【楽しい100人 Vol.2】多世代コミニティーのつながりが皆を幸せにする……NPO法人「もちもちの木」竹中庸子氏 | RBB TODAY

【楽しい100人 Vol.2】多世代コミニティーのつながりが皆を幸せにする……NPO法人「もちもちの木」竹中庸子氏

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NPO法人「もちもちの木」竹中庸子氏
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  •  「広島の楽しい100人」
 「広島の楽しい100人」は広島で実施されているトークイベント。スローガンは「知りたい・会いたい・つながりたい」 。隔月に1回、15分ずつ4人の登壇者にスピーチをしてもらい、その後登壇者も観客も、そしてスタッフも一緒に懇親会に参加する――という、いわゆる「講演会」より少し、いやかなり身近なトークイベントである。

 「なんか楽しいことやってるあの人って、どんな人だろう?」……毎回そんな素朴な疑問からお願いした登壇者たちのスピーチの後、その壇上のご本人と同じ目の高さで酒を飲みかわしながら「つながれる」というのは、いわば大人の生涯教育。2012年に始まりすでに計76人も登壇している「北海道の楽しい100人」の、広島は兄弟イベントにあたり、今では様々な地域にもその熱が飛び火している。Ustreamでのライブ配信や、Youtubeでのアーカイブなどもあるので、遠隔地の人や見逃した人もしっかりとイベントを楽しめるのも魅力である。

 去る3月28日に行われた第4回「広島の楽しい100人」にはボランティアコーディネーター竹中庸子さんが登壇した。竹中さんは介護福祉士・認知症ケア専門士。2001年「NPO法人もちもちの木」を設立し、広島県内で認知症の方の暮らしを支えるさまざまな活動を展開しているが、竹中さんの考える介護は一般に私たちが知っているものとは一線を画すユニークなものだ。竹中さんの提唱するキーワードは「多世代」。現代日本で失われがちな「多世代のつながり」を形成していくことで介護も可能なコミニティーづくりをしようというのである。

 きっかけは2つあった。それまでも特別養護老人ホームの開設ボランティアなどで介護を行っていた竹中さんが、NPOとして「もちもちの木」を立ち上げる時に、研修会でこう問われた。「介護事業を企業として行うのとNPOで行うのでは、何が違うの?」
竹中さんは即座に答えることができなかったという。

 しかしある日のこと、竹中さんが代表を務めるグループホームに、退職した職員が赤ちゃんを連れてやってきた。すると、ホームの人間たちが次々と赤ちゃんの周りに集まり、誰に言われるでもなく自発的に役割を考え、自発的に行動することで世話を始めたという。「和を乱してはいけない、と良く言われる日本では、自発性や主体性は少し難しい。けれど、多世代であれば、決まっていないことを自分で考え自分で行動することができるのではないか。一つの世代だけでは意欲は駆り立てられないが、多世代ならその意欲を駆り立てることができるのではないか」。自発性とはつまり、そこの住んでいる人たち自らが考え行動するという、地域のコミニティーの問題でもある。竹中さんはそこに答えを見つけた。

「大切なのは住民の側から、という自発性。住民の側から介護を考えることが大切なんです」その思いとともに竹中さんはさまざまな場所に足を運んだが、最初の十数年は、そもそもNPOで介護事業を行う、という発想すら理解をしてもらえなかったそうだ。「多世代が集うようなランチ会を開いても、高齢者グループとママグループに分かれてしまう。つながりをどう作っていくかが課題だった」。世代という壁もあった。

 そんな竹中さんに転機が訪れる。広島市の西区古江新町という地域にある空き倉庫で高齢者の施設をしてみないか、というオファーだった。町全体で高齢者のケアをするという発想を実現するため、竹中さんはまず、その地域に自分が引越しをする。「その町で活動して、その町の中を歩くと、いろいろなところが見えてくる。子供たちが来てくれるような事業所にしたいし、仲間と出会っていろいろな活動がしたい」。竹中さんはコミニティーに溶け込み活動をすることで仲間を増やし、ついに多世代が集う現代長屋として、グループホーム「土橋のおうち」を総工費6000万円で設立。ひっかっかっていた世代の壁は、公民館で行われる多世代寺子屋や、中学校での認知症サポーター講座などで多世代中で住民が集っていく中で解消され、結果として中学生から高齢者まで自発的なたくさんの新しい活動も生み出すことになった。

「江戸時代には、朝ごはんの前に隣近所の人たちで、高齢者や母子で暮らす家の様子を見に行く風習があった。日々の暮らしの中で気になることを、自分事でなく他人事にする。共感し最終的に全てを自分の課題ととらえることで、これまでのハード中心の解決法が変わっていくんです。地域の中で仲間を作り、多世代のつながりを作れば、介護や育児といった問題も、自分とは少しずれた視点から物事をとらえることで、解決されていく。多世代のコミニティーづくりが、これからのセーフティーネットになるのです」。
《築島 渉》

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