米アップルは9日(現地時間)、4.7インチディスプレイの「iPhone6」および5.5インチディスプレイの「iPhone6Plus」を発表した。 ディスプレイサイズの違う2モデルが発表された新iPhone。新型のA8チップ搭載、カメラのアップグレード、NFC対応やそれにともなって決済サービス「ApplePay」の発表などトピックはいくつかあるが、今回は対応ネットワークに注目してみていきたい。 iPhone6/6Plusはともに、最大で20のLTEバンドに対応し、通信速度はこれまでの下り最大100Mbpsから下り最大150Mbpsまで対応することが発表された。追加された周波数帯で日本のキャリアに関係するところでは、TD-LTEで利用されるBAND41(2.5GHz帯)が追加になったことが大きいだろう。国内ではUQコミュニケーションズが2.5GHz帯を利用して下り最大110MbpsのWiMAX2+を提供しており、auの最新端末でもこのネットワークを利用できる。またソフトバンクも2.5GHz帯を使うAXGP方式を、下り最大110MbpsのSoftBank4Gとして提供している。WiMAX2+、AXGPいずれもTD-LTEとは互換性があるとされており、規格上はiPhone6/6Plusでも両サービスが利用できるはずだ。 もう一点、キャリアアグリゲーション(CA)への対応にも注目したい。異なる周波数帯の電波を束ねて高速通信を実現するCAは、国内では現状auのみが提供している状況。プラチナバンドと言われる800MHz帯と2GHz帯を束ねることで、単独の周波数帯で20MHz幅を避けないエリアでも下り最大150Mbpsを実現している。ソフトバンク、ドコモもいずれCAをスタートすると言われているが、iPhone6/6Plusの発売には間に合っていない。 LTEの対応周波数帯をキャリアごとに整理してみると、ドコモは800MHz帯、1.7GHz帯、2GHz帯に対応、iPhone5s/5cからの追加はない。Androidではここに1.5GHz帯が加わりクアッドバンドLTEとして取組みを進めているが、iPhone6/6Plusでは残念ながら1.5GHz帯が非対応となった。auは、800MHz帯、2GHz帯に対応、そしてiPhone5s/5cに無かった要素として2.5GHz帯が利用できる見込み。800MHz帯と2GHz帯でキャリアアグリゲーションを提供する。ソフトバンクは1.7GHz帯、2GHz帯に加え、こちらも2.5GHz帯が追加される見込み。また夏以降のサービス開始が予定されている、900MHz帯でのLTEにもiPhone6/6Plusは対応している。 RBBTODAYでは先日、速度測定アプリ「RBBTODAYSPEEDTEST」の計測データを用いた通信速度の比較分析を、今年発売の最新Android端末を対象に実施した。ここでは全国的に下りの通信速度およびLTE接続率でau優位な結果となり、CAとWiMAX2+への対応、そして人口カバー率で99%に到達した800MHz帯のエリア整備の成果が表れていることが窺えた。これはAndroid端末における結果だが、今回発表されたiPhone6/6PlusがCAおよびBAND41に対応してきたことで、対応周波数帯と通信規格ベースでみると、auの優位性がAndroidから引き続き継続する可能性が高いのではないかと考えられる。ともかく、ようやく発表されたiPhone6/6Plus、早く実機を手にしてそのネットワーク品質を確かめたいものだ。