「顔認証を使ったワンランク上の接客」……サービス業のIT利用最前線 | RBB TODAY
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「顔認証を使ったワンランク上の接客」……サービス業のIT利用最前線

ビジネス 経営
「顔認証システム導入セット」。顔認証ソフトウェアをプリインストールしたアプライアンスサーバと導入サービス・保守サービスをセットにして提供
  • 「顔認証システム導入セット」。顔認証ソフトウェアをプリインストールしたアプライアンスサーバと導入サービス・保守サービスをセットにして提供
  • 「空中投影型RFIDセルフPOS」。新感覚のタッチ操作と、RFIDを活用した、未来を感じるセルフPOS。商品をテーブルに置くと、テーブルに内蔵されたスキャナが一瞬にしてRFIDを読み取り、スピーディに会計を行う
  • 「AI・AR店舗業務支援」ソリューション 。AIとARを組み合わせ、店舗におけるさまざまな問題を解決する。経験の浅い店員が、困っていることについて質問を行うと、AIが解決策を探し出し、チャット形式で自動応答する
  • 流通・小売・飲食業向けの展示発表会「リテールテックJAPAN2017」で、NECは今年4月、中堅・中小企業向けに「顔認証ソリューション事業」を強化することを発表した(写真は、流通・小売・飲食業向けの展示発表会「リテールテックJAPAN2017」より)
【記事のポイント】
▼接客サービスの向上にとって、顔認証とIoTの技術は重要になってくる
▼店の雰囲気が重要視されるサービス業では「空中投影型RFIDセルフPOS」に注目
▼AI、ARの利用は経験の浅い店員の働きやすさ改善につながる


 インバウンド需要の拡大、そして2020年の東京オリンピック・パラリンピックといった要因から、「おもてなし」がキーワードとして注目されている。さらに、IT/IoTを活用した「おもてなし2.0」とでもいうべきサービスや製品が、飲食業・旅行業・物販業の領域で、多数登場しつつある。本記事はそうした最新事例を紹介し、自社での導入の参考とする内容だ。

 今回は、日本電気株式会社(NEC)に焦点を当てる。国内IT企業最大手といえる同社は、さまざまな民間企業向けにITソリューションを提供しているが、今年4月に、SMB市場(中堅・中小企業)向けに「顔認証ソリューション事業」を強化することを発表した。同社の顔認証ソリューションはその精度に定評があるが、小売・飲食店での「顔認証を使ったワンランク上の接客」への応用が期待されている。

 3月に開催された、流通・小売・飲食業向けの展示発表会「リテールテックJAPAN2017」では、「ウォークスルー顔認証による来店検知」および「顔認証決済」を使った接客デモを展示した。お客様の来店を、自動でチェック”お財布レスでスマートに決済可能にする”など、新たな体験を提供。さらに、店舗での購買履歴やネット上での閲覧/購買履歴などと結び付けることで、個々のお客様にマッチしたお勧め商品を提案するなど、まさに「ワンランク上の接客」を実現可能にするという。リテールテックJAPAN2017には参考展示ながら、「空中投影型RFIDセルフPOS」「AI・AR店舗業務支援ソリューションなど、先進の技術を活用した様々なソリューションが出展されており、2020年に向けた同社の取組みが伺える。これらのソリューションついて、「顔認証ソリューション」「空中投影型RFIDセルフPOS」「AI・AR店舗業務支援ソリューション」の点から、関連部署/関連会社の担当者から話を聞いた。

■高精度の「顔認証ソリューション」で“おもてなし”

 顔認証ソリューションの主な利用分野としては、「入退室管理」「見守り」「防犯」「サービス向上(おもてなし)」が考えられる。NECでは、顔認証ソフトウェアをプリインストールしたアプライアンスサーバと導入サービス・保守サービスをセットにし「顔認証システム導入セット」として提供。事前に登録した顔情報から、本人を高速・高精度に認証できる製品だ。ラインアップは、ネットワークカメラ1台専用の「バリューセット」を、67万円から提供している(希望小売価格、1年保守パック標準バンドル、カメラ別売)。

 あわせて、主なオプションソフトウェアとして、ネットワークカメラ映像を録画し防犯カメラとして機能させる「ビデオマネジメントシステム(VMS)オプション」、人物の年齢・性別を推定する機能で、マーケティング用途やデジタルサイネージと連携させる「FieldAnalystオプション」も提供している。さらに現在、セキュリティゲートと組み合わせた“顔認証による入退場ゲートソリューション”や勤怠管理システムと組み合わせた“顔認証による入退室管理と勤怠管理の連携ソリューション”の提供も予定しているという。


「NECの顔認証技術はこれまで海外やパブリックセーフティ分野で主にビジネス展開してきていたが、それを国内のSMB(中堅・中小)市場まで裾野を広げ、幅広い用途で顔認証技術を活用いただくために、スモールスタートで導入が簡単な『顔認証システム導入セット』を企画開発しました」(担当者)とのことで、SMB市場にも注力。顔認証システムがより提案・提供しやすくなったという。

「入退室管理」では、従来ICカードで入退管理をしていたところを顔認証に置き換えることで、ICカードの紛失、再発行、不正使用などを避けることができる。併用すればセキュリティレベルを高めることも可能だ。「見守り」「防犯」においては、人手に頼っていた部分を顔認証の活用によりカバーできる。では「サービス向上(おもてなし)」についてはどうだろうか。

