【楽しい100人 Vol.17】広島発なでしこチーム アンジュヴィオレ広島の影の立役者~宮地 弘充氏 | RBB TODAY

【楽しい100人 Vol.17】広島発なでしこチーム アンジュヴィオレ広島の影の立役者~宮地 弘充氏

エンタープライズ その他

【楽しい100人 Vol.17】広島発なでしこチーム アンジュヴィオレ広島の影の立役者~宮地 弘充氏
  • 【楽しい100人 Vol.17】広島発なでしこチーム アンジュヴィオレ広島の影の立役者~宮地 弘充氏
  • 【楽しい100人 Vol.17】広島発なでしこチーム アンジュヴィオレ広島の影の立役者~宮地 弘充氏
 アンジュヴィオレ広島は、広島市西区横川地区をホームタウンとした女子サッカーチームである。2015年8月現在のなでしこリーグ2部での順位は5位。設立してまだ3年ほどだが、ぐんぐんと頭角を現しているチームである。

 アンジュヴィオレ=ANGE VIOLETとはフランス語で「紫色の天使」の意味。実は、紫色の天使たちをここまで育ててきたのは、いわゆる大企業や行政ではなく、広島にある横川商店街の「おじちゃん、おばちゃんたち」だという。

 アンジュヴィオレ広島 広報の宮地弘充氏の本業は、広告代理店のサラリーマン。仕事を通じて横川商店街の「おじちゃん、おばちゃんたち」に知り合ったことが、横川を、そしてその後の宮地氏の人生をガラリと変えた。

 広島市の中心部にある昔ながらの商店街、横川地区。現在は広島でもよく知られている地域創生の成功例であるこの地区だが、宮地氏がUターン就職で戻ってきた時はまだそこまでの活気はなかったという。

「広島に元気が無いな、と感じて、広告業界ならまちづくりに関わる仕事ができるかもしれない、と経験が無いにもかかわらず広告代理店に就職しました」

そんなある日、宮地氏は仕事で足を運んだ横川の玩具店の倉庫に、トマトの着ぐるみが置いてあるのを発見する。

「それが、横川商店街のゆるキャラ「トマトン」でした。聞けば、6年ほど前に発表した時にデザインを笑われてしまい、封印していたという。それなら余計に、なんで使わないの?!と思ったんです。」

 宮地氏は当時ツイッターもYouTubeも知らなかった横川商店街の「おじちゃんおばちゃんたち」に、トマトンを使ったネットでのまちおこしを提案。商店街をトマトンが案内する、という動画の制作も実際に行った。

「横川商店街の皆さんは、ポジティブでノリがいいんです。だから面白いことにはすぐ飛びついてくれるし、行政に頼らず自分たちで物事を進める力を持っている。横のつながりも強いので、物事を始めるときも本当に動きが速いんです」

 行政が何かを始めるのではなく、市民が始めた活動に行政が補助金を出す、という理想的な形態が横川ではうまく機能しているそうだ。

 横川在住ではないにもかかわらず、トマトンがきっかけですっかり商店街の会合の常連となった宮地氏が次に耳にしたのは、横川を拠点とする女子サッカーチーム発足の話だった。横川商店街がサンフレッチェ広島の応援に力を入れていることから、広島県のサッカー協会がもちかけてくれたのだ。公民館で行われた地域住民の話し合いで出た結論は、「断る理由がない」。かくして、宮地氏と、サッカーに詳しいわけではない横川の「おじちゃんおばちゃんたち」による女子サッカーチーム作りが始まった。

 企業や行政がバックにつく形態ではないため、まず初めにNPO「広島横川スポーツカルチャークラブ」が創設され、実際のチーム作りが始まった。なでしこリーグは、たとえ一部リーグであっても日中は普通に働きながら、仕事の後に練習をするという選手生活が主流だという。そのため、初めは選手を見つけることすら苦労した。

「アンジュヴィオレが発足するまで、広島には女子サッカーチームはありませんでした。受け皿がなかったために、女子サッカーを志していた人たちは高校を卒業すると県外の大学に行ってしまい、そのまま県外で就職してサッカーを続けていたんです。才能のある選手たちが流出していたのが、アンジュヴィオレを作れば帰ってきてくれるだろうという思いがありました。」

 苦労して見つけた選手たちだったが、ふたをあけてみると2012年の県リーグでは優勝、その後の中国大会でも優勝と快進撃を続けた。2部のチャレンジリーグの入れ替え戦でも勝ち進み、昨年のリーグ再編で3部制になった中でも、2部で参戦。現在もリーグ戦を快進撃中だ。最近はアンダー18の育成や、こどものサッカー教室なども行うアンジュヴィオレだが、その運営はもちろん、ホームゲームの準備も横川の「おじちゃんおばちゃんたち」が行っているという。

「オフサイドも知らなかったおじさんおばさんたちが、横断幕を作ったりラインをひいたり。総務や運営もすべて地域の方が行う自主運営の手作り感が、アンジュヴィオレの素敵なところです。この会社が潰れたからチームがなくなるというような企業中心ではなくて、たくさんの人やたくさんの企業に支えられた地域発信のサッカーチーム、というビジョンを数年経った今も大切にしています」

 アンジュヴィオレ広島の母体広島横川スポーツカルチャークラブでは、アーティストの集まる町横川として、いろいろなアートイベントも行っている。アンジュヴィオレ広島をひとつの起爆剤として、横川の地域創生はますます活発だ。

「地域と人を結ぶ、街を元気にする。アンジュヴィオレ広島の根底に流れているのは、そこなんです」

そうスピーチを締めくくった宮地氏が、登壇の後笑顔でこう話してくれたのが、印象的だった。

「横川やアンジュヴィオレに関わったことで、それまでの毎日がガラッと変わりました。関わっていなかったら今ここにもいないし、こんなにたくさんの人に会ってたくさんの経験をすることもできなかった。忙しいけれど、充実しています」
《RBB TODAY》

関連ニュース

特集

page top