこそ、AIエンジンはありがたい機能だ。
eSIMの利便性
また、LangogoはeSIM搭載のWi-Fiルーターとして活用することもできる。
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たとえば日本国内での1日300MB以内であれば、3ドル(約340円)で通信量を購入することができる。支払いはPayPalで行う。インドネシアでのそれは4.4ドル(約490円)と出た。auの世界データ定額が1日980円だから、急場凌ぎに使う分にはちょうどいい料金だ。
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それに東南アジアを頻繁に訪れる筆者としては、物理SIMよりもeSIMのほうがありがたい。
ここで話は少し飛ぶ。筆者は爆弾テロというものに遭遇している。2016年1月14日にジャカルタで発生した事件だ。
あの事件以降、インドネシア政府はテロ組織に対する強硬姿勢を明確にした。それと同時に「SIMカード問題」というものが露呈した。この時までのインドネシアは、携帯電話に差すSIMカードが屋台でも売られている状態だったのだ。購入に身分証明は必要なく、テロリストが複数のSIMカードを保有していたことも明らかになった。
現在のインドネシアでは、SIMカードの購入に厳格な身分証明が求められるようになった。購入者の個人情報を各通信会社のデータベースに登録するのだが、それは外国人も同様である。
やむを得ないこととはいえ、現地で物理SIMを買う際は相応の手間と時間がかかるようになった。しかしeSIMなら、そのような煩わしさが一切ない。ビジネス会話ができる翻訳機、そしてeSIM搭載のWi-FiルーターとしてLangogoは大活躍間違いなしのガジェットだ。Langogoは現在、Makuakeで2万200円からの出資を受け付けている。製品の配送は来年5月から。
【参考】
【3 in 1】即時翻訳・音声案内・Wi-Fiルーター。最強の旅友Langogo-Makuake