「接客サービスレベルを向上させたい、従業員の誰が対応しても高いサービスレベルを維持したい、お客様に最適なサービスを提供したい、といったニーズをお持ちの企業様に対してNECの顔認証とIoTの技術を使ってサポートさせていただくことができるのは、これから2020年に向けて非常に大事なことだと考えています」(担当者)。具体的には、「VIP顧客の来店をいち早く把握して送迎する」「来店したお客様にマッチした広告をサイネージに表示する」など、幅広い活用を考えており、顔認証システム導入セットとFieldAnalystオプション、電子広告&掲示板システムの「AdWindow」をセットにした「ターゲット広告サイネージ セットモデル」を2017年下期にもリリースする計画だ。

 現在NECでは「ソリューション開発プログラム」により、ISVやハードウェアメーカーのアセットと組み合わせた連携ソリューションを共創し、さらなる顔認証技術の活用範囲を広げることに着手している。さらには今後、クラウドサービスとの連携/提供も視野に入れているとのことで、近いうちに、さらに意欲的なプロダクトが登場しそうだ。

■アパレル業界独特の要望から誕生した「空中投影型RFIDセルフPOS」

「空中投影型RFIDセルフPOS」は「新感覚のタッチ操作と、RFIDを活用した、未来を感じるセルフPOS」だ。商品をテーブルに置くと、テーブルに内蔵されたスキャナが一瞬にしてRFIDを読み取り、スピーディに会計を行う。POS画面は、空中に浮かんだ映像となっており、タッチ操作を画面に直接触らず行えるというユニークな製品だ。

「空中投影型RFIDセルフPOS」については、「POS端末を見せたくない」「カウンターを広く使いたい」という、店舗の雰囲気を重要視するアパレル業界独特の要望がもともとあった。そこに、人手不足解消のため「セルフ会計」という要素が加わった形だ。そして、NECの特約店である新光商事株式会社の「AIplay」という商品に着目し、その商品を活用した“新感覚のセルフPOS”の企画に至ったという。

 新光商事の「AIplay」は、AIプレートとフィンガージェスチャーの組み合わせによる空中結像の操作装置だ。幅約49センチのガラスプレートを通して空中で結像された画像を、スマホ画面のようにタッチ&フリックで操作できる。特殊ガラスとセンサーカメラにより触らずに操作できるというインターフェイスは、来店者に「面白そう」「使ってみたい」と思わせ、新規性やエンタメ性に優れていると言えるだろう。一方で、清潔に使える、指紋を残さず使えるという利便性も合わせ持っている。

「あらゆるセンシングデータがクラウド上に集約され、お客様がいつ、どこで、何を求めているかの情報を共有することで、品切れのない商品提供や、タイムリーできめ細かなサービスの提供が可能になります」「さらに、店内環境やレジ混雑度、商品棚状態のセンシングにより、効率的なQSC(Quality、Service、Cleanliness)管理が可能になり、お客様満足度向上に繋がると考えています」(担当者)と、POSの利用機会を拡大していき、そのゴールとして「サービス向上(おもてなし)」を見据えていることがわかる。参考出品でマーケットなどまだリサーチ中とのことだが、具体的な製品化に期待したいところだ。


■経験が浅い従業員の「困った」に応える、「AI・AR店舗業務支援」ソリュ―ション

「AI・AR店舗業務支援」ソリューションは、AI(人工知能)とAR(拡張現実)を組み合わせ、店舗におけるさまざまな問題を解決するソリューションだ。「国内リテール市場を取り巻く環境(労働人口構造の変化、店舗サービスの多様化)に対して、AIテクノロジーを活用した業務支援ソリューションを作り、従業員の働きやすい環境を提供する」のが開発の狙いだという。アプリへのログインには、顔認証機能を採用。経験の浅い店員が、困っていることについて質問を行うと、AIが解決策を探し出し、チャット形式で自動応答する。店内什器をIoTで接続し状況を把握し、操作を指示するといったことも可能だ。その際、ARマニュアルで、視覚的に操作をサポートする。

「業務をサポートするコールセンターへの負荷を減らし、従業員の教育期間を短縮化して即戦力化できる」(担当者)とのことで、今後多くのサービスや従業員拡大を検討している企業、さまざまなスキルセット(言語、経験)を抱えている企業での活用を期待しているという。

 従業員が使いやすく、マーケットが求めるスピード感への追従を重視しつつ、「店舗内のあらゆる機器(IoT)とAIが連携することで、より使いやすくよりパーソナライズされた仕組み作りにむけた機能強化をしていきます」(担当者)とのことで、店舗側のサービス向上により、顧客満足度を高めるというソリューションとなっている。

 今回の3製品以外にもNECでは、ロボットによる接客ソリューション、物流での検品効率化を支援するソリューション、自販機の在庫情報をIoTで可視化するソリューション、AI活用によるスーパーマーケット向けソリューションなども開発・展開している。2020年に向け、さらにイノベーティブな“おもてなしIT”の登場を待ちたい。

サービス業のIT利用最前線!5 NECが進化させる“おもてなし”プロダクト体験

《冨岡晶/HANJO HANJO編集部》
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