【インバウンド】今日からできるホステル口コミ戦略! | RBB TODAY

【インバウンド】今日からできるホステル口コミ戦略!

 部屋のタイプは相部屋を中心とし、トイレやバスシャワー、キッチン、洗濯機などが共有となる分、宿泊費がホテルよりも格安である点が特徴のホステル。ビザの緩和や格安航空LCC各社の路線拡大などにともない、増加した訪日個人旅行客をターゲットとした開業が相次いでいる。

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オークホテル。出入口の脇に止まっているのは電動式のレンタル自転車
  • オークホテル。出入口の脇に止まっているのは電動式のレンタル自転車
  • 宿泊した外国人客から寄せられたメッセージ付き写真がズラリ
  • 旅行情報サイトなどから数々の賞を受賞
  • 電動式自転車のレンタルサービスの案内
  • 旅行カバン預かりサービスで使用する保管室
  • ニッチリッチ代表取締役 細井保裕氏
【記事のポイント】
▼施設はリノベーションで初期コストを抑える
▼思わず写真を撮りたくなる演出で口コミを誘導
▼外国人客の“かゆいところに手が届く”接客サービス

■口コミを活用して年間平均稼働率90%超を維持

 部屋のタイプは相部屋を中心とし、トイレやバスシャワー、キッチン、洗濯機などが共有となる分、宿泊費がホテルよりも格安である点が特徴のホステル。ビザの緩和や格安航空LCC各社の路線拡大などにともない、増加した訪日個人旅行客をターゲットとした開業が相次いでいる。

 ホステルは簡易型の宿泊施設である点から、既存の宿泊施設や商業施設などをリノベーションすることで、初期コストを抑えて開業できる。この点について、外国人集客のプロデュース・コンサルティング事業を展開するニッチリッチ代表取締役の細井保裕氏は次のように明かす。

「物件により初期コストは大幅に変わりますが、宿泊施設等以外の施設をリノベーションする場合には用途変更が必要となり、坪単価50万円から60万円程かかってしまうことが多いようです。最近オープンしている新規参入ホステルは、推定坪80万円から100万円の工事費がかかっています。ただ、旅館業や簡易宿泊業を既に取得している物件であれば修繕費とリニューアル費用のみなので、比較的初期コストを抑えて開業ができます」

 観光客でにぎわう浅草から徒歩圏にある「オークホテル」は、築40年のビジネスホテルをリノベーションしたホステル。ニッチリッチがその運営を手掛けている。当初の主な費用は、配管の劣化により約1500万円、壁紙・絨毯などで約200万円、フロント回り・浴室の修繕で約100万円。電話配線・Wifiなどで約200万円。また、消防法の規定により非常扉増設工事に約100万円、天井の水漏れ修繕等に約50万円、各室トイレなどの水回りに約50万円、古いタイプの集中エアコンであったため全室個別エアコンを設置するのに約350万円かかったという。

 こうして全71室、最大収容人数126人のホステルに生まれ変わった結果、月額の売上が300万円以上も向上したという。リニューアルオープンしたのは東日本大震災の直後だったが、約半年で黒字に転換すると、その後の3年間で客室単価を3000円向上させた。


 宿泊客の9割が訪日個人旅行客で、年間平均稼働率は90%超。世界最大級の旅行口コミ情報サイト「トリップアドバイザー」、バックパッカーご用達の予約サイト「ホステルワールド」、世界中に展開する宿泊予約サイト「ブッキングドットコム」で数々の受賞歴を持つ。それに加えて、ネット上での口コミによる評判の良さが、ホステルの高い稼働率を後押ししているようだ。

「旅行情報サイトの多くは、口コミの質と量が高い施設ほど、情報が目立つ位置に表示されます。閲覧される機会が増えれば、それだけ予約につながる可能性が高まるわけです」

■外国人客が口コミやSNSで紹介したくなる仕掛け

 では、旅行情報サイトに掲載されるには、どうすれば良いだろう? 先述したようなサイトについては、ユーザーの口コミに加えて、運営者が持つさまざまな情報ソースを元に施設を掲載する。サイトに掲載登録を行わなくても、知らないうちに自動で登録されていたという施設も多い。

