9.11テロやロンドン五輪でも活躍した階段避難車の数々 | RBB TODAY
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9.11テロやロンドン五輪でも活躍した階段避難車の数々

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階段をスキー部を活かして滑るように降りていく階段避難車『Evac+Chair』のデモ。実際に体験もできた(撮影:防犯システムNAVI)
  • 階段をスキー部を活かして滑るように降りていく階段避難車『Evac+Chair』のデモ。実際に体験もできた(撮影:防犯システムNAVI)
  • 『Evac+Chair』全景。実際に押すと、スムーズに動くことが実感できた(撮影:防犯システムNAVI)
  • 『Evac+Chair』は、スキー部の下にも小さな車輪があり、平地は4輪走行ができる(撮影:防犯システムNAVI)
  • 階段を楽に登ることができる階段避難車『iBEX Transeat』も取り扱いを開始(撮影:防犯システムNAVI)
  • 『iBEX Transeat』はベルト式のスキー部でしっかりと段差をつかんで登っていく仕組みになっている(撮影:防犯システムNAVI)
  • 階段の途中でもしっかり止まる『EXCEL CHAIR』。ヘッドレスト、アームレストが目につく(撮影:防犯システムNAVI)
  • フットレストの両端にゴムカバーが付けられ、サポーター用のグリップとなっている(撮影:防犯システムNAVI)
 災害などの緊急時にエレベーターが使えない状況でビルなどから避難をする際には、高齢者をはじめ、自力で階段を降りられないケガ人や病人を自力で階段を使っておろす必要が出てくる。仮に担架でおろそうと思った場合には2~4人の人手が必要だし、背負って下ろすのも危険を伴う。

 そんな時にひとりで対象者を座らせたまま安全に下ろせるのが階段避難車だ。スムーズかつ安全に、確実に階段を下ることができ、平地では手押しの車椅子としても機能するため、多くの病院や大型ビル、企業、学校、地方自治体などに普及している。

 15日まで東京ビッグサイトで開催されていた「オフィス防災EXPO」では、イギリスメーカーの階段避難車を扱う企業が奇しくも2社出展していので紹介していこう。

●9.11テロでも多くの命を救った階段避難車

 まずはコーケンメディカルが15年前から日本での販売を開始している階段避難車『Evac+Chair』(イーバック+チェア)。イギリスのEvac+Chair International Ltd.が開発・実用化した製品だ。

 本体は軽量だが、頑丈なアルミ合金製で、モーターやエンジンは一切使用しないエコ仕様。本体重量は約9.5kgで、最大荷量は182kg。階段を下る際には、腹部と頭部をベルトで固定してから、スキー部を階段に沿わせておろしていく。スキー部には適度な摩擦でブレーキをかけるVベルトが装備されており、スピードが乗って滑り落ちることもないため、女性がひとりでも操作することも可能だ。

 『Evac+Chair』は海外で広く普及しており、9.11テロの際に崩壊してしまったワールドトレードセンターにも100台常備されており、同製品の活躍により命拾いした人も少なくないという。

 日本でも東日本大震災の際に病人や怪我人、高齢者を避難させる際に活躍しており、消防署では救急車に積載して、患者の現場からの運び出しに使っているそうだ。

 Evac+Chair International Ltd.は医療機器の品質を保証するISO13485を取得した工場を持ち、安全性はドイツの「ドイツ機器安全法」をクリアしている。現在、世界30カ国で利用されている安心の階段避難車とのこと。国内では、コーケンメディカルが品質保証やメンテナンスなどを独自に対応している。

 また、最近では階段を登るための階段避難車『iBEX Transeat』の取り扱いも開始した。

●ロンドン五輪でも採用された避難用器具

 次に紹介するのは、イギリスのEvacusafe社が開発した『EXCEL CHAIR』。日本での販売はテクノグリーンが行っている。

 『EXCEL CHAIR』は2012年のロンドン・オリンピックで避難用器具として各競技場、選手村に設置された実績を持つ。前述の『Evac+Chair』にはないヘッドレスト、アームレストを装備し、身体障がい者にも優しい設計となっているのが特徴だ。

 重量は13.8kgで、最大荷量は182kg。下へ降りるときはスキー部を使用し、Vベルトで速度を落とす原理は同じだが、『Evac+Chair』のVベルト交換推奨期間が2年なのに比べ、『EXCEL CHAIR』は5年と長期保証を行っている。また、前部にサポーター用グリップを搭載することで、メインで操作する人を補助できる仕様になっている。

 ちなみに両社の担当者によれば、どちらの階段避難車がいいか、ユーザーから聞かれることは多いようで、最終的にはさまざまな条件を比較してもらったうえで、導入側が求めるニーズにより近いのものを選んでもらっているというのが、実情のようだ。
《防犯システム取材班/梅田勝司》
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