現状の人工知能にパーソナライズ機能の実装が難しいわけ | RBB TODAY

現状の人工知能にパーソナライズ機能の実装が難しいわけ

ニュアンス・コミュニケーションズは、音声合成・音声認識技術を医療・金融など幅広く展開しているが、自動車分野では、ドライブアシスタントとして対話インターフェイスを持った人工知能の研究・開発も続けている。

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ーンド・ヴァイル氏(オートモーティブ・ビジネスユニット シニア・バイスプレジデント兼ゼネラル・マネージャー)
  • ーンド・ヴァイル氏(オートモーティブ・ビジネスユニット シニア・バイスプレジデント兼ゼネラル・マネージャー)
  • エリック・モンタギュー氏(プロダクト・マーケティング及びオートモーティブ戦略部門 シニア・ディレクター)
  • ニュアンスが考えるパーソナライゼーション
ニュアンス・コミュニケーションズは、音声合成・音声認識技術を医療・金融など幅広く展開しているが、自動車分野では、ドライブアシスタントとして対話インターフェイスを持った人工知能の研究・開発も続けている。

同社が研究しているドライブアシスタントは、人間との自然な対話から必要な命令を理解し、それを実行に移すことができる。例えば、カーナビのルート設定だけでなく、メールの作成・送信、電話の発信、スケジュールの確認・設定、レストランを探す、予約する、車のメンテナンスデータを調べる、といったことだ。

同社では、ディープラーニング(多層的な機械学習)をベースに、自然言語処理、対話コンテキストの認識、適切なクラウドサービスとの連携、クラウドナレッジの参照といった技術を研究している。その中には、ユーザーの好みや行動パターンに応じたレコメンドや判断をする「パーソナライズ」も含まれている。

しかし、パーソナライズを自動的に行うことは、現在の人工知能技術では実装が難しい。現在、AI、人工知能といったとき、その背後にあるソフトウェアは、機械学習、ディープラーニングといった技術を実装したものになる。機械学習というが、「学習」は事前に用意した膨大な入力データを処理させることで行う。学習されたアルゴリズム部分は切り離されて機器に実装される。そのため、ユーザーが使った結果の「学習」は行われない。

ニュアンスのアーンド・ヴァイル氏(オートモーティブ・ビジネスユニット シニア・バイスプレジデント兼ゼネラル・マネージャー)は、「本当の意味での自律的な機械学習はまだ実現されていません。現在は、まず音声が何を言っているかを認識し、次にそれが誰なのかを認識するといったパーソナライズ機能を、段階的に実現していっています。」と説明する。

ユーザーがよく行く店を記憶しておき、レコメンドするくらいは可能だ。しかし、取引先の「鈴木さん」と休日の会話やSMSにでてくる「鈴木さん」が別人だとして、その区別を機械学習に反映させることは難しい。機械学習の出力を、事前に設定したパーソナライズ情報によって補正することは可能だが、それには、平日昼間の鈴木さんとSMSの鈴木さんは別人であることをユーザーが設定するか、過去の操作履歴から判断することになる。

この場合、パーソナライズ情報をどこに保存するか、どのように管理するかという問題も発生する。これらの情報は個人情報も含まれるため、データの保存には法的な制限など注意が必要だ。クラウド保管も慎重に行う必要がある。いずれにせよ、個人情報の持ち主は本人であって、自動車メーカーでもAIベンダーでもない。

同社 エリック・モンタギュー氏(プロダクト・マーケティング及びオートモーティブ戦略部門 シニア・ディレクター)は「パーソナライズで重要なのは、データの保存方法、期間などが適切であることです。保存場所はクラウドより車の中のほうが適切でしょう。なにより企業の信頼性がないとユーザーはデータの保存を許可してくれません。」と語り、パーソナライズは技術的な問題だけではないとの認識を示した。
《中尾真二@レスポンス》

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