「例えば、トリップアドバイザーでは物件が登録されると、その持ち主が管理画面を使用できるようになります。なので、まずは施設の写真を載せると良いでしょう。バナーなどのコードを入手して、自社のホームページに貼りつけるのもいいですね。ステッカーも入手できますので、それを施設の入り口やフロントに貼って口コミを促すことも重要です」

 その上で、口コミを促す方法としては、例えば女性が「あっ、可愛い~」と思わず写真に撮ってSNSにアップしたくなる装飾を施したり、家具や雑貨などを置いたりすること。オークホテルでは自転車のレンタルサービスを提供しているが、その自転車を電動式にしたことで、「電動式の自転車があるのはものづくりの国、日本らしい」と喜ばれ、口コミを促すきっかけになっているという。

「アジア圏の方は高価なカメラを持っていることが多く、それを褒めると喜ばれることが多いですね。さらに、写真を見せていただいて感想を言うことで、SNSにアップして頂けることが多いです」

■外国人客とスタッフが飲みに行くフレンドリーなホステル

 思わず口コミやSNSにアップしたくなる施策も重要だが、ホステルの評判を高める上でやはり大切なのは、外国人客の“かゆいところに手が届く”接客サービスとなる。

 オークホテルでは大きな旅行カバンについて、チェックイン前・チェックアウト後の預かりサービスを提供している。保管場所が必要となるため、ホステルによっては難しいかもしれないが、オークホテルではフロントに近い客室を利用。他にはなかなかないサービスとして好評だという。また、外国人客が体調を崩した際の対策として、外国語に対応する付近の病院をチェックしており、これも安心して滞在できるホステルとして高い評価を受けている。


 宿泊先にホステルを選ぶ外国人客には、客同士やスタッフとの交流を好む人が多い。そのため、コミュニケーションを活性化させるような仕掛けも重要となる。オークホテルではラウンジやキッチン、ドリンクの自動販売機、自由に利用できるパソコンなどは、隣り合わせに1か所にまとめて会話の機会を増やしている。

「外国人客の多くは2~3日間から、長いときは1週間以上滞在されます。今日はどこを観光したか、お薦めの観光スポットはどこかなど、さりげない会話の繰り返しからスタッフが外国人客と親しくなって、業務終了後に飲みに行くケースも少なくありません」

 外国人客は日本人とのこうした交流を意外と求めていて、ガイドブックには載っていない、日本人が気軽に足を運ぶ赤ちょうちんの居酒屋などに興味を持っている。そのため、こうした触れ合いから“オークホテルはスタッフがフレンドリーで良い”などと、良質な口コミにつながることが多いという。

■会いに来ることが旅の目的になるようなスタッフを確保

 インバウンドの顧客満足度を高める上で、外国人客とフレンドリーな関係性を作れるスタッフの育成は重要だ。宿泊中に親しくなれば、ブログやSNSなどでの情報発信を頼むこともできるだろう。これは設備などの準備を必要としないため、オープン初日から取り組める有効なプロモーション手段と成り得る。

「オークホテルをはじめニッチリッチで働くスタッフの多くは、接客の仕事が好きで、将来は独立してホステルを開業したいという夢や志を持っている人ばかりです。むしろ、そういった姿勢の人を採用し、創意工夫しながら、どうすれば外国人客と親しくなれるのか、喜ばれるのかを現場で実践していってもらっています」

 外国人旅行客の中には横のつながりが強い人が多く、「友人がオークホテルに泊まって、スタッフがフレンドリーでとても良かったと言っていたから、私も今回の旅行でここに泊まることにした」という声も意外に多いという。これは、まさに口コミによる目に見える集客の成功事例といえるだろう。スタッフに出会うことが、その旅の目的の1つになる――そんな人物を用意することが、ホステルでは集客の強い武器になるようだ。

~インバウンド向けホステル浸透中!:2~今日からできる口コミ戦略!

《加藤宏之/HANJO HANJO編集部》

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